エンジニアとして起業しフリーランスになると、仕事は自由にできるようになりますが、年度末に確定申告をする必要が出てきます。「面倒」というイメージがありますが、今は会計ソフトやクラウドサービスなどを活用し、青色申告用の帳簿付けまで簡単にできるようになっています。
しかし確定申告について自分でもしっかり勉強しておかないと、思わぬところで余計な税金を払ってしまう可能性もあります。そのため、フリーランスのエンジニアが経費にできる項目をしっかりチェックしておきましょう。
エンジニアの経費とは?基本的な3つをご紹介
エンジニアの経費と言われても、パソコンひとつで仕事ができる職種だとパッと思いつかない……という方も多いかもしれません。でも、列挙するとかなりたくさんあるんです。
仕事をする時にかかった費用の事
経費とは、そもそも仕事をする際にかかる費用のことです。製造業や食品会社なら、原材料費や加工に使用する機械類の代金などですね。
また営業職であれば移動に使用した公共交通機関の代金やガソリン代、電話や通信などに使ったお金が経費になります。フリーのエンジニアで基本的に家で仕事をしているという人も、細かくチェックするとさまざまな経費がかかっているのです。
仕事場として利用している家賃・水道光熱費の全て又は一部
仕事場という感覚は薄いかもしれませんが、仕事をしているのが自分のマンションやアパート、自宅という場合は、住宅や生活にかかる費用も経費として計算できます。たとえば1Kマンションなどであれば、家賃の半分以上が経費として認められることもあります。また水道や光熱費の一部も認められます。
仕事上の付き合いなどでかかった接待交際費
仕事で付き合いのあるクライアントや仕事のパートナーと親睦を深めるために食事をしたときの費用なども、接待交際費になります。また仕事の相談をランチのついでにした、という場合なども経費として認められることがありますよ。
フリーランス・エンジニアに認められる経費
それではフリーランスのエンジニアに認められる経費を具体的にご紹介します。これまで経費として計上していなかった場合は、今後忘れずに申告したいですね。
通信費
エンジニアとして欠かせない通信費は、もちろん経費として認められます。エンジニアの仕事のためにネットでさまざまな検索をしたり、スマートフォンやタブレットなどを使ったりした場合も含まれます。
また光熱費もパソコンで使っている分に関して、その他周辺機器やタブレット・スマートフォンなどに使った分であれば認められるでしょう。
広告宣伝費
広告宣伝費は、たとえばブログやサイトなどを広告のために使用している場合、そこにかかった経費になります。また名刺を作った場合はその金額も入ります。レンタルサーバーと契約している場合などは、それがなければ広告・宣伝としてのサイトが運営できないため、必要経費になるでしょう。
逆にこれまで広告や宣伝のようなことをまるでしてこなかった、という場合は、この機会にブログなどでスキルやこれまでにこなした仕事などをポートフォリオとして発信して、広告や宣伝に活かしましょう。
接待交際費
先ほどもご紹介したように、接待交際費も仕事関係に必要と判断されれば経費として認められます。仕事先の人とご飯を食べたり、ちょっとお酒を飲みがてら話をしたりということは、結構よくありますよね。そんな時は絶対に忘れず領収書をもらっておきましょう。
旅費交通費
旅費交通費も、出張があったり、打ち合わせで出かけることがあり、その時に乗り物を使ったりした場合は経費になります。またエンジニアの仕事のためにセミナーに参加したり、もう一度大きなスクールで講習をうけたりといった場合の交通費も、きちんと計上しましょう。
地代家賃
家の一室で仕事をしている場合は、使用している場所の分の固定資産税、賃貸に住んでいる場合は家賃の何割かを経費にできます。一軒家の場合は、ごく一部しか認められませんが、ワンルームマンションなどであれば、かなりの割合が認められる可能性があります。
どの程度の割合が認められるかを分けることを、「按分」といいます。コツは、できるだけ多めに申告しておき、注意されたら税務官を説得し、ダメであれば1割減らす……ということを繰り返すことです。
水道光熱費
光熱費でも水道代やガス代が5割を超えるといった内容は、ほぼ認められないケースが占めています。最初から外しておくこともできますが、ダメもとでチャンスを狙うことも可能です。つまり、税務官に「エンジニアの仕事に、水道代とガス代はこういう訳で絶対に欠かせないものなんだ」と納得させられる自信があれば、認められるかもしれません。
