1年が終わると、いよいよ確定申告の時期が近づいてきますよね。フリーランス1年目の人は、申告書の作成にあたふたしてしまう頃かもしれません。この記事では、フリーランスになったら必要な確定申告の4つの手順を超簡単に解説します。白色申告と青色申告の違いについてもまとめるので参考にしてください。
備えあれば憂いなし!便利な会計ソフトを活用すれば難しい申告も楽々です。確定申告に向けて今から準備を始めましょう。
フリーランスになったら白色申告をしよう!
フリーランスになったら、自分で確定申告をしなければなりません。確定申告には白色申告と青色申告があります。具体的に違いを比較しながら詳しく見てみましょう。
白色申告は忙しい人に向いている確定申告
事業所得があるフリーランスは、白色申告か青色申告のどちらがで確定申告ができます。ただし、青色申告をする場合は、事前に「青色申告承認申請書」を税務署に提出しておく必要があります。白色申告は事前申請の必要がありません。
また、白色申告は、青色申告に比べて帳簿づけが簡単で提出書類も少なくて済みます。そういった面で、フリーランスになって日が浅い人や収入の少ない人、忙しい人に向いている確定申告と言えます。
白色申告は単式簿記で行う確定申告
白色申告は帳簿づけが簡単だと言いましたが、それは単式簿記で行うからです。一方で、青色申告は複式簿記で行うのが原則です。
単式簿記とは、1つの取引を1つの勘定科目で記載する方法です。複式簿記とは、1つの取引を「借方」「貸方」に分けて複数の勘定科目で記載する方法です。当然、1取引1科目の単式簿記はシンプルでわかりやすく、1取引複数科目の複式簿記は複雑で難しいものになります。
白色申告は青色申告のような特別控除は無い!
上で挙げたことは、青色申告と比較した時の白色申告のメリットですが、逆にデメリットもあります。それは、青色申告では受けられる特典が白色申告にはないことです。青色申告の4つの特典を紹介します。
青色申告特別控除
青色申告者は、最高65万円が控除されます。ただし、原則の複式簿記で帳簿づけし、それに基づいた貸借対照表と損益計算書を添付して、期限内に申告した人が控除の対象となります。なお、上記の原則に拠らない青色申告者の場合でも、最高10万円が控除されます。
青色事業専従者給与
青色事業専従者給与とは、家族や親族などが仕事を手伝っている場合に、その人に対する給与を経費として計上できるという特例です。
一方、白色申告にはこの特典がないかわりに事業専従者控除があります。青色事業専従者給与と事業専従者控除の概要については、以下のページを参照ください。
⇒国税庁「No.2075 青色事業専従者給与と事業専従者控除」
貸倒引当金
売掛金や貸付金を回収できずに損失が発生してしまう場合、一定の要件を満たす金額が必要経費として認められます。要件とは、貸倒れによる損失の見込み額として、年末における貸金の帳簿価額の合計額の5.5%(金融業は3.3%)以下の金額を貸倒引当金勘定へ繰り入れたときです。
純損失の繰越しと繰戻し
赤字の金額を翌年から3年間繰り越すことができます。赤字の金額を翌年以降の利益と相殺することで翌年以降の利益が少なくなるので、納税額を減らせるというメリットがあります。
自分で所得と税額を計算して税務署に申告する
白色申告も青色申告も、売上や支出を記載した帳簿を基に自分で申告書を作成し、税務署に提出して申告します。また、国税庁の公式サイトには案内に沿って金額などを入力することで自動的に税額が計算され申告書を作成できるコーナーも設けてあります。
白色申告をするために必要なもの
それでは白色申告に必要なものを確認しましょう。
確定申告書(B用紙)
個人事業主であるフリーランスの人が所得税の確定申告に用いるのは、確定申告書Bです。ほかに確定申告書Aというものもありますが、A様式は所得の種類が限定されているので、事業所得のある人はB様式で申告します。
確定申告書Bは、第一表と第二表の2ページあります。源泉徴収票や各種控除に必要な書類をのりづけして提出するための添付書類台紙も付属しています。そのほか、必要な場合は第三表や第四表も合わせて作成します。第三表は株式や土地、建物などの譲渡所得がある場合、第四表は損失がある場合に使用します。
