住民税の納付で個人事業主が押さえるべきことは?算出方法から支払いまで、必要な処置を確認しましょう。勘定科目や納付時期についても、具体的に納税する上で知っておきたいポイントです。
個人事業主と住民税の関係
住民税は事業主個人へ課される税金です。「租税公課」での経費処理はできません。事業用の銀行口座から口座振替で納付した場合、「事業主貸」という勘定科目で処理しましょう。現金納付した場合、帳簿づけは不要です。
前年の収入が多ければ多いほど住民税は高くなる
住民税の税額は、定められた額で一律に課される均等割と、前年の課税所得に応じて課される所得割を合計した額となります。
毎年確定申告を受ける事で住民税が決まる
個人事業主が支払う住民税は所得税と違い、自分で計算し申告する必要がありません。前年の確定申告をもとに、市区町村が個別に計算して通知されます。郵送される納付書を受け取り、それを使って住民税を納付します。
そもそも住民税とは?
住民税は都道府県や市町村に納める税金です。都道府県に支払う都道府県民税と、市町村に支払う市町村民税とがあり、この2つをあわせて住民税と呼んでいます。
住民税は地域の行政サービスを行うために使われる
住民税は「普通税」に区分されます。税収の使途を特定していない税金のことで、一般税とも呼ばれます。国や地方公共団体の一般財源に充てられる税金で、用途の決まっている「目的税」と比べ、課税対象者を限定せず広く課税されます。
住民税の主な用途は、公債費や税連動費用です。東京都の場合では、都債の償還金や市区町村へ分配されます。他にも福祉や健康関連、たとえば高齢者支援や子育て支援がありますし、文化や教育など、学校に関する支出や図書館等への支出にもあてられます。他には都市整備、警察や消防など地域の生活を支えるために支出されます。
市区町村では道路の建設や整備の他、市区町村が展開しているごみの収集費や、公共施設の整備に使われます。私達の生活に身近なものに使われるのが住民税です。
都道府県が徴収する税金
- 都道府県民税
市町村が徴収する税金
- 市町村民税(東京23区は特別区民税)
個人が支払うものと法人にかかるものがある
法人住民税では所得と資本金が計算に含まれますが、個人事業主の住民税では含まれません。算出方法が異なります。
個人事業主の住民税の算出方法
個人事業主の住民税は、「市区町村民税」と「都道府県民税」の2つの合算です。それぞれが「均等割」での税額と「所得割」による税額を足し合わせたものです。均等割は所得金額に関わらず定額で課税される部分、所得割は納税者の所得に応じて課税される部分です。
住民税を算出する計算式
住民税の税額は、前年の課税所得に応じて課される所得割と、定められた額で一律に課される均等割を合計した額となります。
均等割は所得に関係なくかかる平等の税金
均等割はすべての納税者が同額を納めます。都道府県民税の均等割は1,000円、市区町村民税の均等割は3,000円が標準ですが、超過課税があれば上乗せとなります。
所得割は所得に応じて額が変わってくる
所得割は所得金額から計算されますので納税者によって金額が変動します。都道府県民税の税率は一律4%、市区町村民税の税率は一律6%が基準となっていますが、自治体によって増減税があります。
所得割の計算式
税額は、次の計算式で算出します。
(所得金額-所得控除額)×10%-税額控除額=所得割の税額
個人事業主の住民税の納付時期はいつ?
住民税は毎年6月から納付がスタートし、翌年の5月に完納します。給与所得者の場合は毎月の給与から月割りの住民税を支払いますが、個人事業主や無職の場合は納付書による一括納付、または年4回の分納となります。一括納付は、6月末での1回となります。
第1期 住民税の納付期限
- 6月末
第2期 住民税の納付期限
- 8月末
第3期 住民税の納付期限
- 10月末
第4期 住民税の納付期限
- 1月末
個人事業主の住民税の納付できる窓口4つ
普通徴収される住民税は、納付書に指定された金融機関の窓口やコンビニエンスストア、役場の窓口などで現金納付します。
市区町村の役場や役所
役場や役所で納付する場合、一部の市区町村ではクレジットカード決済が可能です。クレジットカード決済ができない市区町村でも、一部の電子マネーならチャージ額から納付できる場合もあります。
納付額30万以下でバーコードが付いている納付書はコンビニOK
納付書がペイジーに対応していれば、コンビニで現金納付が可能です。
ゆうちょ銀行
ペイジーマークのついている払込書・納付書で全国のATMを利用するか、またはペイジーサービスに対応しているWebサイトでパソコン・携帯電話を利用して納付できます。その場合は、ゆうちょダイレクトの申込みが必要です。
銀行・信用金庫
受付で納付書を渡し口座振替または現金で納付します。ネットバンキングを利用した納付が可能な場合もあります。
【まとめ】個人事業主として住民税を納めるには確定申告を行おう
まずは正確に確定申告を行いましょう。税額は自治体によって変わります。申告から作られた納付書を郵送で受け取ったら期限内に、この記事で紹介したいずれかの方法で納税し完了です。事業口座より支払いを行った場合は、勘定科目「事業主貸」で処理します。