しかし普通は、家賃に準じてへらすことが一般的です。
消耗品費
消耗品にかかるお金も経費として認められます。エンジニアとして必要な消耗品というと、プリンターのインクや用紙のほか、ペンなども含まれます。ネットで買ってしまうという方も多いですが、その場合領収書を捨てやすいので注意が必要です。領収書は絶対に取っておく、というクセをつけましょう。
減価償却費
減価償却費とは、耐用年数に応じて経費を申告するものです。だいたい高額なものがこれにあたり、仕事で使う10万円以上のパソコンなどはこれに当たります。ちなみに耐用年数はものによって決められています。パソコンの場合は4年間です。購入価格を4年で割り、毎年申告をしていきます。
減価償却費と消耗品費は近しい関係にあります。10万円以上のものは減価償却費、未満のものは消耗品としてカウントします。
外注工賃
外注工賃とは、仕事の一部を外注した場合にかかったお金のことです。高度なプログラミングを行っていて、基本的なコーディングだけクラウドサービスで外注した場合など、その時支払う賃金が該当します。
また仕事のパートナーがいて、仕事をシェアしているような場合も、外注工賃として計上することができますよ。
雑費
雑費は、こまごまとした経費になります。
- ソフトウエア
- 専門書
- 新聞
- 有料Web記事などの資料代
- セミナー受講代
- エンジニアに関する資格取得代
- 同業者組合などにかかるお金
租税公課
租税公課とは、あまり耳慣れない言葉ですね。ざっとご説明すると、経費にできる税金のことです。租税とは国税や地方税を指しています。租は、昔歴史で租庸調という古代の税について学びましたよね。
公課とは、国や地方公共団体といった団体の会費・組合費・賦課金・罰金といったお金のことです。これらすべてのお金が経費に充てられるわけではありませんが、一部は経費として認められます。
- 事業税・事業所税
- 固定資産税
- 印紙税
- 不動産取得税
- 登録免許税
- 都市計画税
- 地価税
- 利子税
- 納付済み消費税
上に挙げた税金の中で、エンジニアの事業に関連すると判断されたものは経費に認められます。しかし場合によっては認められないケースもあります。
フリーランス・エンジニアに認められない経費
フリーランスのエンジニアに認められない経費もあります。エンジニア以外の仕事をしている人でも、基本的に認められないもの、と言えます。
基本的にプライベートな支出は含まれない
経費は、仕事に関わるお金です。「それがなければ仕事にならないもの」になります。そこで、基本的にプライベートな支出は含まれません。たとえば赤ちゃんのオムツは、家で赤ちゃんのお世話をしながら働くママエンジニアにとって絶対に必要です。でも、それはプライベートな支出なのです。
携帯代や通信費は按分が難しいのですが、携帯を2台持つ・税務官と交渉するなどして決めていきましょう。
趣味に使ったもの
自分の趣味に使ったものは、当然ですが経費になりません。有料でも資料として使用したサイトは経費になりますが、趣味で閲覧したサイトは経費になりません。
生活費
そして、当然ですが生活費も経費にはなりません。しかしどこまでを経費として税務官を納得させられるか、の腕が問われる、光熱費などもあります。頑張ってみましょう。
領収書やレシートについて知っておくべき2つの事
領収書やレシートは、経費を申告する場合に絶対必要になるものです。そこで、知っておくべき点を2つご紹介します。
領収書やレシートは7年間保管しておこう
領収書やレシートは、確定申告後も7年間の保管が義務付けられています。かさばるのでイライラするかもしれませんが、まとめて保管しておきましょう。
紛失などをしないように年月日事にまとめておくと良い
保管しておく場合は、バラバラにしてしまうと収納場所を忘れて紛失しやすくなります。レシートを仕舞っておく棚とファイルを決めて、年月日ごとにまとめておくと保管しやすいですし、散らかりません。
【まとめ】正しい経費計上で少しでも税金を軽くしよう!
税金はフリーランスのエンジニアにとってとても頭が痛い問題ですが、ちょっと面倒と思いがちな経費の計算をきちんと行うことで、節税対策になります。ITのプロフェッショナルとして会計ソフトを駆使してより節税効果の大きい青色申告に切り替え、こまめで正しい経費計上で節税に努めましょう。