会社経営や個人事業主として開業したら避けて通れないのが帳簿の管理です。数字が苦手、簿記が苦手、そもそも何をしていいのかわからない方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は初めてでも帳簿づけを失敗しないよう、手書きする時の注意点や作業を楽にする方法をご紹介します。
帳簿を手書きで行う時の5つの注意点
税理士に帳簿の管理をお願いするのも一つの方法ですが、もちろん何万円もお金が掛かるので、収入が少ない人や勿体無いと感じる人は自ら帳簿をつけましょう。
そこで自分で帳簿づけを行うにあたってまず悩むのが、パソコンで行うか手書きで行うかです。決まりはありませんが、パソコンが不得意な人や簿記の知識が全くない人は手書きから始めることをおすすめします。
ではそんな手書きで行う時の注意点を見ていきましょう。
確定申告を意識して帳簿を付ける事
帳簿をつけるのは手間も時間もかかります。正直面倒と感じている方も多いでしょう。ではそもそも何のために帳簿をつけるのでしょうか?それは会社の現状を正確に把握するためですよね。
赤字や倒産など危機的状態を招かないためにも、お金の流れをきちんと知っておくのは事業主にとってとても大切な仕事です。なので自分だけが分かるような簡単な帳簿でも、会社の維持や成長のためになっているのならそれで構いません。
しかし帳簿をつける理由はもう一つあります。それは法律で個人や法人の1年間で得た所得に対する納税額を、確定させるための申告手続きをしなければいけないと定められているからです。そして確定申告は必要書類や必要記入事項が定められています。つまりせっかく帳簿をつけていても、確定申告に必要な項目を記入していなければ意味がありません。
なので自分だけが分かるような自己流の帳簿でもかまいませんが、確定申告を意識して記帳を行う必要があります。それは自分や会社のためでなく国民としての義務だからです。
青色申告を行うか白色申告を行うかで書き方が違う
確定申告には青色申告と白色申告の2種類があります。それぞれ帳簿が必要なことに変わりはありませんが、白色申告は単式簿記という簡易な帳簿づけが認められています。必要項目が分かっていれば、持っているノートに線をひっぱって記録してもOKです。おこずかい帳や家計簿をつけるのと同じようにシンプルな記帳で済むので初心者向きです。
簿記が苦手な人や時間がない人は白色申告が良いでしょう。そして青色申告は複式簿記という難しい帳簿づけあるいは簡易簿記と現金主義簡易簿記、3つの中から選択することが可能です。
青色申告の場合は節税効果が期待できるなど、白色申告にはない特典があります。そしてその分、帳簿づけに手間がかかったり事前に申請しなければならない書類があるなど、労力が必要です。
記入する科目が多いので正しく記帳する事
今から簿記の基礎知識である勘定科目についてご説明します。この言葉に馴染みがない人には頭に「?」マークが浮かんでいることでしょう。ですがこの勘定科目とは帳簿をつけるにあたって決して無視することのできない存在なのです。
まず簡単に何のことなのかを説明すると、帳簿に記載するすべての取引の内容を表す科目のことを勘定科目と言います。例にすると500円の売上がありお代は現金で受け取ったとします。
この取引を記載する場合、現金と売上という勘定科目にそれぞれ500円と記載します。これでこの取引を帳簿上で表すことができます。つまりお金の流れを内容別に記すのに必要な科目のことです。
そしてこの勘定科目は資産、費用、負債、純資産、収入の5つに分類されています。それぞれ数十種類もの勘定科目があるので、科目を正しく記載するよう注意が必要です。
帳簿は複数必要である事
白色申告も青色申告も申告手続きの際に帳簿を提出することはありません。しかし記載漏れがあったなど税務調査で開示が求められる場合があるので、帳簿の作成、記帳とともに規定期間の保管が義務付けられています。
白色申告では収入金額や必要経費を記録した法定帳簿とそれ以外の取引があった場合の任意帳簿が必要です。青色申告ではさらに必要で簡易簿記では現金出納帳、売掛帳、買掛帳、固定資産台帳、経費帳の5つの帳簿が必要です。
