自分のエンジニアとしての実力を試したい、 もっと自分がやりたい分野の仕事をしてみたい、もっと仕事の内容に見合った収入を得たいと思っているエンジニアが一度は考えるのがフリーランスのエンジニアの道です。フリーランスエンジニアなれば自分のしたい仕事ができて収入が上がるというのは本当なのでしょうか。
エンジニアはフリーランスの方が稼げる?
フリーランスのエンジニアは自分で案件を獲得するだけ収入も上がります。会社員としてエンジニアをしているよりも稼げるようになるのは事実です。しかし、失敗するエンジニアもいることも事実です。
活躍できれば年収1000万円も可能な世界は本当!
厚生労働省が発表している平成29年賃金構造基本統計調査のデータをみると、30代後半のエンジニアの平均年収が約550万円です。それに対しフリーランスのエンジニアの月あたりの平均の収入が60万円から80万円が相場とされています。そうすると平均年収が720万円からになります。ただし、この中から経費や税金を差し引くので、手取りは500万円から600万円ほどと考えられます。
年収1,000万円を達成するには月収を100万円にすれば経費税金を差し引いても可能な数字です。月収100万円を得るためには、今求められている言語の技術と高額な案件を得る交渉術があれば実現できます。また、複数の案件を同時にこなすことができれば年収1,000万円以上獲得するのは夢の話ではなく努力次第で実現可能なのです。
自宅で好きな時間に作業ができるのも本当!
自宅で作業ができるかどうかは獲得した案件の条件によります。例えばクライアント側のプロジェクトチームに参加し、常駐しなければならない案件の時は場所と時間が拘束されるので、自由に仕事をするというわけにはいきません。
ただし、クライアント側に常駐する必要がない案件の場合は比較的自由です。例えば平日の朝から昼は外出して、夕方以降自宅で集中して作業をするということも可能です。
成功したフリーランスのエンジニアがいるのも本当!
フリーランスのエンジニアが成功するための条件として、前の会社や取引をしていた会社からの紹介をそのままキープしている、リピーターからの受注が多いということが挙げられます。
受注が継続すれば安定した収入が確保されます。その上で高単価の案件をこなしていけば、会社員時代よりも大幅な収入アップができますから、フリーランスになって成功だと思えます。
例えばソーシャルゲームの開発案件のプロジェクトチームに入りRubyを使うエンジニアの月の売り上げは100万円を超えている場合も少なくありません。
このように需要のある言語と技術を身につけていれば、高額な案件を扱うことができるようになります。必然的に収入もアップして会社員時代よりも成功したといえるエンジニアが多くいるのです。
失敗して挫折したフリーランスのエンジニアがいるのも本当!
フリーランスエンジニアは自分で仕事を獲得しなければなりません。またその仕事の単価もある程度自分の裁量で決められるため、安い単価で案件を引き受けてしまったために自分の首をしめてしまうという結果になることもあります。
また、独立するときにいろいろな経費に資金を投入してしまい運転資金がなくなり、赤字続きでフリーランスの継続をあきらめる人もいます。
フリーランスの場合は個人事業主なので、ある程度の経営の知識が必要です。また、仕事の案件を自分の手で獲得するための方法と交渉術も必要です。その辺りの準備がないままフリーランスになると収入が思ったほど伸びずに失敗してして挫折するパターンになります。
フリーランスにならず会社に属するエンジニアが多いのも事実
フリーランスにならず会社員のままエンジニアを続けるのは仕事が常にあるということにメリットを感じているからです。また、仕事を獲得する営業活動をしなくていいということも見逃せません。
また、体の調子が悪くなったり病気になったりしたときにも仕事をカバーしてくれるメンバーがいるのも心強いです。
福利厚生の面でも会社に属するメリットは大きいですし、税金や年金、健康保険の面でも会社員は優遇されていますから、そのまま会社員でエンジニアを続ける人が多いのです。
エンジニアをフリーランスで始めて失敗するリスクもある
全くの未経験でフリーランスとしてエンジニアを始める人はいないと思いますが、自分の実力を過信しすぎてフリーのエンジニアになったものの、仕事の案件を取ることができずに収入が途絶えて失敗したというパターンがあります。
