近年急速な広まりを見せている仮想通貨の背景には様々な高度な技術が関わっています。その代表ともいえる技術ブロックチェーンはメディアを通して頻繁に耳にすることが増えました。しかし実際その仕組みやメリット・デメリットをきちんと理解していない方も多いようです。
ブロックチェーンは仮想通貨の通貨としての機能やサービスが成り立つ上でとても重要な技術です。今回はそんなブロックチェーンのデメリットや解決すべき問題点に視点を当てました。
ブロックチェーンのデメリットなんてあるのか?
そもそもブロックチェーンとはトランザクション(取引データ)を複数まとめたものをブロックと言い、そのブロックがチェーンのように連なって保存された状態のことをいいます。全ての取引が記録された仮想的な台帳で分散型取引台帳とも呼ばれています。
銀行のような特定の管理機関はなく、ビットコインを利用するあらゆるユーザーたちのコンピュータで管理されています。そのためシステム障害に強くどんなデータも安全に保管することができます。さらに金融サービスの効率化や低コストでの利用などのメリットがあります。
このようにブロックチェーンの技術を活用することで得られるメリットはたくさんあります。あらゆる分野での活用が期待でき、多くの企業が導入を検討していることでしょう。しかし一見最強に思えるシステムにもデメリットがあります。
メリットも多いが良い事ばかりとは言えないのが現実
将来性の高いブロックチェーンの熱狂ぶりはすごく、金融業に革命を起こすとまで言われています。たしかにブロックチェーンのシステムは信頼性が高くセキュリティにも優れています。手数料などの運用面のコスト低下、改ざんやなりすましのリスクも軽減します。
多くの期待が集まるブロックチェーンですが実は完璧ではありません。メリットも多いですが良いことばかりではないのが現実です。現在進行形で苦手な点を克服するための開発が進められていますが、そう簡単に解決するものではありません。今回はブロックチェーンの弱点と指摘されている3つの問題点について見ていきましょう。
- データの問題
- 合意速度の問題
- 取引データの問題
ブロックチェーン技術の活用に向かない分野もある
ブロックチェーンの技術は工夫次第であらゆるサービスに利用することができます。医療や金融、著作権などその対象はさまざまです。ブロックチェーンの技術は、私たちの生活を豊かにしてくれるものと高く期待されています。しかし全ての分野に向いているわけではありません。
わざわざブロックチェーンでやる必要ある?といった人間によるガバナンスが十分に機能する分野では、導入するメリットが限りなく低いと考えられています。
デメリットの問題は改善されなくてはならない
今やブロックチェーンは仮想通貨や金融業界を語る上で欠かせない技術です。銀行の手数料や海外への送金など、将来的には我々の身近なところにも大きなメリットを与えます。しかしブロックチェーンは万能ではありません。ブロックチェーンの弱点は今後改善されなくてはならない課題です。
ブロックチェーンのデメリット1:データの問題
ブロックチェーンの分散型管理システムのメリットとしてあげられるのは全ての取引を全てのユーザーのコンピュータで管理することで、データの改ざんやなりすましのリスクが軽減します。これによりブロックチェーンの安全性が高い評価を受けています。
しかしブロックチェーンの専売特許でもある中央機関のない管理システムはその性質上、メリットにもデメリットにもなります。
削除や修正が必要なデータの取り扱いができない
中央機関が管理するデータベースなら修正したり最初からやり直すことが可能です。しかし中央機関が無いブロックチェーンにはその考えが通用しません。たった一つのバグでそのブロックチェーンが無価値になってしまうこともあるのです。
だからといってデータベースの取り扱いができる中央機関を作ったら、ブロックチェーンのメリットが一切失われてしまいます。
個人情報が全てのユーザーに開示されてしまう
ビットコインに用いられているブロックチェーンは、どのアドレスからどのアドレスへいくら送金したのかという情報が全て記録され、全てのユーザーに開示されます。個人を特定できるような情報は記録されませんが、アドレスから個人の取引記録を全て追跡することができます。
