フリーランスの税金はどのくらいかかるのか、目安を知りたいと思っている方も多いでしょう。一概にフリーランスと言っても、業種や年収も様々なので、税金も人それぞれです。
今回は、フリーランスの方が自分の納める税金の目安を知るために役立つ情報をお届けします。
税金や保険の種類、申告時の注意点に加え、シミュレーションサイトも紹介します。フリーランスになって初めての申告も、万全に準備して乗り切りましょう。
フリーランスの納める税金の種類と目安を知ろう!
まずは、フリーランスの方が納める税金の種類をまとめます。どんな税金を納める必要があるのか確認しましょう。
毎年3月に確定申告を受ける必要があります!
フリーランスに転向したら、毎年3月に所得税の確定申告をする必要があります。所得税の確定申告とは、1月1日から12月31日までの1年間に発生した所得の金額とそれに対する所得税の額を計算して税務署に申告し、納税することです。
会社に雇用されている給与所得者は、所得税の概算額が毎月の給与から天引きされています。1年間に概算で徴収した所得税と実際の税額の過不足を調整するのが年末調整です。つまり、給与所得者は会社が代行して所得税を計算し納税しているので、確定申告の必要がありません。
給与所得者でないフリーランスの場合は、毎月徴収されないかわりに、1年間の所得とそれに対する所得税の額を確定申告で決定し、納税しなければなりません。他にも、消費税の課税対象となる事業者は、消費税についても確定申告する必要があります。
国税庁の「消費税法改正のお知らせ(平成23年9月)(PDF/1,199KB)」に消費税の「課税事業者判定フローチャート」があるので、気になる方はチェックしてみてください。
所得税・住民税・個人事業税・消費税のそれぞれの税率
フリーランスが納める税金には、3月に確定申告が必要な所得税と消費税のほかに、住民税と個人事業税もあります。住民税は、都道府県民税と市町村民税(23区は特別区民税)の総称です。個人事業税は、個人で事業を営んでいる人が都道府県に対して支払う税金です。住民税は6月頃、個人事業税は8月頃に納税通知書が届くので、それに従い納付します。
それぞれの税率について、詳しく見てみましょう。
所得税
所得税は、課税される所得金額によって税率と控除額が異なります。
【所得税の速算表】
例えば、課税される所得金額が500万円の場合、次のように算出します。
- 5,000,000円 × 0.2 - 427,500円 = 572,500円
なお、平成49年までは、所得税と復興特別所得税を併せて申告・納付する必要があります。
住民税
住民税には均等割と所得割の2種類あります。均等割は定額で負担する金額で、所得割は前年の所得額に応じて負担する金額です。フリーランスで自宅とは別の市区町村に事務所や店舗を借りているまたは持っている(貸している場合は除く)人は、事務所や店舗が所在する市区町村にも住民税を払う必要があります。この場合にかかるのは2種類のうち均等割だけです。
住民税は地方税法によって税率が定められています。均等割の標準税率は、都道府県税が1,000円、市町村民税(特別区民税)が3,000円です。都道府県によっては、均等割に森林環境税を上乗せしている場合もあるので、自宅や事務所などが所在する都道府県に確認してください。
所得割は、前年の課税所得の10%(都道府県民税4%、市町村民税(特別区民税)6%)です。なお、平成35年度までは地方自治体の防災対策に関する臨時特例のため、都道府県民税、市町村民税(特別区民税)ともに500円ずつ引き上げられています。
個人事業税
個人事業税は、地方税法によっって業種ごとに税率が定められています(第72条の2、第72条の49の17)。「課税所得額×税率」が個人事業税の税額です。なお、事業主控除として290万円が控除されるので、所得金額が290万円以下の場合は、課税対象になりません。
【個人事業税の業種と税率】
消費税
消費税は全てのフリーランスが納税するわけではありません。前々年の課税売上高が1,000万円を超える個人事業主が対象となります。また、消費税が課税される取引には地方消費税もかかります。現行では、消費税6.3%、地方消費税1.7%で、併せて8%となります。
なお、平成31年10月1日から消費税率と地方消費税率が引き上げられることになっています。
参考:国税庁「消費税のしくみ」
【消費税率及び地方消費税率】
【出典】国税庁「No.6303 消費税及び地方消費税の税率」
源泉徴収を受けていた場合は還付の可能性がある!
源泉徴収を受けていた場合は還付の可能性があります。例えば、納めるべき所得税額(復興特別所得税額含む)が源泉徴収された税額より少ないケースです。予定納税が必要な場合は、所得税額が源泉徴収された税額と予定納税額の合計額よりも少ないケースです。
所得税は38万円が基礎控除されるので、所得が38万円以下の場合は所得税がかかりません。この場合はそもそも所得税を納付する必要がないのに払っていることになるので、確定申告することで還付されます。
フリーランスの支払う保険料の種類と目安を知ろう!
