一口に税金と言っても、国税と地方税に分かれ、その中にもいろいろな税金があります。そしてそれぞれに納付時期も違っています。納税通知書が送られてくる税金については、通知を受け取ると出費に頭が痛くなりますよね。
この記事では、税金の中でも個人事業主の方に関係する所得税、消費税、住民税、個人事業税の4つについて納付時期をまとめます。さらに分納ができるかどうかも調べたので、納税準備の参考にしてください。
税金の納税時期は税金の種類で違う!いくつあるのか?
数ある税金の中でも今回は個人事業主が納税する4つの税金を取り上げます。まずは、それぞれの税金について簡単にまとめます。
所得税(国税)
所得税とは、個人の所得に対してかかる税金です。所得とは収入から経費などを引いたもののことで、所得から様々な控除をして残ったものが課税所得と言います。課税所得の額に応じて税率が決められており、課税所得が高いほど税率が高くなります。
なお、平成49年までは、所得税と復興特別所得税を併せて申告・納付する必要があります。所得税の税率については、以下のページの速算表を参照ください。
消費税(国税)・地方消費税(地方税)
消費税とは、商品の販売やサービスの提供に対してかかる税金です。一般の消費者は商品の販売事業者やサービスの提供事業者に対して消費税を支払い、消費税を受け取った事業者が国や地方自治体に納めます。
この時、事業者は仕入れなどで支払った消費税と販売などで受け取った消費税の差額を納めることになります。消費税には、消費税(国税)と地方消費税(地方税)があります。消費税の税率と言えば8%ですが、その内訳は消費税(国税)が6.3%、地方消費税(地方税)が1.7%です。
なお、消費税は全ての事業者が納税するわけではありません。前々年の課税売上高が1,000万円を超える事業主が対象となります。また、平成31年10月1日から消費税率と地方消費税率が引き上げられることになっています。
住民税(地方税)
住民税とは、住んでいる場所や事業主であれば会社がある場所の都道府県と市区町村に支払う税金です。住民税には均等割と所得割の2種類あります。均等割は定額で負担する金額で、所得割は前年の所得額に応じて負担する金額です。自宅とは別の市区町村に事務所や店舗を借りているまたは持っている(貸している場合は除く)事業主は、事務所や店舗が所在する市区町村にも住民税を払う必要があります。この場合にかかるのは2種類のうち均等割だけです。
住民税は地方税法によって税率が定められています。均等割の標準税率は、都道府県税が1,000円、市町村民税(特別区民税)が3,000円です。都道府県によっては、均等割に森林環境税を上乗せしている場合もあるので、自宅や事務所などが所在する都道府県に確認してください。
所得割は、前年の課税所得の10%(都道府県民税4%、市町村民税(特別区民税)6%)です。なお、平成35年度までは地方自治体の防災対策に関する臨時特例のため、都道府県民税、市町村民税(特別区民税)ともに500円ずつ引き上げられています。
個人事業税(地方税)
個人事業税とは、個人が営む事業のうち特定の業種(法定業種)に対してかかる税金です。地方税法によって業種ごとに税率が定められています(第72条の2、第72条の49の17)。「課税所得額×税率」が個人事業税の税額です。
なお、事業主控除として290万円が控除されるので、所得金額が290万円以下の場合は、課税対象になりません。また、個人事業税を納める業種と税率については、以下のページを参照ください。
税金の納付時期のスケジュール
次は、4つの税金について納付時期を見てみましょう。
所得税の納付時期
所得税の納付期限は、所得税の確定申告の申告期限と同じです。確定申告期限及び納付期限は3月15日です。
消費税・地方消費税の納付時期
消費税・地方消費税の納付期限は、消費税・地方消費税の確定申告の申告期限と同じです。個人事業主の場合、確定申告期限及び納付期限は4月1日です。
住民税の納付時期
住民税は会社勤めの方であれば給与天引きにより毎月給与から差し引かれます(特別徴収)が、それ以外の場合は個人で4回に分けて納付します(普通徴収)。納付期限は6月30日、8月31日、10月31日、1月31日です。6月上旬頃に送付されてくる納税通知書により納付します。なお、住民税の申告期限は3月15日です。ただし、所得税の確定申告をした人は住民税の申告は必要ありません。
個人事業税の納付時期
個人事業税は2回に分けて納付するのが原則で、納付期限は8月31日と11月30日です。ただし、税額が10,000円以下の場合は全額8月31日までに納付します。8月頃送付されてくる納税通知書により納付します。なお、個人事業税の申告期限は3月15日です。ただし、所得税の確定申告や住民税の申告をした人は、個人事業税の申告は必要ありません。
税金を分割で払う時の納付期限はいつからいつまで?
