フリーランスや個人事業主の方、確定申告で少しでも支払う税金を安くしたいと思っていないでしょうか? 脱税や違法行為はいけませんが、少しでも節税のために努力したいというのは当然です。
支払う所得税や住民税を安くしたい方は、青色申告の申請をして65万円の控除を受けましょう。この記事では確定申告に慣れていない方でも簡単に青色申告で65万円の控除を受けられるように、手順や条件・アドバイスなどをまとめました。
65万円の控除を受けるには?
個人事業主の方が、確定申告で65万円の控除を受けるためには、青色申告の申請をして条件に合うように帳簿をつけなければなりません。
青色申告を受ける必要がある
自営業者などが毎年行わなければならない確定申告には、白色申告と青色申告の2種類があります。65万円の控除を受けるためには、このうち青色申告を選んだ上で一定の方式に従って帳簿や書類を作成して申告をしなければなりません。
青色申告を利用するためには、事前に税務署に青色申告承認申請書を提出しておく必要があります。いつ個人事業を始めたのか・白色申告をしていたかどうかなどによって承認申請書の提出期限は異なっていますので注意してください。
一定条件を満たした個人事業主である必要がある
青色申告で確定申告をして65万円の控除を受けるためには、一定の条件を満たさなければなりません。
1.事業所得・山林所得・不動産所得のいずれかの所得があること
これは、給与所得のみもらっているフリーターなどでは青色申告はできないということです。フリーランスの方などは通常事業所得を得ているので、基本的にこの条件は満たすはずです。
2.山林所得のみでないこと
事業所得・山林所得・不動産所得のいずれかがあったとしても、山林所得のみの場合には青色申告は使えません。
3.事業として行われていると認められること(不動産所得の場合)
不動産所得のみの場合、不動産による所得が事業規模でなければなりません。
たとえば、「アパートを貸して収益を得ている場合には、貸せる部屋数が10室以上」「家屋の場合、貸せる家屋が5棟以上」などが基準となっています。賃貸用のアパートを不動産投資で1室だけ持っているというような場合、事業としての不動産所得とは認められないのでご注意を。
4.発生主義であること
この条件については、次の項目で詳しく説明します。
発生主義である事
青色申告で65万円の控除を受けるためには様々な条件を満たす必要がありますが、各条件の中でも特に分かりづらい部分が「帳簿が発生主義であること」という点です。
発生主義ではない帳簿付けのことを「現金主義」といいます。現金主義は、お金が実際に出入りした際に帳簿に記帳するという方式のことです。お小遣い帳など簡単な帳簿をイメージすると分かりやすいと思います。
そして、「現金主義ではない=発生主義」とは、実際に現金が動いてなくても支出や収入の必要が発生した時点で帳簿に記入します。クレジットカードで物を買ったときを念頭に置けば分かりやすいかもしれません。
カードで物を買った場合、カード会社にお金を支払う義務は発生していますし、物もすぐに手元にきますが、実際にお金が動くのは翌月以降のカード支払日ですよね。カードで物を買った・カード支払日にカード会社にお金を支払った、と2回以上に分けて帳簿に記帳するのが発生主義です。
何かモノを納品するフリーランス業の場合、納品日と報酬振込日の2回に分けて帳簿を記入することになります。
65万円の控除を受けるために必要な帳簿について
確定申告で青色申告にて65万円の控除を受けるためには、帳簿の付け方に気を付ける必要があります。単式簿記ではなく、複式簿記といわれる形式で帳簿付けをしなければなりません。
複式簿記で必要な帳簿を記帳する事
青色申告には、65万円の控除を受けられるものと10万円しか控除を受けられないものの2種類があります。せっかく青色申告をするのでしたら、当然65万円の控除を受けられるようにしたいですよね。
65万円の控除を受けるためには、「複式簿記」と言われる形式で帳簿をつけておかなければなりません。これに対して、白色申告や10万円控除の青色申告では「単式簿記」と言われる簡単な帳簿で構いません。
より詳細なお金の流れが分かるように帳簿付けをする代わりに、65万円という特別な控除を使えるよ、というのが青色申告での65万円控除なのです。
複式簿記とは、1回の取引(お金の流れ)で「貸方」と「借方」、2つの項目を記録するという方式のこと。たとえば、売上が現金で1万円入ってきた場合、貸方に現金1万円、貸方に売上1万円と記録し記帳します。
どのような場合に貸方・借方いずれに記入すればいいのかなど最初は混乱しますが、慣れればスムーズにいきますし、あまり理解できていなくても会計ソフトやサービスを利用すれば簡単に複式簿記をつけられるのでご安心ください。
青色申告で65万円の控除を受ける時の注意点