次は、フリーランスが支払う保険料について見てみましょう。フリーランスが支払う必要のある保険料には、国民年金保険料と国民健康保険料があります。
国民年金保険料の目安がわかるシミュレーションサイト
フリーランスは、公的年金である国民年金の第1号被保険者に該当します。国民年金保険料は、物価や賃金の伸びによって毎年度調整されます。平成30年度の保険料は、1カ月あたり16,340円です。まとめて前払いすると割引が適用されます。
国民年金機構が提供する「ねんきんネット」では、これまでの年金記録や将来の年金見込額を確認できます。
また、国民年金とセットで加入し将来受け取れる年金額を増やせる国民年金基金があります。加入は任意ですが、公的な年金制度です。もちろん国民年金の第1号被保険者であるフリーランスも加入できます。この国民年金基金のサイトでも年金額のシミュレーションができます。
国民健康保険料の目安がわかるシミュレーションサイト
日本では、国民は全員医療保険に加入することになっています。給与所得者であれば、会社が加入している健康保険や協会けんぽなどに加入しています。フリーランスを含め、それ以外の人は国民健康保険に加入します。
国民健康保険は、主に市区町村が運営していますが、ほかに国民健康保険組合が運営しているものもあります。以下のサイトで全国の市区町村の国民健康保険料がシミュレーションできます。
税金の目安は手取りで変わる!申告時の3つの注意点
次は、申告時の注意点を3つまとめます。
年間の所得によって税金の金額が変わる
税額は年間の所得によって変わります。先にも見たように、所得税、住民税の所得割、個人事業税ともに、課税所得額に一定の税率を掛けて算出します。そのため、一口にフリーランスと言っても、所得が違えば税金の目安も変わってきます。
経費の計上によって税金の金額が変わる
経費の計上によって税額が変わります。ざっくり言えば、売上から経費を引いた金額が課税所得額になります。一般的に経費の額は業種によって異なります。売上が同じぐらいの金額でも、経費の割合によって課税所得額が違ってくるので、税金の目安も変わります。
<業種別に見る経費率の目安>
- 卸売業・・・約90%
- 小売業・・・約80%
- 製造業・・・約70%
- 飲食業、サービス業・・・約50~55%
- その他の事業、専門技術系等・・・約60%
申告の種類によって税金の金額が変わる
申告の種類によっても税金が変わります。フリーランスの場合、白色申告か青色申告のどちらかで所得税の確定申告ができます。青色申告には、青色申告特別控除があるので、最大で65万円の控除が受けられます。それにより、同じ所得額でも白色申告と青色申告では課税所得額が違ってくるので、税金の目安も変わります。
フリーランスの税金の目安予想ができるシミュレーションサイト
最後に、フリーランスの税金の目安予想ができるシミュレーションサイトを3つ紹介します。
スモビバ!
スモビバ!は、会計ソフトなどの業務ソフトウェアやクラウド会計などのサービスを開発、提供している弥生株式会社が運営しています。小規模な事業を展開している方向けの情報サイトです。
以下のシミュレーションでは、売上と経費、各種控除額をを入力するだけで、所得税額と住民税、国民健康保険料がわかります。白色申告と青色申告の税額も比較できます。
⇒スモビバ!「個人事業主のかんたん税金計算シミュレーション」
個人事業主 税金/社会保険料計算シミュレーション
個人事業主税金社会保険料計算サイトでは、収入と経費を入力するだけで、所得税、住民税、個人事業税、消費税、国民年金、健康保険、介護保険の金額が算出できます。
白色申告と青色申告の税額が比較できるほか、年間で支払う金額が各月ごとに一覧になっているので、合計額だけでなく毎月の支出の目安もわかります。
⇒個人事業主税金社会保険料計算「個人事業主 税金/社会保険料計算シミュレーション」
ずぼら節約主婦.COM
すぼら節約主婦.COMは、メディアでもたびたび紹介され、書籍化もしたブログです。ブログを運営している主婦のhanaさんが、実践している家計簿や節約術などを紹介しているほか、フリーランスとして在宅ワークや確定申告、税金などの情報も配信しています。
⇒ずぼら節約主婦.COM「個人事業主のための税金(所得税)簡易税金シミュレーション」
フリーランスの税金の目安のまとめ
今回はフリーランスの税金について、種類と税額の目安を知るツールを紹介しました。もちろん申告の際には正確な計算が必要ですが、現状でざっくりと目安を知りたいという方にとって、簡単にシミュレーションできるのはうれしいですよね。便利なツールを活用して、次の申告に向けて着々と準備を進めましょう。