国税の納付方法には数種類の方法があることをご存知ですか。国税の申告者各々の申告方法などに応じて便利に利用できる納付方法が用意されています。申告期限と納付期限は同じですが、申告と同時に納付するわけではありません。
この記事では、国税の納付方法6つと納付用紙の入手方法についてまとめます。確定申告が済んだら次は納付ですね。納付忘れがないようにぜひこの記事を自分に合った納付方法を選ぶ参考にしてください。
個人事業主が納める国税について
納付方法の前に個人事業主が納める国税についてまとめます。該当する税金は忘れずに申告しましょう。
所得税
所得税とは、個人の所得に対してかかる税金です。所得とは収入から経費などを引いたもののことで、所得から様々な控除をして残ったものが課税所得と言います。課税所得の額に応じて税率が決められており、課税所得が高いほど税率が高くなります。所得税の税率については、以下のページの速算表を参照ください。
相続税
相続税とは、亡くなった親や配偶者からお金や土地などの財産を受け継いだ場合にかかる税金です。相続税は、相続した財産の額から借金や葬式費用などを差し引いたあとの金額が基礎控除額を上回るときだけかかります。相続税の税率と基礎控除額については、以下のページの速算表を参照ください。
法人税
法人税とは、株式会社など法人の所得に対してかかる税金です。会社が決めた決算期ごとに税額を計算して申告し納税する必要があります。法人税は、法人の区分に応じてそれぞれ決められています。法人税の税率については、以下のページを参照ください。
贈与税
贈与税とは、個人から財産をもらった時にかかる税金です。法人から財産をもらった時は贈与税ではなく所得税がかかります。贈与税は通常「暦年課税」という方法で課税されます。暦年課税には110万円の基礎控除額があるので、1年間にもらい受けた財産が110万円以下であれば申告も納税も必要ありません。
なお、一定の条件を満たせば暦年課税ではなく「相続時精算課税」という方法で課税することもできます。相続時精算課税は贈与税の申告をする際に「相続時精算課税選択届出書」を含めた一定の書類を添付する必要があります。
消費税
消費税とは、商品の販売やサービスの提供に対してかかる税金です。一般の消費者は商品の販売事業者やサービスの提供事業者に対して消費税を支払い、消費税を受け取った事業者が国や地方自治体に納めます。
この時、事業者は仕入れなどで支払った消費税と販売などで受け取った消費税の差額を納めることになります。なお、前々年の課税売上高が1,000万円を超える事業主だけに消費税を納める義務があります。また、平成31年10月1日から消費税率と地方消費税率が引き上げられることになっています。
地方法人税
地方法人税とは、平成 26 年に創設された税金です。 法人税の納税義務がある人は同時に地方法人税の納税義務も生じます。
地方法人特別税
地方法人特別税とは、法人事業税の税収には都道府県により偏りがあるため、その偏差性を改善するまでの暫定的な措置として法人事業税の一部を分離して設けられた税金です。地方法人特別税は国税として徴収され、国が都道府県に偏りのないよう再分配します。
なお、平成31年10月1日以後に開始する事業年度から、地方法人特別税は廃止されることになっています。地方法人特別税の税率については、法人事業税を納付する都道府県の公式サイトなどを参照ください。
復興特別税
復興特別税とは、平成23年に東日本大震災からの復興のための施策を実施するにあたり財源を確保するために創設された税金で、復興特別法人税と復興特別所得税からなります。法人税を納める法人は復興特別法人税を、所得税を納める個人は復興特別所得税を納付する義務があります。基準法人税額の10%が復興特別法人税に、基準所得税額の2.1%が復興特別所得税になります。
⇒国税庁「復興特別法人税の概要(改訂版)(平成26年5月)」
⇒国税庁「個人の方に係る復興特別所得税のあらまし」
国税の納付方法は全部で6つ
次はいよいよ国税の納付方法をまとめます。国税には全部で6つの納付方法があります。以下で順に解説します。
1.ダイレクト納付
1つめはダイレクト納付という方法です。ダイレクト納付はe-Taxで申告することが前提となります。e-Taxとは、国税電子申告・納税システムのことで、事前にe-Taxの利用手続きをしておくことで、インターネットを介して申告できるサービスです。さらに、口座の届出をしておけば、e-Taxで申告するだけで口座から自動的に引き落とされ納税が完了します。
2.インターネットバンキング
2つめはインターネットバンキングで納付する方法です。インターネットバンキングによる納付もe-Taxで申告することが前提となります。インターネットバンキングならどれでもいいというわけではなく、「ペイジー」というサービスが利用できる金融機関に限ります。