次は、4つの税金について分割で支払うことができるのか、分納できる場合の納付期限についてまとめます。
所得税の分納は基本出来ないが例外もある
所得税は分納できませんが、延納を利用することで5月31日まで納付期限を延長できます。ただし、通常の納付期限である3月15日までに納付すべき税額の2分の1以上を納付していることが条件となります。延納する場合は年1.6%の割合で利子税がかかります。
- 確定申告の納付期限・・・3月15日(納付すべき額のうち2分の1以上の納税は必須)
- 延納分の納付期限・・・5月31日
※年1.6%の利子税が上乗せされる
消費税の分納は基本出来ないが例外もある
消費税は分納できません。やむなく納税が遅れた場合には、遅れた日数に応じて延滞税が課されます。通常、延滞して督促状が来ても納付できない時は財産の差し押さえなどの滞納処分を受けます。ただし、一時に納付することが困難な理由がある場合には、税務署に申請し認められれば処分が猶予され、延滞税も課されないケースがあります。
住民税は年4回の納税時期がある
先にも挙げましたが、住民税は4回に分けて納付するのが原則です。
- 第1期・・・6月30日
- 第2期・・・8月31日
- 第3期・・・10月31日
- 第4期・・・1月31日
※納付期限が土・日曜日の場合、翌月曜日
個人事業税は2回の納税時期がある
先述した通り、個人事業税は2回に分けて納付するのが原則です。
- 第1期・・・8月31日
- 第2期・・・11月30日
※納期限が休日の場合、その翌日
税金の予定納税とは?納付時期はいつからいつまで?
最後に所得税を分納できる制度とも言える予定納税についてまとめます。
予定納税とは所得税を前払いする制度
予定納税とは、平たく言えば所得税の一部を前払いする制度です。その年の5月15日時点で確定している前年の所得金額や税額を基に計算した金額を基準とし、その基準額が一定額以上の人は予定納税をする必要があります。
前年15万以上納税した人に生じる義務
上記の通り、5月15日時点で確定している前年の所得金額や税額に基づいて計算した予定納税基準額が15万円以上の人は予定納税の義務が生じます。基本的には前年の納税額が15万円以上の人は予定納税をする必要があります。
予定納税基準額は所得の種類などにより計算方法が異なるので、詳しい計算方法については以下のページを参照ください。
納税額については6月15日までに管轄する税務署から通知されます。なお、6月30日の時点で所得税の見積額が予定納税基準額より少なくなる人は「予定納税額の減額申請書」を7月15日までに提出して承認されれば、予定納税額を減額できます。
予定納税は2回の納税時期がある
予定納税は2回に分けて納付します。納付期間は以下の通りです。
- 第1期・・・7月1日~7月31日
- 第2期・・・11月1日~11月30日
【まとめ】税金の納付時期を把握しよう!
今回は、個人事業主が納付する税金のうち所得税、消費税、住民税、個人事業税の4つについて納付時期をまとめました。4つの税金は基本的に全納か分納かを選べるわけではありません。所得税と消費税は全納、住民税と個人事業税は分納が原則になっています。
納税を延滞すると延滞税が発生してしまうので、各税金の納付時期をきちんと把握することが大切です。納付期限を忘れないように、今回まとめた内容をぜひ役立ててください。