そして現金主義では現金に関する帳簿つまり現金出納帳のみの記録が認められていますが、現金以外の取引があればその帳簿も必要になっています。そして青色申告の複式簿記では仕訳帳、総勘定元帳、現金出納帳、売掛帳、買掛帳、固定資産台帳、経費帳、など複数必要とされています。
年末に賃借対照表を作らなくてはならない事
貸借対照表とはB/S(バランスシート)とも呼ばれるもので、その会社の財産を一度に見て分かるように作成する表です。決算時にすべての帳簿の記入に間違いがないか、確かめるためにも必ず作成しなければならない書類の一つです。
白色申告をする時に必要な項目
先ほど簡単に説明しましたが確定申告には白色申告と青色申告の2種類があります。どちらにするかは自分で選べますが、青色申告は開業届を届け出す際に青色申告承認申請書を提出する必要なあります。
つまり事業を始める際に、開業届のみを提出した人は自動的に白色申告になります。この章では白色申告で提出する収支内訳書の項目について見ていきます。
必要な項目がわかっていれば、確定申告で失敗しない帳簿付けができるはずです。
売上
収支内訳書の1ページ目にある収入金額の欄を見ていきましょう。
- ①売上金額
- ②家事消費
- ③その他の収入
- ④計
以上4つの勘定科目があります。
①売上金額
1年間の合計つまり1月1日〜12月31日までの売上の合計金額を記入します。記帳方法は青色申告は取引を1件ごとに記入しなければいけませんが、白色申告は1日の合計売上金額をまとめて記入することが認められています。
また掛売上も相手先別に分けることなくまとめて記入できます。ただし必ず相手先が確認できる請求書などの控えを、一定期間保存しておくよう定められています。
また申告書の2ページ目に売上金額の明細を記入する欄があるので、その際に必要になります。記帳も申告書も手書きでおこなう際は消えないボールペンで記入します。間違えて記入してしまった場合、訂正する文字を2重線で消します。正しい文字はその近くの余白に分かりやすいよう記入します。
売上以外の収入
収入金額の欄にある売上以外の勘定科目について見ていきましょう。
②家事消費
収入なのになんで消費なんだ?と思う方もいるでしょう。これは自分に対して売り上げがあったと考えます。つまり会社で仕入れた商品や製品、材料など本来売上が発生するはずだったものを、プライベートで消費したときに発生する勘定科目です。
ただし対象となるのは販売目的と結びつきのある棚卸資産と、一定の消耗品のみです。サービスの提供は認められていないので、美容師が無料で友人の髪の毛をカットしたからといって、本来発生するはずの売上を家事消費に記入するのはダメです。
③その他の収入
本業以外での収入が発生した際に記入します。副業などやっていなければ記入せずに提出します。
④計
①売上金額と②家事消費と③その他の収入の合計金額を記入します。
仕入
収入金額の下にある売上原価の欄の勘定科目を見ていきましょう。
- ⑤期首商品棚卸高
- ⑥仕入金額
- ⑦小計
- ⑧期末商品棚卸高
- ⑨差引原価
⑤期首商品棚卸高
申告対象期間の始まりの日の商品や製品の総額を記入します。基本的には1月1日時点の棚卸高を記入しますが、1年の途中から事業を始めた場合は開業日時点の商品や製品の総額を記入します。
⑥仕入金額
申告対象期間つまり1月1日〜12月31日までの1年間の仕入の合計金額を記入します。これも1年の途中で開業や廃業した場合、開業日から期末、期首から廃業日の期間を対象とします。
⑦小計
⑤期首商品棚卸高と⑥仕入金額の合計額を記入します。
⑧期末商品棚卸高
申告対象期間の終わりの日の商品や製品の総額を記入します。基本的には12月31日時点の棚卸高を記入しますが、1年の途中で事業を辞める場合は廃業日時点の商品や製品の総額を記入します。
⑨差引原価
⑦小計から⑧期末商品棚卸高を差し引いた金額を記入します。
⑩差引原価
収入金額の欄の下にもうひとつ差引原価の勘定科目があります。これは④計から⑨差引原価を差し引いた金額を記入します。
仕入以外の費用
収支内訳書には仕入以外の費用として経費とその他の経費の欄にいくつかの勘定科目が設定されています。
