初めて確定申告をする方は、申告方法についていろいろ調べている時期ではないでしょうか。とりあえず申告用紙を入手してみたという方や確定申告ソフトを検討している方もいると思います。
確定申告は手書きでもオンラインでも作成できますが、今回はやっぱり手書きがいいという方のために、申告用紙の書き方や各項目についてまとめます。申告用紙が手元にあるという方はぜひ照らし合わせながらチェックしてみてください。
確定申告を手書きで行う時の5つの注意点
まずは、確定申告を手書きで行うときの注意点を5つ紹介します。今回は、事業所得がある方の申告を想定してまとめます。給与所得だけの方は作成する書類や使用する様式が異なるのでご注意ください。
白色申告の場合は収支内訳書が必要
白色申告をする場合は、収支内訳書が必要です。所得税の確定申告には、白色申告と青色申告があります。白色申告は、所得の種類に関係なく誰でもできる申告方法です。青色申告は、事業所得、不動産所得、山林所得のある人だけが申告できる申告方法で、特典もいくつか用意されています。
青色申告の場合は青色申告決算書が必要
青色申告の場合は、青色申告決算書が必要です。青色申告決算書は、白色申告で言うところの収支内訳書にあたりますが、青色申告特別控除額や貸倒引当金繰入額などを記入する欄が設けられていたり、貸借対照表が付いていたり青色申告用のスタイルになっています。
確定申告書Bと添付書類を用意する
確定申告書Bと添付書類を用意しましょう。確定申告書の様式にはAとBがありますが、A様式は所得の種類が主に給与所得や公的年金などの方が用いる様式なので、事業所得のある方はB様式を使用します。
申告の際は、源泉徴収票や社会保険料控除など各種控除の関係書類、マイナンバーに関する本人確認書類を添付する必要があります。添付忘れがないようにしっかり確認しましょう。
ボールペンで記入する必要がある
申告用紙にはボールペンで記入する必要があります。鉛筆など消しゴムで簡単に消えてしまうものは用いず、黒いインクのボールペンで強く記入します。
間違ったら二重線で消す必要がある
間違ったら二重線で消す必要があります。訂正する場合は、修正液などで上塗りせずに、訂正する文字を二重線で消し、上下の欄などの余白に訂正がわかるように記入します。
白色申告で確定申告を行う時の書き方
次は、白色申告で確定申告を行う時の収支内訳書の書き方をまとめます。
収支内訳書1 申告する年と事業者情報の記入をする
収支内訳書の1ページ目に、申告する年と事業者情報を記入します。業種名欄には、事業の内容を具体的に書きましょう。
収支内訳書1 一年間の売上や経費・所得・仕入を記入
一年間の売上金額、売上原価、経費など収支の一覧を記入し、年間の所得金額を算出します。
収支内訳書1 経費の記入・給料賃金・弁護士や税理士への支払い
前項で記入した経費のうち、給与賃金、弁護士や税理士などへの報酬の内訳を記入します。
収支内訳書1 事業専従者の氏名の記入
専従者控除を受ける場合は、「事業専従者の氏名等」欄に必要事項を記入します。
収支内訳書2 売上・仕入を取引先ごとに記入
次は2ページ目です。売上金額と仕入金額を取引先ごとに記入します。
収支内訳書2 減価償却費・地代家賃・利子割引料の記入
最後に、減価償却費の計算と地代家賃の内訳、利子割引料の内訳を記入して終了です。各項目を計算しながら記入する場合は、内訳を先に記入して、最後に1ページの表に転記し、所得金額を算出してもOKです。
青色申告・青色申告決算書を手書きで行う時の書き方
次は、青色申告で確定申告を行う時の青色申告決算書の書き方をまとめます。
青色申告決算書1 日付・事業者情報を記入する
青色申告決算書の1ページ目に、申告する年と事業者情報を記入します。業種名欄には、事業の内容を具体的に書きましょう。
青色申告決算書1 売上-原価の金額
まずは、売上金額と売上原価をそれぞれ記入します。その後、売上金額から売上原価を差し引いた差額を算出して記入します。
青色申告決算書1 経費を勘定科目ごとに記入する
経費を勘定科目ごとに記入します。その後、前項で算出した売上金額と売上原価の差引金額から経費を引いた金額を算出して記入します。
青色申告決算書1 貸倒引当金・専従者給与の記入
貸倒引当金と専従者給与があれば記入します。その後、前項で算出した差引金額から青色申告特別控除前の所得金額を算出して記入します。青色申告には貸倒引当金の繰入額と専従者給与を経費として計上できる特典があるので、この欄が用意されています。
青色申告決算書1 青色申告特別控除額と所得金額を記入する
青色申告特別控除額を記入します。青色申告をする人は、10万円か65万円のどちらかの控除を受けられます。2ページ目の「青色申告特別控除額の計算」に当てはめて計算した控除額を記入して、所得金額を算出します。
青色申告決算書2 月ごとの売上金額と仕入金額の記入
次は2ページ目です。一年間の売上金額と仕入金額を月ごとに記入します。
青色申告決算書2 給与賃金の内訳の記入・専従者給与の内訳を記入
従業員を雇っている場合や家族に給料を払っている場合は、給与賃金の内訳と専従者給与の内訳に氏名や支給額など必要事項を記入します。
青色申告決算書2 貸倒引当金の記入をする
貸倒引当金の繰入額がある場合は、その計算について記入します。
青色申告決算書2 青色申告特別控除額と控除前の金額を記入
青色申告特別控除額の計算について記入する欄です。ここで計算した金額を1ページ目の該当欄に転記します。
