個人事業主やフリーランスの方が、毎年憂鬱で不安になる時期、それは2~3月の確定申告の時期ではないでしょうか。「確定申告面倒なんだけど…」「忘れてしまいそうで怖い」そんな方も多いかと思います。
しかし、確定申告を忘れてしまうと思った以上のペナルティが課せられることもあります。この記事では、確定申告を忘れてしまう理由や、忘れてしまった場合の罰などについて、分かりやすくご紹介をしていきます。
確定申告を忘れてしまうよくある2つの理由
確定申告を忘れてしまう理由にはどのようなものがあるのでしょうか。よくある2つの理由について解説をします。「自分は関係ない」と思わず、自分もそうなってしまうかも、という観点で読んでみてください。
理由① 確定申告をどうすれば良いのかわからなかった
確定申告を忘れてしまった理由その1は、「どうやって確定申告をすれば良いのか分からずそのまま期限が過ぎてしまった」というもの。脱サラして個人事業主やフリーランスになったばかりの方などに特に多いケースです。
確定申告の手続や帳簿付けは、何も知らないゼロの状態からだとハードルが高いですから、ありがちな事例だと言っていいでしょう。
理由② 時間に追われて気づいたら期日を過ぎていた
何回か確定申告をやっている人でも、忙しすぎて気づいたら3月15日を過ぎていた、というパターンには要注意です。確定申告を忘れてしまう理由その2は、忙しい個人事業主の方なら誰もが陥ってしまいかねない「忙しかった」というものです。
フリーランスや個人事業主の方は、常日頃締切りやタスクに追われていますよね。確定申告の時期だからといって、仕事が減ったり締切りが延びたりするわけではありません。2月でも3月でも稼いで生きていくためには仕事をし続けなければなりません。
「ついうっかり…」、こういうケースは忘れてしまった場合の罰則などを改めて知ることで防ぐことができます。
確定申告を忘れたらどうなってしまうのか?
確定申告を忘れてしまい3月15日の提出期限が過ぎてしまうとどうなってしまうのでしょうか。延滞税や無申告加算税などのペナルティが課せられてしまいます。「つい…」だとか「分からなくて」などは言い訳にはなりません。忘れるとこうなるんだとしっかり把握しておきましょう。
通常の税金のほかに延滞税が課せられる
確定申告を忘れてしまった場合、当然本来支払うべきだった税金を納める必要があります。さらにそれに加えて「延滞税」が課せられてしまいます。借りたお金を期限までに返せなかった場合、延滞金(遅延損害金)が発生しますよね。延滞税は、この延滞金と同じような性質のものだと思ってもらって問題ありません。
無申告加算税が課せられる
確定申告を忘れてしまい期限内に手続できなかった場合、「本来支払うべきだった税金」と「延滞税」に加えて「無申告加算税」も課せられてしまいかねません。一定の条件を満たせば無申告課税を支払わなくてもいいこともありますが…長期間忘れていたなどの場合、無申告加算税が重くのしかかってくるので気を付けましょう。
確定申告忘れの延滞税と無申告課税について
確定申告を忘れていて申告期限内に提出できなかった場合、延滞税と無申告課税が課せられます。以下では、具体的にどれくらいのペナルティ金が発生するのかを簡単に解説していきます。
延滞税は遅れた日数分で計算され年利は最高14.6%
延滞税は、税金の納付期限の翌日から実際に納付した日まで、日数分だけ発生します。利息のような性質を持っているので、借りたお金を期日までに返せなかった場合と同じような計算で同じような年利で増えていくイメージです。
延滞税の年利は最高で14.6%となっています。ですが、原則よりも特例措置での年利が使われるケースが多いため、実際にかかる年利はその年によって異なっています。たとえば、2018年1月1日から2019年12月31日までは、以下のような年利となっています。
- 期限翌日から2か月を経過する日まで 年2.6%
※原則は7.3%だが、特例で安くなっている - 期限の翌日から2か月を経過した日以後 年8.9%