⑪給料賃金
従業員に支払う給料や手当の総支給額です。従業員を雇わずに一人で仕事をしている事業主は記入しません。
⑫外注工賃
外注費と同じです。外部業者に業務委託つまり仕事を発注した際の手間賃や下請け賃料です。
⑬減価償却費
高額な固定資産を購入した際、その資産を使用する期間にわたって購入費用を分割して計上する方法です。
⑭貸倒金
取引先の経営悪化や倒産などで回収不能となった売掛金や貸付金、未収入金などを計上します。
⑮地代家賃
事務所や店舗、駐車場など土地や建物の使用料や賃借料です。
⑯利子割引料
事業のために借入をして発生した利息や割引料などの勘定科目です。
㋑租税公課
事業にかかる国税や地方税、公共料金などの負担金を記入する勘定科目です。
㋺荷造運賃
商品や製品や郵便物の梱包費用、配送費用を記入する勘定科目です。
㋩水道光熱費
事務所や店舗など事業にかかる水道料金、電気料金、ガス料金などをまとめて記入する勘定科目です。
㋥旅費交通費
移動費や宿泊費などをまとめて記入する勘定科目です。
㋭通信費
事業にかかるインターネット通信料、電話料金などを記入する勘定科目です。はがき代や切手代も含まれます。
㋬広告宣伝費
チラシや看板やインターネット広告など商品やサービスの広告費、宣伝費を記入する勘定科目です。
㋣接待交際費
得意先や事業関係者への接待費用や贈り物などの交際費用を記入する勘定科目です。
㋠損害保険料
事務所や店舗の火災保険、事業で使用する自動車の自動車保険などの保険契約において支払う料金を記入します。
㋷修繕費
事務所や店舗などの建物、車両運搬具や器具備品などの固定資産の修理費用を記入します。
㋦消耗品費
1個または1組の金額が10万円未満のもの、もしくは使用できる期間が1年未満のものを記入する勘定科目です。文具や用紙、作業服などが含まれます。
㋸福利厚生費
社員旅行やお祝い金など従業員の勤労意欲の向上や組織貢献度などを目的とする手当の費用を記入します。
㋾〜㋟
空欄になっているので上記以外の必要経費を追加できます。
㋹雑費
どの経費項目にも当てはまらない必要経費をこの勘定科目に記入します。ただし一時的なものや少額であるものです。
⑰小計
その他の経費(㋑租税公課〜㋹雑費)の合計金額を記入します。
⑱経費計
経費(⑪給料賃金〜⑯利子割引料)の合計に⑰小計を加えた金額を記入します。
⑲専従者控除前の所得金額
ここでは⑩差引金額から⑱経費計を差し引いた金額を記入します。
⑳専従者控除
事業主の家族が事業を手伝っているケースはよく見られますが家族への給与は経費として認められていません。ですが手続きすることで家族への給与も専従者控除という勘定科目で経費になります。
㉑所得金額
申告対象期間の所得金額を記入する勘定科目です。⑲専従者控除前の所得金額から⑳専従者控除を差し引いた金額を記入します。
青色申告をする時の帳簿の書き方
青色申告の際に提出するのは申告書と帳簿をもとに作成した貸借対照表と損益計算書になります。もちろん白色申告同様、帳簿と関係書類は作成そして定められた期間の保存が義務付けられています。
青色申告は白色申告よりも帳簿付けが難しくなりますが、白色申告にはない青色申告特別控除を受けることができます。これは所得税の控除が最大で65万円受けることができ、節税したい人におすすめです。
この章では青色申告に必要な帳簿の書き方をご説明します。その前に青色申告にはすべての取引をまとめた主要簿、取引を目的別に管理する補助簿の作成が必要とされています。
なかでも必要とされているのが複式簿記による帳簿付けが義務付けられている主要簿です。この主要簿とは仕訳帳と総勘定元帳のふたつを言い、どちらも65万円の控除を受けるには必ず必要となってきます。
そして補助簿は現金出納帳や預金出納帳、売上帳や仕入帳などなど様々な種類があります。業種や取引によって作成する必要のあるものとないものがありますが、今回は主に作成される補助簿をご紹介します。
仕訳帳
まずは主要簿のひとつ仕訳帳から見ていきましょう。簿記の勉強をしたことがない人は物事を分類や区別する「仕分け」を思い浮かべるでしょう。では簿記でいう「仕訳」とは一体なんなのでしょうか?
