個人事業主となって初めて健康診断を受診するとき、会社員として受診していたときと異なる点があります。健康診断の費用は、個人事業主は経費にすることができません。何故、健康診断を経費にすることができないのか、健康診断を受診するときに補助を受けることができるのか個人事業主にとっては気になる点です。あわせて、経費にできない費用についてもご紹介していきます。
個人事業主で健康診断は経費にできない
会社員とは違い、個人事業主の方は健康診断を受診する機会が少なくなります。個人事業主の健康診断受診は、義務ではなく任意での受診になっています。
義務でない健康診断を受診した場合、受診費用は経費に計上することはできず、医療費控除の対象になりません。個人事業主で従業員を雇っている場合、従業員の健康診断受診費用は福利厚生費として経費に計上することができます。法人化している場合は、社長の健康診断受診費用も福利厚生費にできます。
個人事業主は健康診断を経費にはできませんが、健康管理のためには年に一度は検査をしておくと安心です。個人事業主の場合、傷病手当がないため、病気になったときの負担が大きくなってしまいます。健康管理をすることで、病気の早期発見に繋げることができます。
個人事業主でも健康診断の費用が経費になる場合
個人事業主で健康診断を、経費に計上することはできません。健康診断は、病気の治療のための検査ではなく、健康かどうかを確認するための検査になります。任意の受診なので、基本的には自費で受診をします。業務上の義務として、健康診断を受診しなくてはいけない場合は、受診費用を経費として計上できる場合もあります。
健康診断の結果で、病気が見つかり治療を行う場合、治療に必要になる費用は医療費控除の対象になります。健康診断とは違い、病気の治療のために行う検査は、医療費控除の対象になるのがポイントとなります。
個人事業主が経費にできない4つの費用
個人事業主は、経費にできる費用と経費にできない費用があります。どれが経費に当てはまるかを知っておくと、他の費用を節約して健康診断の受診費用に充てたりすることもできます。
経費にできる費用
経費にできる費用は、業務上必要とされるものに限られます。経費に計上できるものには、税金、保険料、光熱費などがあります。個人事業主の方は、何が経費にできるのか項目を確認しておくと節税に繋げることができるためおすすめです。
<経費にできる費用>
- 事業税などの税金
- 事業所の家賃、地代、光熱費
- 従業員の給金、福利厚生
経費にできない4つの費用
個人事業主の場合、事業主と青色事業専従者(家族従業員)が健康診断を受けたときも、経費にすることができません。業務に関係するもの以外は、経費には当たらないため、任意で受診する健康診断を経費に計上ができないということになります。
事業主の給料や健康診断費用は、経費として計上ができませんが、長く個人事業主として仕事を続けたい場合は健康で仕事ができることが重要です。長い目で見れば、病気になって通院や治療をしていくよりも、定期的に検査を受けて健康かどうかを確認することが、医療費を抑えることに繋がります。
<経費にできない費用>
- 事業主の給料
- 事業主自身の健康診断費用
- 敷金
- 事業と無関係の費用
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個人事業主が健康診断を受診する3つの方法
個人事業主の方が健康診断を受診するには、いくつかの方法があります。健康診断は実施している医療機関によって、値段や検査項目に違いがあります。受診をするには事前の予約申し込みが必要になるため、どの方法で受診をするかを決めておくと安心です。
加入済みの健康保険組合で受診
個人事業主は、国民健康保険に加入する義務があります。業種によっては、別の健康保険組合があります。健康保険組合は、加入するための条件があるため、自分の業種と加入条件を確認して、加入申し込みを自分で行います。
健康保険組合に加入している場合は、所定の手続きを行えば保険組合指定の保険医療機関で健康診断を受診することができます。健康保険組合によっては、健康診断費用の補助が受けられるだけではなく、人間ドックの補助や各種がん検査を無料で受けることができます。
健康保険組合は、現在新規で設立することが認められていません。近年新しく現れた職業については、当てはまる健康保険組合が存在しないことがあります。WEB関連の仕事をしている方の場合は、文芸美術国民健康保険組合に加入するすることも可能です。健康保険組合については、身近な同業者に相談したりホームページで確認して問い合わせておくことがおすすめです。
<個人事業主が加入できる健康保険組合>
- 土木・建築
- 医師
- 税理士
- 文芸・美術関連職
<健康保険組合の健康診断を受診するメリット>
- 受診費用の補助がある
- 健康保険組合によって、様々な検査の補助がある
地方自治体の健康診断を受診
各地方自治体でも、独自に健康診断を実施しています。検査項目や料金は自治体によって異なり、無料で受診できたり安価で受診ができます。自分が住んでいる自治体のホームページや、保険課へ問い合わせると健康診断の検査項目の確認ができます。
自治体で行う健康診断では基本的な検査を行い、体に異常がないかを検査します。基本的な検査項目に加えて、40歳から74歳の公的医療保険加入者の方は、特定健康診査の受診も可能です。特定健康診査は、生活習慣病の予防のための検査になります。
地方自治体で実施する健康診断は、各個人に健康診断の受診表と利用券が送付されます。届いたら内容を確認して、受診をすることをおすすめします。安価で受診ができるため、受診表が届いたら早めに受診するようにしましょう。
<健康診断の検査項目>
- 問診
- 尿検査
- 血液検査
- 胸部のレントゲン
- 胃のレントゲン
<特定健康診査の検査項目>
- 腹囲測定
- 中性脂肪
- コレステロール
- 空腹時血糖
- 血圧測定
<地方自治体の健康診断を受診するメリット>
- 格安で健康診断を受診できる
- 年齢に応じた健康診断の項目を検査できる
病院や検診センターで受診
自分で健康診断を実施している医療機関に、健康診断の受診を申し込みすれば健康診断を受信することができます。金額、検査項目、サービスは医療機関ごとに異なるため、事前に調べて分からない点は問い合わせて確認をしてから予約をすることをおすすめします。
基本的な健康診断の場合、受診の費用は数千円から10,000円程度です。人間ドックを受診する場合は、数万円ほど受診費用がかかります。健康診断も人間ドックも受診にかかる費用は、全額自己負担になります。
<病院や健診センターで健康診断を受診するメリット>
- 自分で受診する医療機関を選べる
- 受診する検査項目のオプションを細かく設定できる
【まとめ】個人事業主は身体が資本!
個人事業主の場合、体調不良や病気で仕事ができなくなることは、大きな痛手になってしまいます。仕事ができなくなると、収入が途絶えてしまい生活への影響が出てしまいます。個人事業主は、体が資本となるため、健康を維持することも仕事を続けて行くためには重要です。
<健康診断を受診するメリット>
- 病気の早期発見ができる
- 健康診断を受けるときに補助や安価で受診できる方法がある
健康診断の受診費用を、個人事業主は経費計上ができませんが、長く仕事を続けて行くための投資として定期的に健康診断を受けるという意識が大切です。健康でいるためには、生活習慣や食生活が大きく影響します。検査を受けるだけではなく、日々の生活から気をつけることが必要です。
健康診断では、体が健康であるかどうかを検査するため、病気が進行する前に発見できるというメリットがあります。検査にかかる時間や費用に比べると、病気の治療にかかる時間や費用は膨大になってしまいます。健康であることが、結果的に時間や費用を最低限に抑えられます。