ブロックチェーンのスマートコントラクト機能についてご存じでしょうか。ブロックチェーン技術が注目を集めていますが、スマートコントラクト機能もブロックチェーン技術と切っても切り離せない機能と言っても過言ではないと思います。
この記事ではスマートコントラクト機能の仕組みとスマートコントラクト機能を応用した7つの事例を紹介していきたいと思います。
ブロックチェーンのスマートコントラクトの意味とは?
ブロックチェーンに実装されているスマートコントラクト機能とはどのような意味をもつのでしょうか。この章で簡単に解説していきたいと思います。
契約をスマートに行えるプロトコルの事
スマートコントラクトとは直訳すると「賢い契約」という意味をもつ言葉です。ブロックチェーンに実装されているスマートコントラクトは、一定の条件をあらかじめ設定しておくことで契約の自動化が可能です。
契約の条件確認や履行も自動化できる仕組み
スマートコントラクト機能は、契約内容と契約を履行する際に必要なさまざまな条件をプログラミングすることにより、契約を自動で行える仕組みです。従来、契約の履行には第三者を介在していましたが、スマートコントラクト機能によって第三者の介在は不要です。
スマートコントラクトのわかりやすい実用例は自動販売機
自動販売機が、身近に存在するスマートコントラクト機能の実用例です。自動販売機のスマートコントラクト機能の流れは以下のとおりです。
- お金を入れる
- ボタンを押す
- 商品が出る
- お釣りがあればお釣りを出す
上記の流れをプログラミングすることで、契約の自動化が可能となっているのです。
ブロックチェーンのスマートコントラクト実装の流れについて
どのようにブロックチェーンにスマートコントラクト機能が実装されるのでしょうか。流れを解説していきます。
①管理者が契約の事前定義を行い入力する
管理者が、どのような条件の際に契約を行うのかをあらかじめ定義をして入力します。自動販売機を例に挙げると条件には「お金を入れる」が該当します。また、「お金の返却レバーを回す」も条件として該当します。
さまざまな条件を定義しておくことで幅広い対応を自動で行えます。
②イベントが発生する
イベントが発生します。自動販売機の場合は「商品のボタンを押す」が該当します。
③契約執行・価値移転が行われる
イベント発生後、契約執行や価値移転が行われます。自動販売機の場合、「商品が出る」に該当します。
④決算が行われる
契約執行後、決算が行われます。自動販売機では、お釣りがある場合ではお釣りを出した後が決算となります。自動販売機のスマートコントラクトは、②~④を繰り返し自動的に行う仕組みがプログラムされています。
ブロックチェーンのスマートコントラクトでできる事とは
ブロックチェーンのスマートコントラクト機能でできることにはどのようなものがあるのでしょうか。4つの例を挙げて紹介していきたいと思います。
企業間や個人間の取引を自動で行うシステムを作れる
スマートコントラクト機能を実装したブロックチェーン技術を導入すると、企業間や個人間の取引の自動化が可能です。スマートコントラクト機能により設定された条件下で契約を自動で行え、ブロックチェーン技術により不正が極めて起こりにくい透明性の高い取引が可能です。
また、システムがダウンしてしまい業務がストップしてしまうリスクもありません。
決済期間の短縮や不正の防止ができる
スマートコントラクト機能の導入下では第三者が取引に介在しないため、決済期間の短縮が可能であり不正の防止を行えます。
契約の履行に関するさまざまな条件をあらかじめプログラムしておくため、条件に合った取引が発生した際は契約が自動で履行されます。すべてのプロセスに第三者が入ることはないため、決済の短縮化、不正の防止に効果が期待できます。
仲介が入らないのでコストを削減する事ができる
従来の取引などには間にさまざまな仲介が入り、人的コストがかかっていました。スマートコントラクト機能の導入により取引の条件がプログラム化されているため、さまざまな取引に仲介が不要となります。
仲介により発生していた人的コストの削減が可能となるため、物流業界をはじめ、さまざまな業界でのスマートコントラクト機能の活躍が期待されています。
非中央集権のサービスの実現ができる
ブロックチェーン技術を用いたスマートコントラクト機能の導入により、サービスの中央集権化を防止できます。