例えば文房具屋さんで1本100円の鉛筆が5本売れたとします。購入者は現金で500円を支払いました。この取引は500円の商品を売り上げたことによって、現金500円の収入があったという内容になります。
これを勘定科目を使って表すと売上に500円、現金に500円となります。つまり仕訳とは勘定科目を使って取引を原因と結果に切り分ける作業のことを言います。
分類するといった意味では「仕分け」と同じですが「仕訳」には一定のルールがあり、この仕訳を使って記帳する方法が複式簿記です。これが難しいと言われているのは仕訳のルールにあります。
- 資産、負債、純資産である勘定科目を借方(左側)とする
- 収益、費用である勘定科目を貸方(右側)とする
- 左右の合計金額は必ず一致する
先ほどの例を使って表すと売上は収益に当てはまるので貸方(右側)に、現金は資産に当てはまるので借方(左側)にと切り分けることができます。一見単純のように思えますが、数ある勘定科目が何に当てはまるのか、とても間違えやすく難しい作業なのです。
上記に基づいてすべての取引を起こった順に記帳するのが仕訳帳になります。ではその書き方を必要項目ごとに見ていきましょう。
日付
取引の行われた日付を日付欄に記入します。同じ日に取引が複数ある場合は同上という意味の、ノノ字点を使います。ただし勘定科目と金額に使ってはいけません。
摘要
仕訳した取引を摘要欄に記入します。借方の勘定科目を左に寄せて記入します。次の行に貸方の勘定科目を右に寄せて記入します。なお記入する勘定科目はすべて()を付けます。
勘定科目が複数ある場合は勘定科目の上の諸口と記入します。
小書き
摘要欄に記入した仕訳の下の行に取引の内容を簡潔に記入します。小書きの下に赤で仕切り線を引いてひとつずつ取引を区切ります。仕切り線を引くのは摘要欄だけです。
元丁
総勘定元帳への転記が完了したことを、総勘定元帳の勘定科目の口座番号またはページ数を元丁欄に記入して確認します。
金額
借方欄と貸方欄にはそれぞれ勘定科目の金額を記入します。摘要欄に記入した勘定科目と行、左右を間違えないよう確かめながら記入しましょう。
繰越
次のページに記入する際は摘要欄の最後の行に「次ページ繰越」または「次ページへ」と記入します。同じ行の借方欄と貸方欄にはそのページのそれぞれ合計金額を記入します。次のページからは最初の行に「前ページ繰越」または「前ページから」と記入します。同じ行の借方欄と貸方欄には前ページで記入した合計金額を記入します。
ひとつの取り引きがそのページに収まらないときは、次のページにすべてを記入します。またページの最後に余白が生じた際は、余白線といって斜線を引いて不正を防止します。
総勘定元帳
もうひとつの主要簿である総勘定元帳とは、仕訳帳の取引を勘定科目ごとに分けて転記した帳簿です。仕訳帳に総勘定元帳に転記したかを確認する元丁欄という項目があるように、仕訳帳と同時に作成する帳簿です。
勘定科目ごとにページを設けページ中央に勘定科目、右側に勘定口座番号を記入します。この勘定口座番号が仕訳帳の元丁欄に記入する番号になります。
ではその書き方ですが基本的には仕訳帳の内容を転記するのですが借方は左へ貸方は右へと分けて転記する標準式と、取引ごとに残高を計算する残高式があります。新たな記入項目のある残高式について見ていきましょう。
借/貸
その勘定科目の残高がプラスなのかマイナスなのか、借または貸と記入します。
残高
取引があった時点での残高を計算して記入します。正直帳簿の中でも主要簿の作成が1番手間のかかる作業です。青色申告の中でも記帳方法を選べるので、面倒な人は主要簿を作成しない簡易簿記や現金主義簡易簿記をおすすめします。
大事なことなので何度も言いますが65万円の控除を受けるには複式簿記による仕訳帳と総勘定元帳の作成が必要です。簡易簿記による青色申告は手間が減る分控除額も10万円と大幅に減少してしまうのです。
