クラウド会計・確定申告

個人事業主の所得税の算出法と税金対策するための控除11項目

将来事業主として開業するまたは開業したいと考えている方は所得税について正しい知識をお持ちでしょうか。今回は事業主が納めなくてはならない所得税の算出法や税金対策を見ていきたいと思います。

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そもそも所得税とは?

はじめに、所得税は日本の税の中でも特に触れる機会が多いものです。ですが実際、給料から引かれているものくらいにしか認識していない人も多いことでしょう。

今回はそんな所得税について、そもそもどういったものなのか法律を交えてご説明します。

収入から所得税控除を引いた金額に対して課せられる税金

一定以上の収入がある国民は所得税を納めなけらばならない義務が生じます。事業主や会社員はもちろん、フリーターやアルバイトでも定められた額以上のお金を稼いだら、国に所得税を納めなければなりません。

そしてそれは1年間の収入から所得税控除を引いた金額に対して一定の税率で課せられるものです。つまり収入が多ければ多いほど納める税金は増え、少なければ少ないほど納める税金は少なくなります。

所得税控除の「控除」とはある金額から一定の金額を差し引くことです。医療費や生命保険などの定められた機関に支払った額に応じて、課せられる税額から一定の金額が差し引かれる仕組みになっています。

個人事業主の所得税はいくら?算出法について

働いている人ならもちろん所得税がどういったものか知っていると思いますが、肝心のそれを求める計算方法はどうでしょう?会社員ならまだしも個人事業主は自分で所得を計算して税額を申告しなければなりません。

個人事業主の納める税の中でもメインとなる所得税の算出方法については、しっかりとした知識を持っている必要があります。

所得税の算出方法

基本的な所得税の算出方法はこちらです。

所得税=課税所得×税率-税額控除額

課税所得と税額控除額についてはおいおい説明するとして、税率は国税庁のホームページに掲載されている所得税速算を転写します。

所得金額 税率 控除額
195万円以下 5% なし
195〜330万円 10% 97,500円
330〜695万円 20% 427,500円
965〜900万円 23% 636,000円
900〜1800万円 33% 1,536,000円
1800〜4000万円 40% 2,796,000円
4000万円以上 45% 4,796,000円


またお金を稼いでいても税のかからない範囲があることをご存知でしょうか?それが下記のいずれかに当てはまるケースになります。

  • 1年間の給与所得額が103万円以下(給与所得控除65万円)
  • 65歳未満で1年間の年金受給額が108万円以下(公的年金等控除70万円)
  • 65歳以上で1年間の年金受給額が158万円以下(公的年金等控除120万円)

これらはそれぞれの控除額と基本控除の38万円を利用して所得が0になるので、所得税を納める必要がなくなります。どれだけ控除を利用するかで所得が変わってくるので、その分節税することも可能です。

課税所得の算出法

あまり聞きなれない言葉ですが課税所得とは税金が課される対象となる所得金額のことです。計算式はこちらです。

課税所得=総支給額-非課税の手当-所得控除

総支給額は課税の対象である基本の給料に合わせて各種手当のことを示します。非課税の手当とは所得税として納税する対象とならず、まるまる手元に残るお金になります。

非課税所得として扱われる主な手当
  • 通勤手当(上限額15万円)
    一般的に交通費として会社員やアルバイトに支給される手当です。自宅から現場や会社までのバスや電車の乗車料、車やバイクのガソリン代が含まれます。
  • 出張費、転勤費
    仕事の都合で出張や転勤が必要になった時に支給される手当です。ただし通常必要とされる額までと範囲が決められています。その範囲は企業内で役職にかかわらず適正な支給額であるか、また同じ業種で同じ規模の他企業と比べて一般的な額に相当するか判断されます。
  • 学資金
    従業員の知識や技術向上、資格取得のために支給される手当です。以下の条件を満たす場合に限り非課税所得として扱われます。

    1.本来の給与に上乗せした支給であること
    2.親族のために支給されていない(個人事業)
    3.従業員関係者のために支給されていない
    4.役員に支給されていない(法人)
    5.役員関係者のために支給されていない(法人)

逆に課税の対象なのは残業手当や休日出勤手当、住宅手当や家族手当、役職手当や退職手当などの各種手当になります。

復興特別所得税って何?