従来のサービスは中央集権タイプがほとんどであり、さまざまな業務が中央に集中していました。そのためコストが割高になり、中央のシステムがサイバー攻撃などが原因によりシステムダウンした時はすべての業務がストップしていました。
ブロックチェーン技術の応用によりすべてのデータは分散管理され、コストが一極集中することもなくなります。また、システムダウンにより業務がストップしてしまうリスクも避けれます。
ブロックチェーンのスマートコントラクト7つの事例
ブロックチェーンのスマートコントラクト機能を応用した7つの事例を紹介していきます。
課金ゲームのオンラインサービス
課金ゲームのオンラインサービス上でスマートコントラクト機能が導入されています。
オンライン上のマーケットプレイス内で課金処理が実装されたスマートコントラクト機能が導入されているため、個人間での取引も自動化が可能になっています。取引データも自動で記録され透明性の高いデータが保たれるため、多くのユーザーが利用するオンライン上でも正確な取引が実現可能となっています。
不動産取引サービス
不動産業界でもブロックチェーンのスマートコントラクト機能の応用が始まっています。
実際に土地取引がブロックチェーンのスマートコントラクト機能を利用して行われています。スマートコントラクト機能を利用して土地を購入した場合、土地所有権の登記の書き換えまでをプログラム化し、契約の自動化を可能とします。
そして、この取引内容はブロックチェーン上に記録されるため不正が起こりにくい、データを改ざんされるリスクのない、極めて安全性の高い契約といえます。
仮想通貨の自動取引サービス
ブロックチェーンのスマートコントラクト機能を導入することで、仮想通貨の自動取引サービスが可能です。ブロックチェーンのスマートコントラクト機能により、整合性を保ちながら透明性の高い取引データを自動で記録していくことが可能であり、24時間365日仮想通貨の取引を行えます。
本人確認などのデータも自動で認証できるため、ブロックチェーン技術ならではの安全性の高い取引を行うことができます。
クラウディングサービス事業
クラウドファンディングは、クリエイターや企業家が新商品やサービスの開発に必要な資金を調達する方法です。この、クラウドディングサービス事業の分野でもブロックチェーンのスマートコントラクト機能は活用されています。
複数の出資者間で交わされるさまざまな書類や契約書の自動作成を行い、契約データなどをブロックチェーン上に記録しています。
マーケットプレイスコミュニティ
マーケットプレイスとは、モノやサービスを売りたい人(企業)や買いたい人(企業)がインターネット上を利用して自由に取引を行える取引市場です。マーケットプレイスコミュニティ上では、個人や企業などさまざまな参加者が自由に取引を行っており、取引の自動契約にスマートコントラクト機能が活用されています。
金の売買取引システム
金の売買取引システムにもスマートコントラクト機能は活用されています。
金の売買に関わるあらゆる場面においてブロックチェーンのスマートコントラクト機能を導入することで、金の産出地の証明を自動化で行うことを可能にしたりさまざまな場面での取引や契約の自動化を可能にしたりしています。
ブロックチェーン技術により、データは恒久的に記録され常に整合性のとれた透明性の高い取引ができます。
パスワード管理を行うアプリケーション
仮想通貨取引を行う上で非常に重要となってくるパスワード管理。スマートフォンのアプリでパスワード管理を行うシステムにもスマートコントラクト機能は利用されています。あらかじめ詳細な条件を設定していれば本人確認やパスワードの認証の自動化ができ、また、第三者が介在しないため人的コストや改ざんのリスクを最小限に抑えることが可能です。
ブロックチェーンのスマートコントラクトのまとめ
ブロックチェーンのスマートコントラクト機能についての概要を簡単に解説してきました。スマートコントラクト機能のさまざまな分野への活用はこれからどんどん加速していくことが予想されます。
スマートコントラクト機能はさまざまなメリットがある反面、情報の修正が不可能であったりスマートコントラクト機能導入の際のコストが高かったりするなどのデメリットもあります。
いくつかのデメリットの解決を図るためのプロジェクトの推進やさまざまな導入方法を模索していく必要があるでしょう。