現金出納帳
現金出納帳はお金の出入りを日々記録そして管理する帳簿です。実際の残高と帳簿上の残高が一致しているか確認できるので、不正や記帳ミスがないかがすぐにわかります。
必要項目はこちらです。
- 日付
- 勘定科目
- 摘要(取引の内容を簡潔に記入)
- 借方(入金)
- 貸方(出金)
- 残高
預金出納帳
預金出納帳は預金の出入りを日々記録そして管理する帳簿です。預金残高を明らかにすることで、収益や財産の状態の把握に役立ちます。必要項目は現金出納帳と同じですが、通帳があれば残高まですべて記入されているのでより簡単です。
事業用の口座がいくつもある場合、金融機関別に預金種類別に預金口座別に帳簿またはページを設け作成する必要があります。
売掛帳・買掛帳
売掛帳は得意先元帳、買掛帳は仕入先元帳とも呼ばれる帳簿です。売掛金とは取引先に商品を売ったが代金は未回収、買掛金とは取引先から商品を買ったが代金は未払いの状態のことをいいます。
こういった取引のことを掛け取引といい、どちらも取引先との信頼関係で成り立っているものです。売掛帳と買掛帳ではそれぞれ売上先や仕入先ごとのページを用意し、未回収や未払いがないよう管理することができます。
取引先ごとにページを設けページ中央に取引先の名前を記入します。必要項目はこちらです。
- 取引が発生した日付
- 勘定科目
- 摘要(商品やサービス名など)
- 必要であれば数量や単価
- 借方
売掛帳では売り上げた金額を記入します。買掛帳では支払った金額を記入します。 - 貸方
売掛帳では受け入れた金額を記入します。買掛帳では仕入れた金額を記入します。 - 残高
売掛帳残高=借方−貸方、買掛超残高=貸方−借方となります。
経費帳
経費帳とは仕入れを除く事業に必要な経費を科目ごとにページを作って管理する帳簿です。消耗品費や給油賃金、地代家賃や水道光熱費などが当てはまります。
科目ごとに記録することで、何にどのくらい使っているのか使いすぎはないかなどチェックすることができます。また仕訳する必要がなく簿記検定にも出てこない帳簿なので、簿記の知識がなくても簡単とされています。
勘定科目ごとにページを設けページ中央に勘定科目を記入します。必要項目はこちらです。
- 経費が発生した日付
- 摘要(購入先、何を買い何で支払ったのか)
- 金額(必要であれば現金とその他に分ける)
- 合計金額
固定資産台帳
固定資産台帳とは建物や自動車など、事業に関わる固定資産を保有する事業主が備えなければならない帳簿です。主に10万円以上で購入して長期にわたって使う資産を固定資産といいます。
会計処理の計算に間違いがないかの確認や、大事な資産が盗難や紛失していないかの実地確認など資産管理に役立ちます。では必要項目見ていきましょう。
- 資産区品(建物や車両など)
- 資産名称
名称だけでなく型番や管理番号などを詳細に記入すると資産を特定しやすくなります。同じものが複数ある場合、設置場所や使用部署などを記入すると良いでしょう。
- 資産の個数
- 取得年月日
- 取得価格(送料や手数料なども含め合計金額を記入する)
- 耐用年数
税法によって定められている年数を記入します。国税庁の耐用年数表を参考にしましょう。 - 償却方法
個人の場合は定額法と定められていますが、定額法またほ定率法を記入します。 - 償却率
税法によって定められている計算方法、または償却率表を参考に耐用年数と償却方法から割り出し記入します。 - 減価償却額
減価償却費を記入します。定額法=取得価格×償却率、定率法=前年の未償却残高×償却率となります。 - 帳簿価格
帳簿価格=前年の未償却残高-減価償却額となります。固定資産を購入した年は取得価格-減価償却額(購入した期間から月割り計算)となります。
帳簿は手書きとパソコンのどちらが良い?
