ハローワークでは、職業訓練という事業を行っています。職業訓練では、機械操作や建設関係のスキルを身につけるだけでなく、IT関連の技術習得もできます。近年ますます充実してきたIT関連の職業訓練を受けるだけで、本当に就職ができるのでしょうか。その真相に迫ってみます。
そもそも職業訓練とはどんなもの?
ハローワークの職業訓練といっても、あまり馴染みのない方が多いでしょう。そんな職業訓練がそもそもどういったシステムなのかをご紹介していきます。
ハローワークが開催している専門職への訓練の事
全国のハローワーク、つまり公共職業安定所で行っている事業のひとつで、資格を取得してステップアップを図りたいという方などに向けた訓練です。
これまでしてきた仕事とは違う職種に就きたい人や、新しいスキルを身につけてもっと条件の良い職場に採用されたい、資格を取ることで就職活動を有利にしたいといった希望を持っている方のために、さまざまな専門職の訓練を実施しています。
IT関連の訓練にはビジネスパソコン基礎やOAビジネス基礎から始まって、IT基礎知識、グラフィックデザインやWebクリエイターなどもあります。そしてプログラマーになるためのプログラミング、ITエンジニア系の職業訓練も存在します。
訓練自体は、各専門分野の業者に委託されていることが多いので、プロフェッショナルの講師から学ぶことができます。
ハローワークの職業訓練は無料で受講できる
ハローワークの職業訓練は大きく分けて公共職業訓練と、求職者支援訓練の二つがあります。
○公共職業訓練…主に雇用保険(失業保険)受給者を対象に、3ヶ月~1年の訓練を実施。テキスト代等以外は原則無料。
○求職者支援訓練…雇用保険を受給できないなどの特定求職者の方が、テキスト代等以外は原則として無料で職業訓練を受けられる制度。
・特定求職者(支援の対象となる方)…以下の要件を全て満たす必要があります。
1 ハローワークに求職申し込みをしている
2 雇用保険受給者ではない
3 労働の意思と能力がある
4 職業訓練支援が必要とハローワークが認定した求職者
・職業訓練受講給付金を支給される要件…以下の要件を全て満たす必要があります。
1 本人収入が月8万円以下
2 世帯全体の収入が月25万円以下
3 世帯全体の金融資産が300万円以下
4 現在住んでいるところ以外に土地・建物を所有していない
5 全ての訓練実施日に出席している
6 世帯の中に同時にこの給付金を受給して訓練を受けている人がいない
7 過去3年以内に、偽りその他不正の行為により、特定の給付金の死球を受けたことがない
(参考:厚生労働省労働局)
本来ならお金を払って受講しなければならない職業スキルを無料で受講できる、非常に恵まれたシステムです。
失業手当をもらいながら訓練ができる
ハローワークの職業訓練は、失業手当(雇用保険)をもらいながら訓練を受けることができます。失業手当をもらいながら訓練を受けることができるため、バイトと掛け持ちで勉強する、といった両立を考えず、しっかり学習してスキルを習得することができるのです。離職者はもちろんですが、在職者に対する数日間の訓練も実施しています。
様々な種類の職業訓練を受けられる
ハローワークの職業訓練では様々な種類の職業訓練を受けることが可能です。ITの基礎知識や資格取得を目指すものや、Webクリエイターを目指すものなど多岐にわたります。自分がどういった分野を目指すかによって、受ける職業訓練も変わってきます。
これまでにもプログラミングについてある程度の知識があったのか、まったくの素人なのかでも、初めに受けるべき訓練コースが違ってきます。
求職者向け公共職業訓練コース情報から、どの都道府県でどんな職業訓練が実施されているのかを検索できます。まずは検索してみて、ハローワークのWeb関係に強い担当者さんとどの訓練を受けるべきか相談してみましょう。
プログラマーの職業訓練の内容について
プログラマーの職業訓練は、どういった内容なのでしょうか。基本的にどんなことが学べるのかを調べてみました。
プログラマーの勉強期間は3か月~1年
プログラマーの勉強期間は、個人のスキルやこれまでに持っていた知識量によって違ってきますが、だいたい3ヶ月から1年程度です。求職者向けの職業訓練は基本3ヶ月から1年と定められているので、その中で学ぶことができます。
ITの基礎を学ぶことができる
そもそもITって何?パソコンとか通信関係ってことしかわからない……そういった方のために、IT基礎知識の訓練コースもあります。IT関係についてある程度の知識はあるけれど、独学なのでもう一度学び直したいという方にもおすすめです。
Android技術者認定試験
スマートフォンのAndroidOSのアプリケーション開発を行う技術者になるための認定試験です。この関連の訓練を受けると、Androidのアプリに関するプログラミング知識や即戦力になるスキルを学んだうえ、OESF が主催するAndroid技術者認定試験合格に向けた学習を行っていくことになります。
Androidアプリ開発が可能な技術者は人手不足と言われています。多くの企業は経験者を採用したがりますが、技術試験があるので合格者は強みになります。また職業訓練で実践を積むことも可能です。
Javaプログラミング能力検定試験2級
サーティファイ情報処理能力認定委員会が主催する試験で、1級、2級と3級があります。Javaに関する基礎知識をはじめ、オブジェクト指向に基づいたアプレット・アプリプログラミング能力についての認定試験です。実践的な知識としては2級、1級になるとかなり専門性が高くなります。職業訓練では就職に役立つ2級合格を目指します。
HTMLやCSS
HTMLとCSSはホームページ作成などに欠かせないプログラミング言語です。HTMLは開きタグと閉じタグで囲まれたコードで、サイトの要素になります。CSSはHTMLで作ったサイトの要素を装飾するための言語です。ページのデザインなどを記述するために使用します。これらを使いこなせるようになると、自分で自在にホームページ作成ができるようになります。
プログラマーの職業訓練を受けたら就職・転職できるのか?
