個人事業主やフリーランスの方は毎年2月16日から3月15日の間に確定申告をしなければなりません。しかし…
「忙しくて気づいたら3月15日の期限が過ぎていた」
「やり方がわからなくてやらないまま放置していた」
というような場合もありえます。確定申告は後からでもできます。この記事では、期限後申告の方法と遅れたペナルティなどについて分かりやすく説明していきます。
確定申告は後からでもできるものなのか?
個人事業主にとって「3月15日」という確定申告の期限は絶対的なものに思えます。「この期限を過ぎてしまったらもう手遅れなのでは…?」と思う人も多いでしょう。しかし、確定申告は期限の後からでもできるんです。以下では、期限後の確定申告について簡単にご説明します。
確定申告は後からでもできます!
個人事業主の確定申告は3月15日まで、これは絶対的な大原則です。この期日を守るのが個人事業主である以上は基本。しかし、期日や締切りが過ぎてしまうことも往々にしてあります。
税金を少しでも取りたい税務署としては、期限に間に合わなかった個人事業主を締め出すよりは、「期日後でもいいから確定申告をきちんとやってね」と認めた方がメリットが大きいもの。ですから、期限を過ぎた後からでも確定申告はできるということになっているわけです。
何年もさかのぼって確定申告する事もできる
「後からでも確定申告ができるといっても、限度があるだろう…」と思う方もいるでしょう。しかし、実際には何年も何十年もさかのぼって後から確定申告をすることもできます。税務署はこういう遡りをいくらでも許してくれます(とはいっても後程説明するようにペナルティは課せられてしまいますが…)。
「じゃあ、開業した10年前から確定申告やってないから、10年分さかのぼって後から申告を…」という方、ちょっと待ってください。確定申告は税金を納めるための手続です。そして、国が税金を払えと言えるのは5年までとなっています。ですから基本は数十年確定申告をしていなかった場合でも、5年前まで遡って申告すればOKです。
ただし所得がバレないように他人の銀行口座をつかっていた場合など、明らかな所得隠し・脱税行為にあたる場合には7年間は税金を支払う義務があります。
後から確定申告をする事を「期限後申告」という
3月15日の期日を過ぎた後に確定申告をすることを「期限後申告」といいます。税務署に書類を出す際や質問をする際には期限後申告をしたい旨を伝えるといいでしょう。
確定申告を後から行う時の注意点
確定申告は期限の後からでも行えます。これは忙しい個人事業主にとっては朗報に聞こえるかもしれません。しかし、世の中そう甘くはありません。期限後申告にはそれなりのペナルティが伴います。
以下、確定申告を後から行うときの注意点についてご説明します。
後から確定申告をすると税額が増える
期限の後から確定申告をすると、期限内に手続をした場合よりも支払わなければならない税金の額が増えてしまいます。支払いが遅れてしまった分の金利に相当する「延滞税」を支払わなければなりませんし、「無申告加算税」を支払わなければならないからです。
これらのペナルティの税金(追徴課税)については、本記事の最後の方で改めて詳しく説明します。
青色申告で2年連続で遅れると取り消しになる!