「3.11」とも称される東日本大震災は7年以上たった今も記憶に新しいことと思います。日本政府は直接的な被害額を16〜25兆円と試算しており、世界銀行の推定では史上最も巨額に及ぶ自然災害による経済損失としています。

源泉徴収票を見て新たな項目が増えたことに気がついた方もいると思いますが、それが東日本大震災をきっかけに2013年より導入された復興特別所得税です。

東日本大震災被災地復興のための財源確保のための税金

東日本大震災の復興ための財源確保として制定されたのが復興特別所得税です。2013年から2037年分までを予定されており、給与と報酬、賞与も課税の対象となっています。納付については確定申告の所得税と合わせて納めることが定められています。

復興特別所得税の計算方法

復興特別所得税を求める式はこちらです。

復興特別所得税=所得税×2.1%

税率は一律で1円未満の端数が発生したら切り捨てる決まりになっています。

個人事業主の所得税の控除11項目

この章では基本的な控除について詳しく説明したいと思います。そもそも控除とは納税対象者の個人的な生活を考慮して設けられた制度なので、正しい知識をもって認められているものはしっかり利用しましょう。

基礎控除

すべての納税者に対し無条件で38万円の控除があります。

雑損控除

災害や盗難や横領などにより資産について損害を受けた場合、損害額に応じて一定の控除があります。その対象は資産の所有者が納税者または納税者と生計を共にする配偶者や親族で、その年の総所得金額等が38万円以下の者になります。

そして雑損控除が受けられるのは棚卸資産、事業用固定資産等、生活に通常必要でない資産のいずれにも該当しない資産と定められています。つまり住宅や自家用車、家財などの生活に必要のある資産が控除対象になります。

また通常必要でない資産とは趣味や娯楽、保養や鑑賞目的で保有する不動産や会員権、貴金属製品や書画、骨董など一個または一組の価格が30万円以上のものなどが含まれます。

対象となる損害原因(詐欺や恐喝は対象外)

  • 震災、冷害、雪害、風害、水害、落雷などの自然災害
  • 火災や火薬類の爆発など人的による異常な災害
  • 害虫や野生動物などの生物による異常な災害
  • 盗難
  • 横領

控除額についてはまず差引損失額を計算しましょう。

差引損失額=損害額+損害に関連してやむを得ず支出した金額-保険金などで補てんされる金額

そして次のどちらか大きい方の金額を控除として受けることができます。

  1. 差引損失額-総所得金額等×10%
  2. 差引損失額のうち災害関連でやむを得ず支出した金額-5万円

また損失額が大きくその年の所得額から控除しきれない場合、翌年以降に繰り越すことができますが3年間と限られています。

医療費控除

その年の医療費の自己負担額が一定額以上になった場合に適用されます。生計を一つとする家族がいる場合、家族全員の合計額を計算することが認められています。対象となるのは病気や怪我の治療等に必要となった費用や薬代、検査費や出産費、入院費などです。美容整形費用や健康目的のビタミン剤等の代金、病院の駐車場代などは対象外です。

これらの医療費の合計から保険会社や国からの補てん(生命保険や出産育児一時金など)を差し引きます。この金額が実際にかかった医療費、つまり医療費の自己負担額です。

そして次の計算式によって控除額が求められます。

医療費控除額=自己負担額-10万円または総所得金額等の5%のどちらか少ない額

社会保険料控除

健康保険や雇用保険、厚生年金保険などを支払っている場合その全額が控除されます。また生計を一つにする家族の分も自分が支払っている場合は控除を受けることができます。

控除対象となる保険料
  • 国民年金保険料
  • 厚生年金保険料
  • 健康保険料
  • 国民年金基金の掛金
  • 労働保険料(雇用保険、労災保険)
  • 後期高齢者医療制度の保険料
  • 介護保険法の規定による介護保険料

寄附金控除

国や地方公共団体などに国が定める特定寄附金を支出した場合に受けられる控除です。寄附金控除額は次のいずれか少ない額から2千円差し引いた金額になります。

  1. 1年間の特定寄附金の総額
  2. 1年間の総所得金額等の40%相当額

障害者控除

納税者自身または扶養親族に所得税法で当てはまる障害者がいる場合、一定の金額が控除として受けられます。障害者1人につき27万円、特別障害者に該当する場合40万円、同居特別障害者は75万円となります。

同居特別障害者とは同居扶養親族の中に特別障害者に該当する人がいる場合に当てはまり、特別障害者の40万円に35万円上乗せされる制度です。

寡婦(夫)控除

「寡婦(かふ)」とは夫を失って独身の女性のことを言い「おんなやもめ」とも読まれます。下記に当てはまる人は寡婦控除の対象となります。

  • 夫と死別もしくは離婚しその後婚姻していない人で扶養親族または生計を一つにする子供がいる人
  • 夫の生死が明らかでない一定の人で扶養親族または生計を一つにする子供ががいる人

子供は総所得金額が38万円以下であり、他人の扶養家族や同一生計配偶者になっていない場合と限られます。

  • 夫と死別もしくは離婚しその後婚姻していない人で合計所得金額が500万円以下の人
  • 夫の生死が明らかでない一定の人で合計所得金額が500万円以下の人

上記のいずれかに当てはまる寡婦は一般の寡婦として27万円の控除を受けることができます。そして下記の条件全てに当てはまる寡婦は、特別の寡婦として35万円の控除をうけることができます。