プログラマーの職業訓練を受ければ、必ず就職・転職できるのでしょうか。その実情を見てみましょう。
ハローワークの職業訓練で実践コース修了者の就職率は61.2%
ハローワークの職業訓練では、実践コース修了者の就職率は平成28年度で61.2%と言われています。IT業界は人の出入りが激しいため、企業側は即戦力になる経験者を求める傾向にあります。そのため、実践経験に乏しい職業訓練での資格取得者の就職率は6割にとどまっていると考えられます。
(参考:求職者支援制度の実施状況について|厚生労働省)
すべての人が就職できるわけではない
これまで見てきたように、職業訓練ではIT業界への就職・プログラマーへの転職に必要なスキルを学ぶことができます。しかしすべての人が就職できるというわけではありません。非常に専門性が高い分野であること、高い専門性を持った人がすでにたくさんいて、流動的に職場を転々としている人も多いため、ライバルが多い点もポイントになっています。
プログラマーは職業訓練以外で学ぶ事も必要
プログラマーになりたいのであれば、ハローワークの職業訓練以外で専門知識を学ぶことも必要です。基礎知識だけでは即戦力になれない職場も少なくありません。
基礎を無料で学ぶなら職業訓練は受けても損はしない
ハローワークの職業訓練は、基礎知識を無料で学べるということ、また失業手当をもらいながら学べることが最大のメリットです。そのため、基礎を無料で学べるという点では、ハローワークの職業訓練を受けることは決してデメリットにはなりません。これまで独学でやってきたという人の中には、意外に基礎知識が抜け落ちているという人もいたりします。
本格的にプログラミングを学ぶならスクールに通う
しかし即戦力として求められる人材を目指すなら、本格的にプログラミングを学べて即働けるプログラマーになれる専門のスクールに通うべきでしょう。まず職業訓練で基礎知識を得て、IT業界についてある程度知ってから専門スクールに入った方が、周囲の同級生の知識に負けて挫折することもなく、スムーズに学ぶことができるでしょう。
関連記事:GEEK JOBが就職に有利って本当?スクールで学べる事まとめ
就職後に実践で学びながら上の資格の取得もおすすめ
就職後に実践で学びながら、上でご紹介したJavaプログラミング能力検定試験などの資格を取得していくこともおすすめです。仕事をしながら学ぶことで、理解力も高くなり勉強にもなります。2級を取得したという方は、ぜひ1級にトライしてみましょう。
関連記事:プログラミングの資格の種類と取得方法
関連記事:IT企業に就職するための資格・給料・種類の疑問をスッキリ解決!
プログラマーにおすすめする人気のオンラインスクール
プログラマーになりたい方におすすめしたい、人気のオンラインスクールをご紹介します。オンラインスクールなら、どこに住んでいても学ぶことができます。
侍エンジニア塾
侍エンジニア塾は、受講生の92%が満足しているというマンツーマンプログラミングスクールです。スキルアップはもちろん、収入アップや独立・起業を目指す方にもおすすめです。だいたい3ヶ月で学ぶことができ、短い方なら1ヶ月でプログラミングスキルが習得できます。
CodeCamp
CodeCampは、受講者数が2万人を超えたという人気のプログラミング学習サービスです。オンライン完結型なので、自宅ですべてを学ぶことができます。マンツーマン指導なので、わからないことがあっても気軽に質問できます。仕事との両立も可能で、働きながらのスキルアップにおすすめです。無料体験もお試しできますよ。
WebCamp
なんと転職成功率98%というスクールです。しかも転職できなかった場合全額返金保証もついているんですよ。未経験から学ぶ人も多いので、職業訓練ではあまり理解ができなかったという方にもおすすめです。未経験者からでも3ヶ月でスキルを学ぶことができます。
TechAcademy
TechAcademyはオンラインブートキャンプという名も持つスクールです。日本e-Learning大賞・プログラミング教育特別部門賞を受賞しています。現役で働くプロが講師となり、マンツーマンで実践で必要となるスキルを教えてくれます。プログラミングコースも豊富です。
プログラマーと職業訓練のまとめ
ハローワークの職業訓練は、失業手当を受けながら無料で学べる点が非常に大きな利点です。バイトと掛け持ちでスクールに通うなどの両立生活になると、かなり苦しいという方にはおすすめです。
しかし就職成功率は6割程度で、決して高いとは言えません。そのため、本気ですぐに働けるプログラマーを目指すなら、今の仕事を続けながらでも学べるオンラインプログラミングスクールでスキルを学び、就職に結びつけると大変効率的といえますね。