収支内訳書
白色申告では、収支内訳書(一般用)を用います。不動産所得や農業所得の人は、それぞれ不動産所得用、農業所得用の収支内訳書を使用します。1ページ目は、収入や売上原価、経費の内訳などを記入します。2ページ目は、売上先や仕入先ごとの明細や減価償却費などを記入します。
レシートや領収書はしっかり保存しておく
青色申告は帳簿や領収書などの書類を原則7年間(書類によっては5年間)保存することが義務づけられています。白色申告は青色申告に比べてシンプルではあるものの、青色申告と同様に帳簿や書類の保存が義務づけられています。保存期間は、帳簿については原則7年間、請求書や領収書などの書類は5年間です。
税務署に提出した申告書に疑問点がある場合は、税務調査の対象になります。その際、3年から7年遡って調査することもあります。税務調査では書類を整理・保存し帳簿づけをしっかり行っているかもチェックされます。レシートや領収書などの書類はきちんと保存しておくことが大切です。
白色申告をする時の4つの手順
それでは、白色申告をする時の4つの手順を解説します。
手順1:税務署や市役所などで確定申告の申告書をもらう
まずは確定申告に必要な申告書の用紙を入手しましょう。税務署や市役所、申告相談会場などで受け取れます。そのほか、国税庁の公式サイトからも様式をダウンロード・印刷して利用できます。
手順2:必要事項を全て書き込む
次は、手引きに沿って必要事項を全て書き込みます。住所、氏名をはじめ、収入金額、所得金額、所得控除額などを計算して記入します。各種金額の計算方法は申告書用紙と一緒に入手した手引きに記載されています。手引きがない場合は、国税庁のサイトでも手引きを入手できます。
手順3:税金を計算する
必要事項を記入したら課税される所得金額を計算し、その所得額に応じた税額を算出します。課税される所得金額と税額の計算方法は手引きに記載されています。
手順4:表裏の記入が終わったら税務署に郵送または提出する
全ての記入が終わったら、添付書類と合わせて税務署に郵送するか、直接持参して提出します。また、国税庁の公式サイトにある「確定申告書等作成コーナー」で作成した申告書であれば、e-Taxというシステムを用いて送信することで提出できます。ただし、e-Taxの利用には事前準備が必要です。
時間が無く申告するのが難しい場合は税理士またはソフトを活用
時間がなくて申告するのが難しい場合は、税理士に頼むか会計ソフトを活用するのもオススメです。税金のプロである税理士にお願いすれば間違いはないですし、会計ソフトなら手計算よりも正確で税額も自動で算出してくれるなどメリットが多いです。
フリーランスを助ける会計ソフトの必要性
最後に、日々のお金の管理や税金の申告などに役立つ会計ソフトの必要性についてまとめます。
毎年の確定申告が非常に簡単にできる
確定申告は1年間の取引を記入した帳簿を基に申告書を作成します。簿記や会計の知識に乏しく、日々の帳簿づけに自信がないという人もいるでしょう。会計ソフトなら取引の記帳も手軽に行える上、確定申告の際にはソフトで入力した取引情報から簡単に申告書を作成できます。
自分で申請書に記入する必要が無い
帳簿を基に手書きで作成すると、計算の誤りや記入ミスが起こる確率が高いです。その点、ソフトを利用すればミスが少なくて済みます。
金融機関の取引明細も簡単に仕訳できる
簿記や会計に明るくないと、金融機関の取引明細をどのように仕訳すればいいか迷うことも多いでしょう。会計ソフトの中には、取引内容から自動的に仕訳できる機能があるソフトもあり、仕訳が簡単にできます。
毎月の納品や請求も楽々できる
日々の取引だけでなく、納品や請求を月単位で行うことも楽々にできます。納品忘れや請求漏れをなくし、効率的に仕事を進められます。
フリーランスの白色申告のまとめ
今回は、フリーランスになったら必要な確定申告について、白色申告に焦点を当ててまとめました。フリーランスの人の中には、経理に関する知識が少なく会計や税金について不安に感じている人もいると思います。難しいと感じたら、会計ソフトを活用してみましょう。日々の記録をしっかり管理しておけば確定申告も安心です。今後の業務効率化のためにもぜひ参考にしてください。