  1. 夫と死別もしくは離婚しその後婚姻していないまたは夫の生死が明らかでない
  2. 扶養親族である子供がいる
  3. 合計所得金額が500万円以下である

勤労学生控除

アルバイトなどで働いている特定の学生や生徒が、1年間の給与所得が一定額以下の場合に27万円の控除を受けることができます。

特定の学生や生徒の対象
  • 学校教育法の定める高等学校や大学、高等専門学校などの生徒
  • 国や学校法人等、地方公共団体により設立された専門学校などで単位修得のために特定科目を学ぶ生徒
  • 職業能力開発促進法の定める職業訓練法人で一定の課程を学ぶ生徒

扶養控除

納税者に養っている配偶者や家族その他親族がいる場合に受けることのできる控除です。下記の条件全てに当てはまる場合のみ対象となります。

  • 配偶者以外の親族または里子(都道府県知事から養育を委託された児童)または市町村長から養護を委託された老人である
  • 納税者と生計を一つにしている
  • その年の合計所得金額が38万円以下である(給与収入の場合103万円以下である)
  • 青色申告者または白色申告者の事業専従者としてその年を通して、一度も給与の支払を受けていない

控除額は国税庁のホームページに掲載されている表を転写します。

区分 納税額
①一般の控除対象扶養親族 38万円
②特定扶養親族 63万円
③老人扶養親族(同居老親等以外の者) 48万円
④老人扶養親族(同居老親等) 58万円
  • ①一般の控除対象扶養親族
    控除対象扶養親族のうちその年の年末現在の年齢が16歳以上の人が当てはまります。
  • ②特定扶養親族
    控除対象扶養親族のうちその年の年末現在の年齢が19歳以上23歳未満の人が当てはまります。
  • ③老人扶養親族(同居老親等以外の者)
    まず老人扶養親族とは控除対象扶養親族のうちその年の年末現在の年齢が70歳以上の人が当てはまります。同居老親等以外の者とは同居していない納税者やその配偶者の親、同居別居問わず納税者やその配偶者の伯父伯母や兄姉などが当てはまります。老人ホーム等に入所している老人扶養親族もこちらに当てはまります。
  • ④老人扶養親族(同居老親等)
    老人扶養親族で普段同居している納税者またはその配偶者の直系の尊属が当てはまります。病気や怪我などの治療のため入院期間が1年以上になった場合も同居として扱われます。

配偶者控除

配偶者が下記の条件を全て満たしているときに一定額の控除が受けられます。

  • 民法上の配偶者である
    婚約者や事実婚、内縁関係は認められません
  • 納税者と生計を一つにしている
    同居別居は問われませんが収入源を共有している必要があります。
  • その年の合計所得金額が38万円以下である
    給与所得のみの場合は103万円以下になります。
  • 青色申告や白色申告の事業専従者でないこと
    納税者が自営業の場合、家族が従業員として手伝っていると控除の対象外となります。

そして2018年分から納税者の合計所得金額が1,000万円を超えていないという条件が加わりました。なお、控除額は38万円です。

特定支出控除

給与のある従業員が会社から支給されない経費を支払った時、認められる支出の1年間の合計額が給与所得控除の半額を超えた場合に受けられる控除です。

個人事業主の所得税はいつ払う?納付時期について

次は所得税の納付時期について見ていきましょう。確定申告のように通知などが届くわけではないので、必ず納付期間を把握しておきましょう。

その年の確定申告を提出する年の3月まで

所得税の納付期限は期限日が土日祝日に重ならない限り、毎年3月15日までと定められています。ズレる場合は翌平日までが期限となります。つまり確定申告の期限と同じなので、申告後すぐに納税するイメージです。

納付方法
  • 窓口納付
    税務署や郵便局などの金融機関に直接出向き現金で納税方法で、各機関に設置されている納付書を添える必要があります。
  • 振替納税
    銀行口座から口座振替にて納税方法で、事前に税務署に利用届出書を提出する必要があります。
  • 電子納税
    インターネットバンキングやATM等で納税する方法で、事前の登録手続きが必要になります。
  • ダイレクト納付
    国税庁が運営するe-Taxで銀行口座から口座振替にて納税する方法で、事前の届出等とe-Taxの登録手続きが必要になります。
  • コンビニ納付
    納税額が30万円以下に限り国税庁が委託したコンビニエンスストアの窓口で納税する方法で、事前にQRコードまたはバーコードを作成する必要があります。

【まとめ】個人事業主の所得税は確定申告で決まる!

所得税について理解を深めることは国民の義務であると同時に節税効果も期待することができます。申告の義務がある個人事業主は、所得税の算出法や控除項目をしっかり把握して確定申告に備えておきましょう。

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