また、インターネットバンキングを利用していないという方は、ペイジーが使えるATMであれば、ATMからでも支払いが可能です。
3.クレジットカード
3つめはクレジットカードで納付する方法です。国税のクレジットカード納付専用サイトに必要事項を記入して手続きすることで、インターネットからクレジットカード払いで納付できます。
クレジットカード納付は、国税長官が指定した納付受託者に立替払いを委託して納付し、クレジットカード会社を介して立替払い額を納付受託者に支払う形をとっています。納税額に応じた決済手数料がかかるのでご注意ください。
4.コンビニエンスストア
4つめはコンビニエンスストアで納付する方法です。コンビニで納付するには、QRコードかバーコードのどちらかを準備する必要があります。QRコードは、国税庁の公式サイトの中の「確定申告書等作成コーナー」または「コンビニ納付用QRコード作成専用画面」で作成できます。
バーコードは、基本的には申告をする際にコンビニでバーコードによる納付をすることを伝え、バーコード付き納付書の発行を依頼することで交付してもらえます。なお、バーコードによる納付であればコンビニの窓口ですぐに支払いできますが、QRコードの場合は一度LoppiやFamiポートなどのキオスク端末にQRコードを読み取らせバーコードを出力してから窓口で支払います。
5.口座振替
5つめは口座振替で納付する方法です。事前に税務署と利用する金融機関に専用の依頼書を提出しておくことで、申告すれば口座引落により自動的に納付されます。
6.窓口での納付
6つめは窓口で納付する方法です。金融機関または税務署の窓口で専用の納付書に記載の上現金を持参して納付します。
国税の納付書はどこで手に入れる?入手法はここ
上で紹介した6つの納付方法のうち、窓口で納付する場合には専用の納付書が必要です。また、バーコードでのコンビに納付をする場合にもバーコード付き納付書が必要になります。これら2つについてどこで入手できるのか見てみましょう。
管轄の税務署でもらう
最も簡単なのは管轄の税務署でもらうことです。税務署の窓口で納付すなら、納付する際に窓口で納付書をもらい記入して納めればスムーズです。
確定申告を行った時に納付書をもらう
金融機関の窓口で支払う場合は、確定申告を行ったときに納付書があればもらっておきましょう。金融機関の窓口に納付書が備え付けてある場合もありますが、必ず在庫があるわけではないので事前に準備しておくと安心です。
電話で請求する
電話で請求してみるのも1つの方法です。税務署で支払うのであれば、納付する際に納付書をもらえばよいので、コンビニ払いに利用するバーコード付き納付書を発行してもらいたい場合は、税務署に電話で依頼してみましょう。
郵送で送ってもらう
請求したバーコード付き納付書は発行までに時間がかかることもあります。その場合、郵送で送ってもらえるのか確認しておきしょう。
銀行によっては国税が納税できない事もある?
ダイレクト納付、インターネットバンキング、口座振替、金融機関窓口で支払う場合には銀行などの金融機関を利用します。どの銀行でも国税を納付できるのでしょうか。
ほとんどの銀行で納税する事ができる
国税はほとんどの銀行で納税できますが、銀行によっては納付できないこともあるので注意が必要です。利用したい納税方法で国税の納付ができるのか事前に取引先の銀行に確認しておくとよいでしょう。
国税を納税する時の注意点・一度に払えない時はどうすべき?
最後に国税を納税する時の注意点をまとめます。特に一度に払えない時はどうすればいいのか解説します。
絶対にそのままにしておかない事
国税を申告したものの一度に払えないという場合、絶対に放置してはいけません。国税には納付期限があります。期限までに納付できなければ、納付するまでの日数に応じて延滞税がかかるので、放置しておくとどんどん税額が膨らんでしまいます。
督促が来ても納付しない場合、通常財産の差し押さえなどの滞納処分を受けることになります。ただし、一度に納めるのが難しい理由を税務署に申請し認められれば処分の猶予を受けられ、延滞税もかからない場合もあります。一度に払えない時は必ず税務署に相談しましょう。
分割納付計画の変更を行う
税務署に申請し猶予を受けた時は、原則として猶予期間中に分割して納付します。猶予をしたのにやむをえない理由で支払えない場合や猶予期間を短縮した場合には、分割納付計画を変更することができます。
【まとめ】国税の納税方法は知れば簡単です!
今回は国税の納税方法についてまとめました。納付方法は6つです。金融機関からの引き落としにして手間をかけたくない方、忘れずに期限までに納付したい方、現金で支払いたい方などそれぞれの好みや利便性に合わせて納税方法を選べます。ぜひ次の申告・納税に役立ててください。