そのためアドレスと特定の個人情報が結びついてしまうと、個人の送金記録や保有残高まで知られてしまうのです。
個人情報の削除等の求めに応じる事ができない
個人情報は本人からの求めに応じて編集や削除しなければならないと個人情報保護法により定められています。しかしブロックチェーンの場合これに応じることができません。いかなる理由であっても、一度記録された個人情報は二度と削除できないのです。
つまり個人情報の削除要請に応える必要のあるサービスはブロックチェーンの活用が向かないということになります。
ブロックチェーンのデメリット2:合意速度の問題
多額の手数料が必要な海外送金でも仮想通貨を利用すれば低コストでの決算が可能です。個人決算や送金などにおけるブロックチェーンの活用はすでに実装されつつあります。ビットコインで決済できるお店も増えています。
その決済処理はユーザー全員で行います。そのため合意速度への問題が浮上してくるのです。
合意決済に時間を要する
ビットコインではブロックチェーンによる取引記録が完全に記録されるのおよそ10分かかるとされていました。通常のクレジットカードなら一瞬で決済が完了するよう、毎秒大量の決済処理に対応しています。
この問題を解決するために作られたプライベートチェーンでも、クレジットカード決算に比べまだまだ遅い実態があります。
短時間に処理できる技術開発が必要である
合意形成に速度が求められる分野ではこの問題がブロックチェーン最大のデメリットでもあります。仮想通貨が世界的な決算手段として通用するには、合意速度の改善が必要です。
ブロックチェーンのデメリット3:取引データの問題
デジタルなデータのみ記録するブロックチェーンは、デジタルでないものを扱うことができません。つまりデータ化できないものやしにくいものはブロックチェーン技術の活用はむいていないのです。
世界中で普及する事で膨大な取引データになる
ブロックチェーンは全ての取引が記録された台帳です。全ての取引は全てのユーザーのコンピュータで管理されます。つまりブロックチェーンが世界中に普及しその利用が進めば進むほど、保存し管理する取引履歴が増えていきます。そしていずれコンピュータで対応しきれないほどの膨大なデータ量になります。
ブロックサイズを引き上げれば問題が解決すると思われますが、そう単純に容量を増やばいい話しではないのです。従来のデータベースに比べブロックチェーンの拡大はとても難しいのです。また取引量が増えるたびに拡大するという対策は根本的な解決にならないという指摘もあります。
情報量が増え続ける事で処理能力が追い付かなくなる
ブロックチェーンの利用が増えてあまりにも巨大化が進んでしまうと、コンピュータで対応しきれなくなる恐れがあります。そうなるとブロックチェーンは破たんします。不正や改ざんが困難だと言われているブロックチェーンですが、データ処理能力がキャパオーバーし完全性を失う可能性があります。
ブロックチェーンのデメリットまとめ
世界中の注目を集めるブロックチェーンは従来のデータベースにはない革命的なシステムで、あらゆる分野での活躍が期待されます。しかしブロックチェーンの特徴でもある中央機関のないシステムは、実は取り扱いが難しいということをご存知でしたか?
コストがかかりアップデートが難しく拡大しにくいというデメリットを抱えています。中央機関が管理するシステムの方が圧倒的に速くコストも抑えられます。メンテナンスもアップデートもやりやすいです。
それなのになぜこんなにもブロックチェーンが熱狂されているのでしょうか?まるで完璧の技術と言わんばかりに世界中のメデイアでブロックチェーンの将来性を取り上げています。そのせいでブロックチェーンの良い点だけ注目されているように感じます。
またブロックチェーンという言葉だけが一人歩きして、きちんと技術を理解していない人が多いのではないでしょうか。確かにブロックチェーンは今後あらゆる分野の将来を大きく変える可能性のある技術です。しかし私たちの身近なところで活躍するにはまだまだ課題があるのです。