フリーランスのエンジニアは仕事をしなければ収入に結びつかないので、当然、仕事が取れなければ収入がゼロになるリスクを常に抱えています。
成功する確率は大きいですが、仕事がない=収入が入らないという完全に実力主義の世界なのでリスクはいつもついてまわります。そのリスクをどう回避するかを常に考えて仕事をする必要があります。
実力があるのにエンジニアがフリーランスにならない理由
実力があるエンジニアが所属している企業には高額な案件が継続して発注されます。そうなるとエンジニア自体の給料に反映されるので快適に働く環境が整っています。実力があるエンジニアの中には、あえて煩雑な作業が必要で仕事も自分で獲得しなければならないフリーランスになる必要性を感じない場合が多いのです。
失敗したほとんどの人が思いつきでフリーランスになった
エンジニアとしての自分の実力が伴っていなければ失敗をしますが、それ以外にフリーランスのエンジニアが失敗する多くの原因は、独立する前の準備不足がほとんどです。
フリーランスになる前に案件を獲得するためのルートの確保や、毎月の収支予算などを考えていない場合は失敗する可能性が高くなります。
フリーランスになるのは簡単ですが、継続するのは簡単ではありません。用意周到な計画がないと長くフリーランスで活動することは難しいのです。思いつきでフリーランスになるのは失敗する多くのリスクを始めから背負っていることと同じです。
自分がフリーランスに向いている性格ではなかった
フリーランスのエンジニアは自分で仕事を獲得しなければなりません。必要なのは案件を獲得する交渉術です。
会社員時代と違い自分でクライアント側と交渉しなければなりませんから、ある程度のコミニケーション能力が必要です。対人関係が苦手な人はこの辺りが弱くなるので案件の獲得が難しくなります。
またフリーランスは時間に縛られない働き方ができるので自己管理能力が高くないといけません。自分を管理する能力が低い場合、計画的に仕事をするペースが乱れてしまいがちです。大切な納期を守れなかったらクライアントからの信頼を失ってしまいます。一度失った信頼は取り戻すのが難しいです。
そうすると、仕事を受注できなくなり結果的に失敗することになります。フリーランスに合う性格と合わない性格があるのでその辺も考えて独立をしなければなりません。
エンジニアをフリーランスで始めるメリット
リスクがあるフリーランスのエンジニアですが、リスクを上回るメリットがあることからフリーランスになるエンジニアが多くいます。フリーランスのメリットとは何でしょう。
自分のスキルに合った仕事を黙々とこなせる
会社員の場合は自分の実力以上、実力以下の仕事もこなさなくてはなりません。自分の実力、スキルにあった仕事をすることは難しいものです。
しかし、フリーランスの場合は自分で自分にあった案件を獲得することができるため、自分のスキルを活かせる仕事をすることが可能です。自分のしたい仕事を黙々とすることができるのがメリットです。
自分の働きに見合った収入を得られる
自分の持っているスキルが高度なものであった場合でも、会社の場合はその部分が評価され、収入があがることは多くありません。
フリーランスは自分の高度なスキルに応じた高額な案件を進めることができるので、自分の実力にあった収入を得ることができます。
複雑な人間関係に悩まされる心配がない
プロジェクトに入ってクライアント側に常駐し作業をするとなるとある程度の人間関係は構築しなければなりませんが、期限が決まっていることがほとんどなので、継続して付き合う必要は基本的にはないです。また、会社に所属しているわけではないので、単純な仕事仲間として付き合えます。社内の煩わしい人間関係には立ち入らなくてもすみます。
単独で仕事をする場合は完全に自宅で一人で作業をすることになるので、人間関係で悩む必要は皆無です。
終電がなくなって帰れない事がない
常駐型の仕事をしているときは、終電の心配をしなければならないでしょう。しかし、常駐していないときは自宅やカフェが仕事場になります。
働きたい場所で働きたい時間に仕事ができるので、終電の心配はありません。
エンジニアをフリーランスで始めるデメリット
メリットも多いフリーランスのエンジニアですが、もちろん、デメリットもあります。それはどんなことでしょう。
確定申告などやらなくてはならない事が増える
フリーランスは個人事業主です。税金などは自分で申告しなければなりません。白色申告、青色申告で必要な作業量は違ってきますが、経理の作業を自分でする必要があります。
