個人事業主の方やこれから個人事業を始めようと思われている方にとってバイトを掛け持ちすべきかどうかというのは非常に気になるところでしょう。そのような方向けにバイトを掛け持つことの是非や間違いのない確定申告の方法までを解説していきます。
順を追って、必要書類および計算方法など初心者に多い疑問点を中心に解説していきます。もやもやしている部分をすっきりさせて、新しいライフスタイルに向けて一歩踏み出しましょう!
個人事業主がバイトを掛け持ちするのは許されるのか?
業績がもろに収入を左右する個人事業主にとって、本業とは別の収入源を持っておきたいと考えるのは当然のことでしょう。一方、個人事業主のバイト掛け持ちは法律上問題ないのかと気にされる方も中にはいるのではないかと思います。果たして、個人事業主がバイトを掛け持ちするのは許されるのでしょうか。
個人事業主がバイトをする事は禁止されていない
基本的に個人事業主がバイトをすることは禁止されていません。会社員は副業できないなどのイメージから個人事業主も勝手にバイト等の副業をやってはいけないと誤解されている方も少なくないかと思います。しかしながら、会社員もそうですが、個人事業主の副業を規制する法律等は一切ないのです。
個人事業主がバイトを掛け持ちしても特におとがめは無し
原則として個人事業主のバイト掛け持ちを取り締まる規則等はありません。一方、会社員に関しては、近年の「働き方改革」により「副業解禁」の流れがあるにせよ、現状、多くの会社員は会社からバイトをとがめられる状況にあります。
しかしながら、個人事業主に関しては、個人で営んでいる以上、第三者からおとがめを受けることは、まずありません。
個人事業主がバイトの掛け持ちをした場合の経費
個人事業主がバイトを掛け持ちした場合、それぞれにおいて経費の扱いに違いは生じるのでしょうか。実は違う点があります。確定申告の際、所得の扱い方により経費として認められたり認められなかったりするためです。
うっかり、不適切な経費化をしてしまうと税務署からのおとがめにあってしまいます。そのため、注意すべきポイントをしっかり把握しておきましょう!
バイトの交通費などは経費として認められない
原則として、バイトに関連する所得に関して、交通費などは経費として認められません。一方、個人事業に関連する交通費に関しては、通常問題なく経費として処理可能です。この点を混同せずに、しっかりと頭に置いておきましょう!
個人事業主がバイトを雇った場合は経費になる
それから、個人事業主が持っておくべき知識に「個人事業主がバイトを雇った場合、経費にできる」といったものがあります。「バイトへの給与の支払いは経費にできないのでは」と思いこまれている方も少なくないと思いますが、手続きを踏めば問題なく、経費計上可能です。
個人事業主がバイトを掛け持した時のお給料の仕訳
個人事業主がバイトを掛け持ちした際、「本業で得た所得」と「バイトから得た所得」とでは扱い方が異なるということをしっかり認識しておきましょう。主に「確定申告書類」作成における記述方法や計算方法が違ってきます。これから紹介する手順に従えば、簡単に実践できますのでお給料は仕訳をするというイメージだけでも持っておきましょう!
給与所得として仕訳する
原則としてアルバイトで得た所得は給与所得として仕訳をします。上述の通り、所得元の違いにより確定申告書作成時の税金計算方法や記述方法が異なってくるため、所得種類を的確に判断し、アルバイトについては給与所得として仕訳するように注意してください。
確定申告する場合は給与所得と事業所得は分ける事
一方、本業で得た収入については、事業所得として仕訳けるのが原則です。上述の通り、仕訳けるにあたり、計算方法や必要書類が異なってきますが、手順に沿えば、頭を悩ますことはありません。そのため、確定申告においては、所得を仕訳けることが基本中の基本という知識だけでも頭の片隅にでも入れて置きましょう!
確定申告をする場合に必要な書類
確定申告をする場合に必要な書類で代表的なものは以下の通りです。
- 確定申告書
- 経費の領収書やレシートなどの書類
- 源泉徴収票
直前になって、不足が発生することのないように余裕をもって確定申告前までに必ず揃えるようにしましょう。場合によっては、自分から取り寄せる必要が生じる可能性もあるため、チェックしておきましょう!
確定申告書
確定申告書は主に下記の方法にて入手可能です。
- 税務署にて配布の書類を受け取る。
- 国税庁のホームページより印刷する。
※確定申告書は3種類ありますが、このうち、個人事業主の方は「確定申告書B」というものを使用しますので間違えないように注意しましょう!
領収書やレシートなどの書類
基本的に「領収書」や「レシート」は確定申告の際に提出の義務はありません。ですが、自宅や事務所内に一定期間保存する義務があります。また、税金計算の際にも必要となりますので必ずスクラップブックに張り付ける等して一か所にまとめて置くようにしましょう。
給与明細も用意しておこう
それから、バイトの収入を証明する給与明細も万一に備えて用意しておくべきです。基本的には、給与所得記入の際には源泉徴収所を参照します。ただ、万が一の事情により源泉徴収書が手に入らない場合には代わりに給与明細が役をなす場合があるため、しっかり保管しておきましょう。
バイトを掛け持ちした時の2つの税金計算と確定申告
繰り返しになりますが、個人事業主の方がバイトを掛け持ちしている場合には、給与所得と事業所得それぞれの区分にて税金計算を行い、確定申告をすることになります。漏れのない申告が節税に繋がりますので、きっちりと計算するようにしましょう。それでは、いよいよ具体的な計算方法についてみていきましょう。
アルバイトの給与所得の計算方法
まず、アルバイトの給与所得の計算方法になりますが、「バイト給与-給与所得控除額(65万)=給与所得」という式が適用されます。給与所得控除額は事業所得で言うところの経費に相当すると考えてよいと思われます。
先にも述べた通り、アルバイトでは交通費等を経費とすることができない点を考慮して給与所得控除額といったものが設けられているというのを理解しておきましょう!
総所得金額の計算方法
既に解説した通り、個人事業主は事業所得と給与所得を分けて確定申告を行うということはご理解いただけたかと思います。ただし、最終的にはこれらを合算した「総所得金額」も算出をします。総所得金額は単純に、所得の総額となります。
そのため、「事業所得+給与所得=総所得金額」という算式になります。ちなみに、先に述べた通り、事業所得は「事業収入ー必要経費=事業所得」という算式を適用します。
確定申告をする際は給与が源泉徴収されているかをチェック
ところで、初心者がチェックすべきポイントにアルバイト給与の源泉徴収というのもあります。基本的にはアルバイト先で源泉徴収をして源泉徴収票が交付される規則になっています。しかし、アルバイト先が怠ることもあり得るので、その場合には発行してもらうよう促す必要があります。そのため、一応、アルバイト給与の源泉徴収をチェックするように心がけましょう!
掛け持ちした場合は所得の種類ごとに記入する
繰り返しになりますが、バイトを掛け持ちした場合には、所得の種類ごとに確定申告書へ記入するということを改めて認識しておきましょう!確定申告書の記入欄は所得種類ごとに分かれているため、間違えることは少ないとは思われますが、提出前にもう一度所得の区分を確認するように意識しましょう。
【まとめ】個人事業主がバイト掛け持後の申告はしっかりと!
いかがでしたでしょうか。個人事業主がバイトを掛け持ちした際の確定申告方法をざっと解説してきましたが、ここまで読まれて曖昧だった部分を明解にしていただけたならば幸いであります。ただし、不手際を生じると節税どころか損を出す恐れもあるため、侮らずに余裕をもった準備を心がけ、漏れのない確定申告をしましょう!