※原則は14.6%、特例で安くなっている
無申告加算税は所得税に上乗せされる税金で最高20%
申告を忘れた際に発生するペナルティ・無申告加算税は、本来支払うべき所得税に加えて上乗せして請求される税金です。こちらは最高で「本来納める税額の20%」が上乗せ請求されます。具体的には、本来支払うべき税額が50万円までなら15%、50万円を超える部分については20%と計算していきます。
なお、税務調査を受ける前に自主的に確定申告をした場合には、5%にまで軽減されます。税務調査の事前通知を受けた段階で確定申告をすれば、50万円以下までについて10%、50万円を超える部分について15%となります。忘れた場合でも、少しでも早く申告しなおした方がリスクは小さいということです。
期限後申告でも追加税が無い3つの条件
確定申告の期限を忘れてしまって本来の期限より後に確定申告をした場合(期限後申告)であっても、以下の3つの条件すべてを満たせば無申告加算税は課されません。
※延滞税は、以下の条件を満たしていても支払わなければなりません。延滞金・遅延金の性質をもっているからです。もし遅れても遅延税を支払わなくて良いとなれば、早く支払った人ばかりが損をしてしまう構図になってしまいますので、これを避けるための制度設計となっています。
条件① 期限から1カ月以内に自主的に申告をする
確定申告の期限(土日でなければ3月15日)から1か月以内に、自ら確定申告をすること、が無申告加算税を逃れるための第一の条件です。
「自ら」、つまり自主的に期限後申告をしなければならないのがポイントです。1か月以内であっても、税務調査で指摘されて申告をしたのであれば、この条件を満たさず無申告加算税の支払い義務は発生します。
条件② 申告書を提出した日に税金を納める
支払うべき税金を期限(所得税なら3月15日)までに全部支払っているか、口座振替納付の場合には期限後申告書を提出した日までに全額支払っていれば、この第2の条件を満たせます。
条件③ 過去5年間確定申告を忘れたり重加算税を課せられた事が無い
さらに、第3の条件として、過去5年間の間①無申告加算税か重加算税を課されておらず、なおかつ②確定申告忘れの場合の無申告加算税の免除を受けていないこと、を満たしている必要があります。
②は過去5年の間に無申告加算税の免除を受けていれば、また免除してもらうことはできない、という意味です。
確定申告忘れによるその他の加算税
確定申告を忘れてしまった場合、延滞税や無申告加算税が課されてしまいます。場合によっては、無申告加算税を免れてもその他の加算税が課せられることがあるので、簡単に説明していきます。
重加算税
重加算税は、加算税の中で最も重いものです。「忘れ」や「うっかり」ではなく、意図的に所得を隠したりウソの申告をしていた場合、つまり脱税行為をしていた場合に課せられます。重加算税は35~40%とかなり重いペナルティとなっているので、くれぐれも脱税はしないようにしましょう。
過少申告加算税
きちんと期限内に確定申告をしたけど、本来納めるべき税金額よりも少な目に申告してしまっていた場合、過少申告加算税が課せられます。無申告加算税と違って、過少申告加算税は税務調査が来る前に正しい金額で申告しなおせば(修正申告をすれば)、免除されます。
不納付加算税
不納付加算税は、従業員を雇い給料を支払っている場合に関連してくる加算税です。源泉徴収した源泉所得税の納付期限を過ぎてしまうと発生するのが、不納付加算税です。税率は、自主的に納付したら5%、税務署から指摘を受けた後だったら10%となります。
【まとめ】確定申告は期限内に行う事が重要です!
確定申告のやり方が分からなかったり、期間中忙しかったりして、確定申告を忘れてしまう…そんな事態は個人事業主なら誰もが経験しかねない事態です。しかし、期限内に確定申告をしないと、各種のペナルティが発生してしまい余計な税金をもっていかれてしまいます。
忙しいや分からないは言い訳にならないので、しっかりと期限に余裕をもって帳簿をつけて3月15日を守って確定申告をしましょう。