個人事業税は、すべての個人事業主が納める税金ではありません。計算方法や通知、控除の仕組みなどを押さえて、納税手順や流れまで確認しましょう。節税できる項目も、同時に見ていきます。
個人事業税とは?
確定申告後に、個人事業主が納める税金のひとつです。地方税に分類されます。控除等の計算によっては、納付不要な場合があります。
個人事業主が納める税金の事
納付の必要がある事業者に、8月頃に納税通知書が郵送されます。通知書には納税すべき金額や方法が指定されています。納付不要の場合は、通知書が送られません。
個人事業税は個人事業主の義務
1年間営業した場合、事業主控除として290万円が控除されます。年間の事業所得が290万円以下ですと個人事業税がかかりません。
個人事業税は地方税である
個人事業税は地方税です。管轄の都道府県税事務所への支払いとなります。
個人事業税は租税公課として経費計上できる
事業にかかる税金のうち、個人事業税は「租税公課」の項目で経費計上できます。
個人事業税の計算方法と納付期限について
白色申告と青色申告で控除に違いがあります。それぞれの計算方法と、納付期限を押さえておきましょう。
個人事業税の計算式①
白色申告の場合です。
(事業所得及び不動産所得-事業専従者給与もしくは事業専従者控除-必要経費-各種控除)×税率 = 個人事業税額
各種控除には290万円の事業主控除や、保険料支払い分へ受けられる控除があります。個人事業税の税率は業種によって定められており、多くは5%となっています。
個人事業主の計算式②
青色申告の場合です。
(事業所得及び不動産所得-事業専従者給与もしくは事業専従者控除-必要経費-各種控除+青色申告特別控除額)×税率 = 個人事業税額
青色申告特別控除は個人事業税に適用されません。所得税において青色申告特別控除を受けた補正を行います。
個人事業主の納税時期は8月と11月
2月中旬~3月中旬に前年の確定申告をすることで、8月に個人事業税の納付通知が都道府県税事務所から届きます。一括納付か分割納付を選べる場合もあります。分割払いの納税時期は8月と11月です。
最初の確定申告後は9月になる事も!
他の税金と比べ、最も遅い時期に通知がきます。納税義務がない場合は通知がありません。
個人事業主が納税する方法5つ
自治体によってはクレジットカードの利用も可能です。租税公課として経費申告するために、支払い履歴を管理しましょう。方法は次の5つから選択できます。
1.都道府県税事務所で支払う
県税事務所にて直接支払います。
2.公金収納を扱っている銀行
ゆうちょ銀行、三井住友、三菱UFJほか、多くの銀行で納付できます。ネットバンキング、ATMでの支払いも可能です。
3.公金収納を扱っている信用金庫
地方の信用金庫での納付できます。
4.郵便局窓口
ゆうちょ銀行代理店の郵便局窓口で納付できます。
5.納税金額が30万円以下はコンビニでもOK
コンビニエンスストア収納用バーコードの付いた納付書を利用し、取扱い可能なコンビニで支払いできます。
個人事業税を支払う対象となる条件とは?
個人事業税額は所得や控除額の合算で決定されます。専従者給与や控除額を算入し、課税所得が290万円を超えた場合に納税します。ただし林業や文筆業など、業種によっては免税となります。
個人事業主として白色申告をした時
白色申告をする場合に、課税所得金額に応じて納税します。
個人事業主として青色申告をした時
青色特別控除を受けている場合、個人事業税算出のために補正が必要です。
個人事業税で他に控除は?
「青色事業専従者給与」は、専従者の給与について課税所得金額より控除を受けられるものです。金額は決められていません。控除を受けるためには「青色事業専従者給与に関する届出書」を提出します。
3月15日が提出期限ですが、開業や新たに青色専業専従者となった場合は2カ月以内に申請します。青色申告者と生計を同一にする親族であり、当該年度の12月31日に15歳以上。青色申告者の事業に6カ月を超えて専従していることが条件となります。他に白色申告者は、被災事業用資産の損失について繰越控除を受けられます。
白色申告:専従者が配偶者の場合
白色申告の場合、配偶者の事業専従者控除は86万円です。
白色申告:専従者が配偶者以外の場合
配偶者以外の親族は控除額50万円です。
青色申告:専業主控除
事業主控除として、年間を通じ行っている事業では290万円の控除を受けられます。事業を行った期間が1年に満たない場合、月割りでの計算となります。
青色申告:事業繰り越し控除
前年の事業所得が経費を下回った場合には、事業繰越控除が受けられます。翌年以降3年間、繰り越して事業の所得からその損失額を控除することができます。事業用資産の譲渡によって生じた損失も控除を受けられます。土地、構築物、建物、無形固定資産を除く、機械、車両、工具、備品などが対象となります。
【まとめ】個人事業主になったら個人事業税を納めよう!
個人事業税の仕組みを知り、控除の対象項目を把握して節税することができます。控除限度を上回る事業所得分を納税しましょう。確定申告をして通知を待ち、納税の場合は通知が送られます。専従者等の状況に変更あれば、更新の申請を。確認の徹底が必要です。