フリーランスでエンジニアやWebデザイナー、Webディレクターなどの仕事をする時、個人事業主として経費のことも考えなければなりません。年度末に、確定申告があるためです。フリーランスの場合、確定申告は白色申告と青色申告に分かれますが、Web関連の仕事をしているのであれば、簡単に使える会計ソフトを活用して青色申告にトライすることがオススメです。
青色申告は控除額が大きいだけでなく、青色申告決算書にはあらかじめ勘定科目が印刷されており、会計ソフトの力も借りれば仕訳も帳簿付けも簡単です。 それでは、フリーランスとして働く場合、経費を判断するための2つの要素を知り、内容を理解しておきましょう。
フリーランスが経費の判断をする2つの要素
フリーランスが経費の判断をするためには、2つの要素がポイントになってきます。経費計上をするために知っておきたいポイントをチェックしてみましょう。
経費計上のための勘定科目を見極める
まずは経費計上のための勘定科目を見極める必要があります。青色申告決算書に印字されているものに、たいていは含まれますが、ミスをすることもあります。また最初に確定申告をしたときの仕訳で、以降も経費申請を行うことが一般的です。そのため、最初から経費や勘定科目についてきちんと調べておき、知っておくことはとても重要なのです。
経費計上でミスや疑問点などが発生すると、税務調査が入る可能性があります。税務調査は痛くもないお腹を探られるだけでなく、詳細な調査をしなければわからなかったはずの追徴課税を課されることもあるので、注意が必要なのです。経費の計算をする際は、まずこの職種にはどんな勘定科目が必要になるのかをあらかじめ調べておき、仕訳や申告に漏れや不備がないようにしましょう。
経費として認められるものと認められないものを判断する
また、経費として認められるお金と、認められないお金があります。当然ですが、仕事で使うものは経費に認められますが、仕事にまったく関係ないものは経費に認められません。 たとえば仕事上どうしても必要なパソコンは当然経費になりますが、趣味のゲームをするためだけに買った高画質モニターの専用パソコンは経費にならない可能性が高いのです。
フリーランスだからこそ知っておくべき経費の勘定科目
フリーランスだからこそ知っておきたい経費の勘定科目を具体的にチェックしてみましょう。それぞれどう振り分けられるのでしょうか。
水道光熱費
水道光熱費は、仕事を行うのに使用する水道や電気、ガスなど、エネルギーに関わる費用です。 電気代はパソコンを使う以上、必ず必要な経費になります。またトイレなども利用することを考えると、水道代やガス代なども考慮されます。ただしすべての金額ではなく、24時間のうち仕事に使っている時間のみ、按分して計算することになります。
地代家賃
地代家賃も必要経費になります。自分の家で仕事をしている場合、持ち家であれば固定資産税、賃貸なら家賃を按分します。どれくらいの面積、そしてどれくらいの時間をオフィスとして使用しているかを計算し、総額にかけて算出します。
通信費
通信費は、通信のために必要になる料金です。電話料金をはじめインターネット代、携帯電話代なども入ります。また最近ではあまり使われなくなってしまいましたし、IT関連ではより使われませんが、切手代やはがき代、FAX料金なども入ります。
広告宣伝費
広告宣伝費は、サービスや商品の広告・宣伝などにかかる費用です。一般にはCMやチラシ、新聞広告などが当たります。また試供品なども入ります。Web関連の仕事であれば、ポートフォリオサイトやブログの運営費や、名刺代などが広告宣伝費に当たります。
租税公課
租税公課は、税金・公共料金などで支払ったお金です。すべての税金が経費になるわけではありません。固定資産税(使用している面積で按分)や不動産取得税、印紙税、個人事業税などが仕訳られます。
旅費・交通費
仕事やセミナー、同業者の集会といった仕事関係の移動費(交通費)や出張宿泊費がここに入ります。 乗り物に乗った際は領収書を、自分の車で運転した際はキロ数とガソリン代のレシートなどを保管しておきます。
接待交際費
接待交際費は、仕事の関係者、クライアントや同業者、仕事のパートナーなどと食事をしたときの代金や、ゴルフなど親睦を深めた場合のお金、贈答品なども入ります。クライアントが新装開店した場合のお花代やお祝い代などもここに仕訳されますので、どこまで認められるのかチェックしてみましょう。
