プログラミングを学んでいると、「写経」という言葉が出てきます。「写経って何?」という人もいれば、「どうしてプログラミングで仏教の修行をするの?」と疑問に思う人もいますよね。でもプログラミングの世界で言う「写経」は、上達ととても深い関係があるのです。
プログラミングと写経の関係
それでは、気になるプログラミングと写経の関係について探ってみましょう。なぜプログラミングに写経が必要なのでしょうか。
そもそも写経とは経典を書き写す事
そもそも【写経】とは、仏教の修行のひとつです。心を鎮めて経典を書き写すことです。今でもお寺で体験をすることもできます。でも写経には当然パソコンは使いません。筆と墨を使って、心を込めて一文字一文字を書き上げていきます。
プログラミングも写経のように書き写す勉強法がある
写経のことを知れば知るほど「プログラミングとどう関係するの?」と思ってしまいますよね。でも、プログラミングにも写経のようにサンプルを「書き写す」という勉強方法があるのです。写経のように心を鎮めて般若心経などを胸に唱えながら行うわけではありませんが、パソコンを前に黙々と文字を打ち込む作業がまるで【写経】そのものなので、写経と呼ばれているのです。
プログラミングを学習するための写経とは?
プログラミングを学習するための行う写経とは、どのように行うものなのでしょうか。具体的なやり方をご紹介します。
サンプルコードを1文字1文字書き写す事
プログラミングの学習方法としての【写経】は、サンプルコードを1文字1文字書き写していく方法です。つまりコーディングの練習と言えるでしょう。「それじゃただのブラインドタッチの練習じゃないの?」と思われるかもしれませんが、そこは違います。
初心者や新たなプログラミング言語を学ぶ人は、まず【学ぼうとしている言語】の【コードの特徴】を覚えなければなりません。それは、特徴を箇条書きにされたテキストをただ眺めているだけで見につくものではありません。
サンプルコードを読むことでプログラミング言語の読解力を身につけ、さらに実際一字一句間違えずに書き写す事で、スペースなどの記号の使い方や独特の文法などにも慣れることができます。学生の頃、漢字も英単語も、書かなければなかなか身につきませんでしたよね。また数学の公式も、練習問題を繰り返す事で、公式のサンプルを見なくても解けるようになります。
プログラミングの写経も、それと同じ原理です。お手本となるサンプルコードを一字一句間違えずに打ち込むことを繰り返すことで、身と頭にスキルが刷り込まれていくのです。
無心になってコードを書き写す事
また、写経には、これまでに実際行ってきたエンジニアやプログラマーの経験上「無心になって、ひたすらコードを書き写すこと」という意味も含まれています。本来の、仏教経典を書き写す写経も、まずは心を鎮めて無心になり、空っぽにした頭と心でひたすら経典を黙読しつつ書き写していきます。
プログラミングの写経も、余計なことを考えているとタイプミスが起きたり、すぐに飽きてしまったりして、身につく前に嫌になってしまいます。どちらの写経も心を無にして一心に書き写し続けることが重要ということなのではないでしょうか。
プログラミングを写経する事で得られる6つの効果
プログラミングを写経する事で、どんなことが得られるのでしょうか。写経で得られると言われる6つの効果について調べてみました。
コーディングスピードが速くなる
まずは、写経を何度も集中して繰り返す事で、コーディングスピードが速くなります。ここは、ブラインドタッチのタイプ練習と似た部分ですね。これまでは日本語を打ち込むことになれてしまっているため、ブラインドタッチが簡単にできるという人でも、コーディングになるとスピードが落ちることは少なくありません。
しかし何度もサンプルコードを打ち込んで、プログラミングコードに慣れていくことで、いずれ日本語のような感覚で打てるようになっていきます。
プログラミングに慣れる事ができる
お手本であるサンプルコードを何度も何度も打ち込んでいるうちに、だんだん「こうなっているんだ、ここには必ずこの文字や記号が入るんだな」といったことを覚えていきます。すると、プログラミングに慣れてきて、難しいと言われるプログラミング言語にも親しみやすくなってきます。
タイプミスの発見が早くなる
またプログラミングのサンプルコードと自分が打ち込んだコードを何度も見比べて、ミスを見つけていくうちに、タイプミスの発見も早くなってきます。眼が慣れるということもありますが、だんだん「この文字や記号はタイプミスしやすい」ということも分かってきます。
エラーコードを探しやすくなる
タイプミスの発見が早くなると同時に、エラーコードの発見も早くなります。エラーコードは最初何度も出るかもしれません。しかし出しているうちに、どこが出やすい箇所なのかが分かってきます。ミスの法則性に気づくことで、ミスを犯さないよう注意することにつながりますよね。
プログラミングの構成能力が培われる
サンプルコードを何度も何度も読み込み、自分でも何度も何度もコーディングをすることで、いやでもその文章が頭に刷り込まれていきます。すると、テキストを何度読んでも頭に入らなかったプログラミングの構成が、少しずつ分かってきて、覚えられるようになってきます。
すると、サンプルコードで使用されているプログラミングコードがどんな構成なのかが理解でき、他のコードの構成も分かり始めます。そうすることでプログラミングの構成能力が培われていくのです。
開発環境の改善をする事ができる
また自分で打ちやすい状況、使いやすいフォントなども分かってくるため、コーディングなどをするにあたり自分好みの開発環境をカスタマイズしていくことができます。開発環境を改善することでますます作業効率もあがり、気持ちよく、スムーズにコーディングが進められそうですね。
プログラミングの写経をする時に重要な事
プログラミングの写経をする時に重要なことをチェックしてみましょう。絶対にやってはいけないこと、やることで効率がグンと上がる事などをご紹介します。
コピー&ペーストは絶対にご法度!
プログラミングスクールの中には、課題としてプログラミングの写経を勧めるところもあります。そんな時でも「面倒くさいからコピー&ペーストで済ませてしまおう」としてはいけません。プログラミングの写経において、自分の力でサンプルコードを読み、自分の力でコーディングを行うことは絶対のルールです。
どんなに早く正確でも、自分の力で写さなければ何の意味もありません。実力もつきませんし、コーディングの速度も速くなりません。
ソースコードの意味を考えつつ写経する
心を無にして集中すると言っても、本当の修行僧のように空っぽになることはほぼないでしょう。私たちはプログラミングの学習をしているのであって、高僧になるべく修行をしているわけではないからです。
まずはサンプルコードを読むことができるようにならないと、プログラミングをマスターすることができません。そこでソースコードの意味を考えながら、どのコードがどの動きや処置を表すのかなどを想像しながら写経をしましょう。
必ず効果を確かめる必要がある
また、一通りコーディングが終了したら、必ず効果を確かめてみましょう。下請けの副業などなら、動作しなければ一大事です。
エラーが出た時のメッセージの意味をしっかり調べる
エラーはよく出るものなので慌てる必要はありません。十分に落ち着いてから、エラーメッセージを確認します。エラーメッセージは英語で出るので焦りますが、よくよく眺めてみると、たいした長文ではなく、短文の羅列だったりします。
また間違いをおかしている文字が‘’でくくられていたり、簡単な英単語で「この文字が抜けている」などの注意が書かれていたりします。
【まとめ】スキルを身につけて一人前のプログラマーになろう!
写経は、コツコツ作業が苦手な人にとっては、面倒な練習方法かもしれません。しかし千里の道も一歩から、プログラミングも一文字からです。最初は面倒でも、覚えれば覚えるほど楽にこなせるようになります。スキルを身につけて、一人前のプログラマーを目指しましょう。