たくさんの帳簿の書き方について見てきましたが、どの帳簿も手間と時間のかかる大変な作業ということを分かっていただけたでしょうか?はじめでお話しした通り、帳簿付けにはふた通りあります。
実際手書きとパソコンのどちらがいいのでしょうか?必要な帳簿とその内容を踏まえた上で、手書きのデメリットを見ていきましょう。
帳簿を手書きすると時間がかかる
手書きで帳簿を作成するデメリットはなんといっても、その面倒な作業に時間がかかるということです。1日の合計額での記帳が認められている白色申告ならまだしも、青色申告は日々のすべての取引をひとつひとつ記帳しなければなりません。
これを手書きで挑戦するとなると、いよいよ猫の手も借りたいくらい時間のかかる作業になります。お世辞でも効率的の良い作業とは言えませんね。
帳簿を手書きすると正確な勘定科目を知っている必要がある
数ある勘定科目をすべて使う必要はないので必要科目さえわかっていれば、手間はかかりますが手書きの帳簿付けもそれほど難しいことではありません。
しかし簿記の知識がない人からすると、何がどの勘定科目に当てはまるのか判断するのはとても難しいことです。勘定科目についてある程度の知識を身につける必要があります。
帳簿を手書きからパソコンにする3つのメリット
効率的な帳簿付けをしたいと考えているのなら、ノートとペンを置いてパソコンを用意しましょう。ではさっそくパソコンで帳簿付けするメリットを見ていきましょう。
パソコンだと短時間で記入できる
パソコンがない時代、多くの事業主そして経理担当者が手書きで帳簿作成をしていたことでしょう。ですが先ほどデメリットであげたように手書きするには時間も知識も必要になります。時間も簿記の知識も全くない事業主にとって、それはそれは大変なことだったでしょう。でも嬉しいことに現代には優れた表計算ソフトや会計ソフトがあります。
これならパソコンの基本スキルとある程度の知識があれば、スピーディーに帳簿を作成することができます。自動で計算、転記、書類作成などの機能により大幅に業務が削減されます。
パソコンだと勘定科目を予め設定できて楽
ほとんどの会計ソフトが予め基本的な勘定科目を設定してあります。それに必要な科目を追加するなど事業にあわせてカスタマイズすることができます。これはなんの勘定科目だっけ?なんで悩みも減ることでしょう。
確定申告する時にオンラインで行う事ができる
いままでは確定申告に必要な書類を紙で作成し、税務署に送付するか自ら提出しに行くというアナログな方法が主流でした。ですがこれからは電子申告ができます。
この電子申告とはe-Taxと呼ばれる国税電子申告納税システムのことです。帳簿作成から必要書類の作成、そして提出までの一連の流れをすべてパソコンひとつで終えらせることができるのです。
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【まとめ】帳簿は手書きよりパソコンにすると時間が短縮できる
企業の大きさに関わらず会計ソフトを導入して帳簿管理している事業者は増えています。昔から手書きで帳簿をつけている方もパソコンが苦手な方も、これを機にパソコンでの帳簿付けにチャレンジしてみてはいかがでしょうか。