青色申告を承認されていた場合、2年連続で期日に間に合わなかったら青色申告承認が取り消されてしまいます。一度取り消されてしまうと1年間は再申請ができなくなり、少なくとも次の確定申告では控除面でのメリットが受けられなくなるのです。
また、期限後申告では青色申告の65万円の控除を受けられません(10万円の控除は受けられる)。延滞税や無申告加算税などに加え、65万円控除が使えず支払税額がさらに増えてしまうのです。
できるだけ2週間以内に期限後申告を行う
期限を過ぎてしまった後から確定申告を行うと、様々なデメリットが生じます。日々延滞税が増えていきますから、もしも期限後申告を行う際にはできるだけ早いに越したことはありません。できることでしたら期限から2週間以内に期限後申告をするようにするといいでしょう。
2週間以内に自主的に申告を行うと、無申告加算税を免れられることがあるからです。ペナルティやデメリットは最小にしておきたいものですね。
確定申告を後から行う時に必要な書類
確定申告を後から行う際には、どのような書類が必要なのでしょうか。以下では、期限後申告の必要書類について簡単にご説明します。
通常の確定申告と同じで良い
期限後申告の必要書類は、実は通常の確定申告のものと変わりません。その年に何も提出していない場合には期限後申告用の書類などはないのです。申告書も添付書類なども通常と同じです。
白色申告の場合には、確定申告書Bと控除関係の各種添付書類、そして収支内訳書を提出します。青色申告の場合には、確定申告書Bと添付書類、そして決算書を提出することとなります。提出書類が分からない場合には、税務署に相談しにいきましょう。
遡って申告する場合はそれぞれの年の書類を用意する
何年も確定申告をしていない場合には、遡って各年の確定申告を行う必要があります。この場合、それぞれの年について必要書類を用意しましょう。
確定申告を後から行う時の2通りのやり方について
期限を過ぎた後から確定申告を行う場合、具体的にどのような手続・手順を踏めばいいのでしょうか。以下では、期限後申告の方法についてご説明します。
通常通りの書類を作成して税務署に申告する
その年だけ確定申告期限が過ぎてしまったという場合、通常通りの確定申告書類を作成して税務署に提出します。「期限後申告をしにきました」と言えば担当が受け付けてくれます。
複数年の申告を行う場合はそれぞれの書類と申告書を作成する
過去数年にわたって申告をしていなかった場合、遡って各年の申告書や必要書類を作成しなければなりません。意図的な所得隠しなど明らかな脱税行為・不正行為をおこなっていない場合、税金は5年分までしか遡って請求されません。ですから、基本は最大5年分までさかのぼって書類を作れば十分です。
確定申告を後から行った時のペナルティについて
確定申告を期限の後から行った場合、各種のペナルティが課せられてしまいます。以下では、期限後申告のペナルティとしての税金についてご説明します。
無申告加算税
確定申告を期限内に行わなかった場合、「無申告加算税」と呼ばれる罰金的な税金(追徴課税)が課せられます。税務調査を受ける前に自主的に期限後申告を行った場合、無申告加算税は本来支払うべき税金の5%となります。
税務調査を受けてから期限後申告を行った場合には、本来支払うべき税金の50万円以下にいついて15%・50万円を超える部分について20%で計算した額が無申告加算税額となります。期限から2週間以内に自主的に期限後申告を行ったなどの条件を満たす場合、無申告加算税が課せられないこともあります。
延滞税
期限を過ぎてしまった場合、追徴課税と別に延滞税も課せられます。延滞税は、本来支払うべき期限を過ぎてからの金利・利息にあたるものです。これを請求しないと期日までに支払った納税者が損をした形になってしまいます。
延滞税の額が1,000円未満であれば、延滞税は課せられません。
延滞税の税率や税額については計算が複雑なので、国税庁HPの「延滞税の計算方法」のページで各自計算をしてみてください。
重加算税が課せられる事もある
明らかな不正行為や脱税行為がある場合、重加算税と呼ばれる重い追徴課税を課せられます。無申告で重加算税となった場合、本来支払うべき税額の40%もの重加算税が課せられます。
【まとめ】確定申告は後からできるけど忘れずに行うべき!
以上、期限を過ぎてしまって後から確定申告をする場合についてご説明してきました。期限を過ぎてしまったとしても、後から確定申告をすることはできます。しかし、青色申告の65万円控除が使えなくなったり、延滞税や無申告加算税などのペナルティ・デメリットが発生してしまいます。
期限を過ぎても確定申告できると思って油断するのではなく、期日を忘れずに厳守して提出するようにしましょう。やはり確定申告の3月15日という期限は、個人事業主にとって絶対守るべきラインといえるでしょう。