領収書の管理から、経費計上できるかどうかを考えながら物品を購入したりと考えなければならない細かなことが多くなります。確定申告の書類も2月には作成しなければいけないので、経理関連に時間が取られることが多くなります。
仕事が取れないと収入が安定しない
完全実力主義のフリーランスの世界は、仕事をしなければ収入に繋がりません。また、仕事があってもその仕事が終了すれば次の案件を獲得していなければ収入が絶たれます。
案件の金額も高額なものからそうでないものもありますから月ベースでも収入にばらつきがでてきます。安定した収入を得るためには、継続した案件を獲得するなど長期的に考えたプランを考える必要があります。
個人事業主になるので社会的地位が低くなる
ある程度起動にのって仕事と収入が安定するまでは、会社組織がついているわけではないので、社会的な信用度は低くなります。また、現実的なことでいうと大きなローンを組むときの審査に通らなかったりする場合があります。
収入が安定してくれば、この辺りは解決するのですが、フリーランスになりたてのときは覚悟しておいたほうが良いです。
行き詰った時にすぐに解決できない
会社で同僚と仕事をしているのではないので、何かトラブルが起こったときは、基本的に自分で解決しておかなければいけない状況になります。
また、思っていた以上に作業が難航したときなども自分で糸口を探り突破しなければなりません。そのようなときに同じようなフリーランス仲間などがいれば相談ができるのですが、基本的に一人で解決する能力が必要です。
エンジニアをフリーランスで始めるための手順
メリット、デメリットを把握した上でフリーランスのエンジニアになろうと思ったときに必要なことや揃えるものは何があるでしょう。意外とすることが多いので、計画的に準備をしていきましょう。
自宅で作業ができる環境を整える
エンジニアは事務所を用意する必要がありません。自宅を事務所兼作業場所にしてしまえば経費も最小限ですみます。まず用意するものはPCです。あとは仕事を快適にすることができる環境です。
机や椅子は長時間作業をしても疲れないものを用意しましょう。部屋の中も仕事がしやすいレイアウトに変えてしまいます。とにかく集中できる仕事場として自宅を整えていきます。
当面の生活資金・活動資金を用意する
どの業種にも言えることですが、フリーランスになるときは1年間分の生活資金は確保しておいた方がいいです。すぐに案件が決まっている場合は1年間分もの生活資金の必要はありませんが、少なくとも半年仕事がなくても大丈夫なくらいの資金は必要です。
活動資金はエンジニアの場合、多く準備する必要はないので、主に生活資金を準備することを考えてください。
エージェントを活用して仕事を見つける
フリーランスになる前にクライアントとのつながりがあればいいのですが、ない場合はエージェントを利用するのが仕事を獲得する近道です。
エージェントを活用するメリットは、フリーランスになって一番苦労するであろう営業と交渉、契約をすべて引き受けてくれることです。手数料は発生しますが、それ以上の価値がエージェントにはありますから登録しておいて損はないです。むしろ積極的に活用しましょう。
ただ、エージェントにも当たり外れがあるので、事前にリサーチをして評判が良いエージェントに登録をしてください。
優秀なエージェントを選ぶことが自分にあった案件に出会える確率が高くすることなのでエージェント選びは重要です。
確定申告などの手続きの準備をする
フリーランスになるときは税務署に開業届を提出し、確定申告を青色で行う場合は申請しなければなりません。
確定申告は2月から3月の期間にです。フリーランスは自分で確定申告を行う必要があります。一気に書類と帳簿を作成しようと思うと想像した以上に時間がかかります。
そのため、毎日の収支を専用のアプリを使い記録する習慣をつけてください。毎月1,000円ほどの使用料金で記録している毎月の帳簿から確定申告用にまとめてくれるWEBサービスもあるので、それらを利用すると確定申告時に慌てることはありません。
エンジニアをフリーランスでのまとめ
フリーランスのエンジニアになり、活躍するためにはいくつものポイントがあります。長く安定して続けるためには高案件の獲得と常に自分のスキルを上げていく向上心が必要です。
また、メリットもあればデメリットもフリーランスのエンジニアにはありますから、それらを理解した上で楽しんでエンジニアの仕事をする前向きな姿勢が一番重要です。1,000万円の年収も夢ではないフリーランスのエンジニアに向けて準備を始めましょう。