青色申告決算書3 減価償却費・利子割引料・税理士・弁護士報酬を記入
次は3ページ目です。減価償却費の計算、利子割引料、税理士や弁護士などの報酬の内訳を記入します。
青色申告決算書3 地代家賃を記入する
地代家賃の内訳を記入します。自宅を仕事場として使用している場合は、自宅と仕事場の面積比などに応じて家賃を按分して計上できます。その場合、特記事項欄に計算方法を記載しておくとわかりやすくて親切です。
青色申告決算書4 貸借対照表と製造原価の計算を記入
最後は4ページ目です。4ページ目には、貸借対照表と製造原価の計算について記入する欄があります。製造原価は損益計算書の仕入金額にあたります。先にこの欄に記入して算出したあと損益計算書の該当欄に転記します。青色申告特別控除で65万円の控除を受ける場合は、必ず貸借対照表を記入する必要があります。
確定申告書Bの手書きでの書き方
次は、確定申告書Bの書き方をまとめます。確定申告書Bは、白色申告でも青色申告でも共通して提出する書類です。
⇒国税庁「所得税及び復興特別所得税の確定申告書|申告書B様式」
第一表 税務署名・提出日・対象年度を記入
まずは第一表です。税務署名、提出日、対象年度を記入します。
第一表 事業者情報・個人番号の記入
事業所情報と個人番号を記入します。自宅住所地を管轄する税務署ではなく、事務所などの所在地を管轄する税務署に申告する場合は、事務所などの所在地の郵便番号、所在地と住所を記入します。また、申告書にはマイナンバーの記入が必要です。
第一表 収入(農業・不動産以外は営業等)と合計に記入
収入金額と所得金額を記入します。白色申告の場合は収支内訳書、青色申告の場合は青色申告決算書からそれぞれ転記します。転記したあと、合計を計算し記入します。
第一表 控除を記入
所得から差し引かれる金額(控除)について、該当する控除額を計算して記入します。
第一表 所得税及び復興特別所得税を計算して記入
次は税金の計算です。まず、ここまでの記入を基に課税される所得金額を計算します。この金額によって税率と控除額が決まっているので、対応する計算式に基づいて税額を計算して記入します。さらに、住宅借入金等特別控除などがある場合は算出した税額から控除します。この税額を基に所得税と復興特別所得税を計算し合算して記入します。
第一表 青色申告特別控除額・専従者給与を記入
青色申告の場合は、青色申告特別控除額と専従者給与を記入します。ここには青色申告決算書から転記します。白色申告で専従者控除を受ける場合も、この欄に転記します。
第一表 口座番号の記入
税額を計算し、還付金がある場合は、還付される税金を受け取る銀行等の口座番号を記入します。
第二表 対象年度・事業者情報を記入
次は第二表です。対象年度と事業者情報を記入します。
第二表 源泉徴収された税額の記入
「所得の内訳」欄に、所得の種類ごとに収入金額と源泉徴収された税額を記入します。源泉徴収額の合計額は、第一表の「所得税及び復興特別所得税の源泉徴収税額」に該当します。
第二表 本業以外の所得を記入
本業以外で得た所得、例えば雑所得や譲渡所得、一時所得などがあれば、所得の種類ごとに記入します。
第二表 各種特例(住宅ローン控除など)の開始年月日の記入
住宅ローン控除などの特例を受ける場合には、「特例適用条文等」欄に居住開始年月日などを記入します。
第二表 第一表で記入した各種控除の詳細を記入
「所得から差し引かれる金額に関する事項」欄には、第一表に記入した各種控除に関する詳細を記入します。
第二表 事業専従者の情報の記載
「事業専従者に関する事項」欄に氏名など必要事項を記入します。
第二表 住民税・事業税・16歳未満の扶養家族・税額控除・事業税
最後に、「住民税・事業税に関する事項」欄を記入します。住民税には、同一生計配偶者と16歳未満の扶養家族がいる場合、記入する必要があります。
確定申告書の作成方法は手書きだけじゃない!
ここまでは、確定申告書を手書きで作成する方法を見てきましたが、申告書は手書きでなくても作成できます。
手書きで作成するのが大変な場合はパソコンで作成できる
パソコンで作成する方法もあります。手書きの場合、何よりも計算が大変です。手計算は間違いやすいですが、パソコンなら計算式に当てはめるだけで自動で計算してくれたり、計算式を見返したりできるので、誤りも見つけやすくなります。
ソフトを使って作成すると確定申告が楽になる
ソフトを使って作成する方法もあります。パソコンやスマートフォンにソフトをインストールして使うタイプのものとオンライン上で使うタイプのものがあります。ソフトを使えば計算式も組み込まれているのでより間違いも起こりにくくなります。オンライン版のソフトなら電子申請に対応しているものもあるので、提出までボタンひとつでできるのもメリットです。
オンラインの確定申告は事前に準備が必要
パソコンやスマートフォンで作成するのはソフトやオンラインで簡単にできますが、提出をするには事前に準備が必要です。オンラインで確定申告を行いたいという方はチェックしてみてください。
【まとめ】確定申告の手書きの項目はとても多く時間がかかります!
今回は、確定申告書を手書きで作成する際の書き方についてまとめました。申告書は記入する項目が多く、計算も必要でとても多くの時間がかかります。手書きでは誤りが起こりやすく、一度提出してもまた戻されてしまったらさらに手間がかかってしまいます。ソフトを利用してパソコンなどで作成する方法も検討してみてはいかがでしょうか。