確定申告では、医療費控除がしばしば話題にのぼります。医療費控除については、5つのポイントがあります。確定申告前にぜひ知っておきたい5つのポイントと、医療費控除の対象となるものについてご紹介していきます。
まずは医療費控除の仕組みの5つのポイント
まずは医療費控除の仕組みの5つのポイントをご紹介します。これまで知らなかった!という方は必ず確定申告前にチェックして、医療費控除についてしっかりマスターしましょう。
1.支払った医療費の全額が戻ってくるわけではない
勘違いされることが多いのですが、医療費控除といっても「支払った医療費のすべての額が戻ってくる」というわけではありません。たくさんクリニックに通った、歯医者にかかった、という年は医療費がかさみますが、その金額が戻ってくるわけではないのです。
2.支払った医療費に応じて金額を計算しなおす制度
医療費控除というのは、その年に支払った医療費に応じて、税金の金額を計算しなおすという制度です。税金を計算しなおすことで節税につながります。
3.サラリーマンは申告する事で所得税が戻ってくる
サラリーマンは、月々のお給料から所得税を天引きされています。そのため多少の税金の加減が出ることがあるため、年末調整があります。しかし、医療費控除はこれらに関係していません。
そのため、サラリーマンの場合も医療費控除に関しては申告しなければ戻ってきません。しかし医療費控除の手続きをすることで、お給料から天引きされている所得税が還付されることになります。
4.個人事業主は確定申告の時に節税効果が得られる
一方、個人事業主の場合は確定申告に医療費控除を反映させることになります。こうすることで、節税効果を得ることができるのです。
5.自分だけじゃなく家族全員をまとめても良い
いずれにしても医療費控除は自分一人分だけではありません。家族全員分をまとめて計上することができます。一人だけでは大した金額にならなくても、家族全員分をまとめるとかなりの額になる、という方は医療費控除の対象になるかもしれません。
今年かかるであろう医療費は、年始の段階では想像がつきませんよね。そのため、医療費に関わる領収書はひとところにまとめて、棄てずに保管しておくことをおすすめします。
確定申告で医療費控除を受けられるのはいくらから?
確定申告で医療費控除を受けることができるのは、医療費がいくらになるラインからなのでしょうか。その金額を知っておくことで、しっかり節税することにつながります。
医療費の合計が10万円以上で控除を受けられる
医療費の合計が10万円以上になった場合、10万円を出た分だけ控除を受けることができます。しかし、医療費が保険金などで補填された場合は、その額を差し引いて計算しなければなりません。たとえば生命保険や傷病保険などで入院給付金が出た場合がそれに当たります。
また健康保険に入っていると、高額療養費の支払いがあったり、出産一時金などが出たりしますが、それも差し引く必要があります。
つまり手術をともなう入院があったりすると、医療費は非常に高くなりますよね。しかし任意保険に入っていると、だいたい入院費や手術代に関して保険金が下ります。さらに高額医療に関しては、手続することで上限以上の支払いをしなくても良いことになっています。
これらを総合すると、実は意外と10万円に満たないという場合もあります。しかしコツコツと歯の治療に何か月か通っていた場合や、アレルギーなどで何度も通院を繰り返した場合などは、家族分を総合すると10万円を超す金額になっていたりします。しっかり明細書を確認して計算してみましょう。
総所得が200万以下の場合は総所得の5%を引いた額
総所得が200万円以下の場合は、総所得の5%を医療費全体から差し引いた額となります。計算方法は医療費が10万円を超えた場合と同じで、超えた分だけ控除を受けられるようになっています。
確定申告の医療費控除はいつからいつまで?
確定申告の医療費控除はいつからいつまでが期限なのでしょうか。その年に申告しなければ無効になってしまうのでしょうか。
医療費控除は5年間の期間が設けられている
医療費控除は5年間の猶予期間が設けられています。5年さかのぼって申告できるので、ここ数年で医療費がかさんだけれど任意保険などはもらっていないという場合は、計算してみましょう。
確定申告の医療費控除に含まれるもの
確定申告の医療費控除に含まれるものをピックアップしてみましょう。どんなものが医療費控除に含まれるのでしょうか。
病院での診察料
まずは一般的な病院の診察料がそれに当たります。病院に行った時に出された明細書は、診察料を示す書類になるため必ず取っておきましょう。
病気やケガの治療費
病院で診察してもらったものではなくても、健康保険を使用できる整骨院などで治療してもらった病気やケガの治療費も入ります。
治療のための入院費・医療器具購入費用
治療のために入院したときにかかった入院費や、医療器具の購入費用も医療費として計上できます。ただし入院費が任意保険で補填された場合は、その分を差し引きます。
処方箋がある医薬品の購入費用
医師による処方箋によって購入した医薬品の費用も、医療費となります。今でも院内処方の病院がありますが、院外処方の場合もレシートをちゃんと取っておきましょう。
通院に使った交通費
通院に使った交通費も医療費として計上できますが、こちらも任意保険でカバーされることがあります。そのため、カバーされていない分になります。
リハビリやマッサージにかかった費用
リハビリやマッサージにかかった費用も医療費として認められます。リハビリに時間がかかってしまった場合も安心ですね。
介護保険対象の介護費用
介護保険対象の介護費用も医療費になります。ちょっと分からないという場合は税務署などに問い合わせてみましょう。
歯の治療・子供の歯列矯正の費用
歯の治療費は保険適用外の費用もすべて含みます。そのため子供の歯列矯正など、非常にお金がかかった場合も入ります。ただし審美歯科に関しては入らないケースがあるため、問い合わせましょう。
人間ドックで病気が発見でき治療をしたもの
人間ドッグを受けて病気が発見され、その結果治療を受けた場合は、その費用も医療費として認められます。
確定申告の医療費控除に含まれないもの
確定申告で医療費控除に含まれないものも、残念ながら存在します。計上できない医療費についてまとめてみました。
美容整形の費用
美容整形の費用は、治療ではないため医療費に含まれません。美容目的の点滴などもありますが、病気の治療目的ではないため注意しましょう。
人間ドックや健康診断
人間ドックで病気が見つかり、治療をした場合は医療費として計上できます。しかし人間ドックを受けて結果が健康だった場合は、残念ながら医療費として認定されません。
ガソリン代や駐車場代
病院に通うための交通費は医療費として計上されますが、ガソリン代や病院・コインパーキングなどの駐車場代は計上されません。
サプリメントや処方箋の無い漢方薬
サプリメントや処方箋を必要とせずに購入できる漢方薬なども、医療費とはなりません。サプリメントは食品にカテゴライズされます。また処方箋で処方された漢方薬は医療費に入ります。
予防注射費用
基本的に医療費とはかかった病気や負った怪我の治療に関するお金です。そのため、予防注射のように病気になる前に行った行為に関しては医療費に入りません。
差額ベッド代
入院する際、大部屋ではなく個室がよい、と言った場合などは、差額ベッド代が万単位で発生する場合があります。しかし差額ベッド代は医療費に入らないので注意しましょう。
確定申告と医療費控除のまとめ
確定申告では、医療費控除で悩むことが多いかもしれません。でもルールが分かると計算も簡単になります。大切なことは家族の医療に関する明細をきちんと整理しておくことです。たくさん病院に行ったなと思う年などは特に、忘れずに計算してみましょう。