修繕費
建物や仕事で使う機械、備品、器具といったものの修繕費、修理代です。パソコンの調子が悪い、建物のリフォーム代などが入ります。
消耗品費
基本的に10万円以下のものになり、それ以上になると減価償却費になります。文房具屋伝票、印鑑などがここに入ります。名刺代がここに入る場合もあります。また消耗品には法定耐用年数というものが定められているのですが、その年数が1年未満になるものなどもここに入ります。
減価償却費
減価償却費は、基本的に10万円を超えるもの、パソコンや車などがこれに当たります。法律で決められた耐用年数で金額を割り、毎年経費として計上していくことになります。
外注工賃
外注で仕事を依頼しているものがあれば、それも外注工賃という経費になります。コーディングやライティングなどを外注している場合は忘れないように申告しましょう。
利子割引料
借入金の支払利息や手形の割引料などは利子割引料に入ります。これは仕事に関する借入金だけでなく、住宅ローンや自動車ローン、金乳機関の支払利息も認められます。
雑費
必要経費のうち、他の勘定科目に属さないものがここに入ります。たとえばクリーニング代やゴミ処理といった出費です。どこに入れればよいか分からない少額経費は、とりあえずここに入れておきましょう。
専従者給与
夫婦でフリーランスとして組んで仕事をしている場合など、妻も青色事業専従者の場合は、その給料として払っている分を、専従者給与として認められます。
図書費
専門書を資料として購入した場合は、図書費として認められます。ただし自分の趣味で買った小説本や雑誌などは入りません。趣味と実益を兼ねているという方も多いと思いますが、仕事に役立つものであれば、経費で計上しておきましょう。
リース料(あれば)
特殊な機器類をリースしている場合や、プロバイダからWi-Fiの機械をリースしている場合など、リース料が発生するものがあれば、ここに入れておきましょう。
フリーランスと法人の経費の違い
フリーランスで仕事をしている個人事業主と、法人とでは経費に違いはあるのでしょうか。その差をチェックしてみましょう。
科目の違いはほとんどない
フリーランスと法人とで、科目の違いはほとんどありません。上に挙げたような科目が主な経費となります。
法人は福利厚生などの項目が増える
法人の場合は、社員の福利厚生などの項目が増えます。またフリーランスで1人という方は必要ない、給料賃金という項目もあります。
経費の判断に帳簿付けが必要な理由
経費の判断には帳簿付けが必要です。その帳簿付けがあるために、どうしても確定申告が面倒に感じてしまう人も少なくありません。ではなぜ帳簿付けが必要なのでしょうか。
青色申告を行う時に提出が義務付けられているから
経費に関する帳簿付けは、青色申告を行う場合に提出が義務付けられています。青色申告は白色申告と比較して非常に面倒ですが、会計ソフトの登場でとても楽になっています。経費は洩れなくきちんと申告することで、節税にもつながります。面倒でも帳簿提出のある青色申告を選び、より節税効果を大きくしたいですね。
経費の流れがわかり節約ができるようになる
経費を帳簿付けすることで、経費の流れがわかるようになります。たった1年前の事だから覚えていると思いきや、意外と忘れてしまうものです。しかし帳簿をつけておくと、毎日のお金の流れ、経費の使い道などがはっきりと見えてきます。無駄に買ってしまったもの、高いお店で買ってしまったものなども見えてきて、節約ができるようになるのです。
毎日つける事で確定申告の時に楽になる
毎日帳簿を付けておくと、確定申告の時に断然楽になります。確定申告の時期を直前にしてやっと帳簿整理を始め、ギリギリに終わらせる、という人もけっこう多いのです。でも毎日最も面倒で思い出しにくく、大変な帳簿付けと領収書の整理をしておけば、徹夜で帳簿付け、という事態は避けられます。
【まとめ】申告の時に疑われないよう正しい判断を!
申告時に、経費の帳簿に不備があったり、あからさまにおかしな数値があったりすると、税務官に疑念を抱かれてしまいます。すると、再調査が入って追徴課税をとられる危険性も高くなります。そんなことにならないよう、最初からクリアな帳簿を目指しましょう。