これまで青色申告には10万円控除と65万円控除の2種類が存在していました。が、平成30年の税制改正によって、10万円・55万円・65万円の3種類に新たに分けられることとなります。
改正後に65万円控除を受けるためには、従来の65万円控除の条件に加えて、電磁的記録の備付け・保存「または」e-Taxを使った電子申告をしなければなりません。
※この新制度は2020年分以後の所得税・2021年度分以後の住民税からの制度です。2019年2月3月に行う2018年分の確定申告や2020年2月3月に行う2019年分の確定申告では、これまで通りの条件で65万円控除を受けられます。
電磁的記録の備付と保存を行う必要がある
2020年分以後に65万円の控除を受けるためには、仕訳帳と総勘定元帳についてPCなどで作成した「電磁的記録」を備付けし保存しておく必要があります。PCの会計ソフトなどで作った帳簿をただ保存しておけばいいというわけではなく、帳簿備付けの開始3か月前までに税務署に申請書を提出しなければなりません。
※2020年分については、2020年9月29日までに承認申請書を出して2020年12月31日までに承認を受け備付け保存をしておけば良いと特例が作られています。
e-Taxで電子申告をする必要がある事
e-Tax(イータックス)は、税金の各種手続きをインターネット上で行うシステムのことです。
e-Taxを利用するためには、マイナンバーカードとICカードリーダーライタ(もしくはマイナンバーカード対応のスマートフォン)が原則として必要となります。これらの準備には少し時間がかかることもあるので、事前に余裕をもって調べて準備を進めておきましょう。
なお、2019年1月からはマイナンバーやカードリーダーなしで、税務署で本人確認をしてもらえる新制度も経過措置として実施されています。
青色申告とマイナンバーについて
青色申告(確定申告)では、マイナンバーを記載する欄があります。そのため、マイナンバーカードが手元にあれば比較的スムーズに申告を進められます。しかし、マイナンバーカードが青色申告に必須かというとそうでもなく、他のもので代用もできます。
マイナンバーカードは確定申告のために原則として必要
確定申告では基本的には、マイナンバーカードを手元に準備して、マイナンバーを記載しカードの写しをあわせて提出、という流れとなります。
しかし、必ず必要というわけではなく、マイナンバー通知カードや、マイナンバーが記載されている住民票の写しでも代用できます。マイナンバーカードがない方であっても、マイナンバー通知カードは全員に送付されているはずですので安心ですね。
細かい帳簿づけが大変なら会計ソフトを使う
青色申告では、発生主義にもとづいて複式簿記をつけなければなりません。そのため、簿記に関する知識が皆無な状態では、帳簿付けのルールがまったく分からず申告の作業が進まないこともしばしば…
青色申告の65万円控除のための帳簿づけが分からない!そんな方は、会計ソフトを使うとスムーズに申告作業を進められます。
会計ソフトを使うと確定申告が楽になる
青色申告での65万円控除を受けるためには、「複式簿記」を「発生主義」でつけて各種帳簿を作らなければなりませんが…自力でこれを完成させるためには簿記3級程度の知識は不可欠となりますし、知識があっても帳簿付けはとても面倒です。
「毎日仕事があるのに帳簿付けに時間をかけられない」
「簿記に関する知識があまりない」
そんな方は、会計ソフトを使えばグンと確定申告作業が楽になります。
会計ソフトには月額1000円程度から
パソコン用の会計ソフトには、様々な種類のものがあります。中には無料で使えるものもありますが、初心者でも使えるほど操作性がよくてサポートなどもあるものとなると有料のソフトを選んだ方がいいでしょう。年額のものや毎月支払うものなど様々な会計ソフトがありますが、おおよその目安は月額1000円程度です。
おすすめは「freee」格安で使いやすい!
会計ソフトにもダウンロード&インストールして使うものや、ネット上のサービスをDLなしで使えるクラウドタイプのものなど様々なものがあります。中でもフリーランスや個人事業主の方にオススメなのはfreee(フリー)です。
freeeはインストールなしですぐに使えるクラウド会計ソフトで、近年急成長をとげ100万以上の事業所がいやま利用しているお馴染みのサービスです。年額9800円、月額にすると816円から始めることができる格安設定で、使いやすいのが特徴です。
【まとめ】確定申告を65万円の控除でお得に!
「確定申告で少しでも納める税金を安くしたい!」そんな方は、青色申告の65万円控除を利用しましょう。
65万円控除を受けるためには、発生主義や複式簿記など少し難しい手順を踏まなければなりません。しかし、会計ソフトを上手に使えば専門的な知識がなくても意外なほどあっさりと帳簿付けも終わります。