様々な働き方がある昨今、フリーランスで仕事をしている方も多いのではないでしょうか。フリーランスだから税務調査なんて来ないだろうと思っていると、突然税務署からの呼び出しを受けてあたふたしてしまうかも!?
この記事では、フリーランスで働く方が税金に関する疑いを避けるためのポイントを4つ紹介します。来るべき確定申告のために、ぜひ参考にしてみてください。
初めてフリーランスになる方に!税務調査ってそもそも何?
初めてフリーランスで働き出したという方の中には、そもそも税務調査って何だろうと疑問に思っている方もいると思います。そこで、まずは税務調査について簡単にまとめます。
徴税機関が納税者の申告内容を確認するための調査の事
税務調査とは、徴税機関が納税者の申告内容を確認するために行う調査のことです。徴税機関とは、国税庁をはじめ、その地方拠点である国税局と税務署のことを指します。
会社は、決算を行い収支が決定したら国に税金を納めます。フリーランスで働く人も、個人事業主として収支に応じた税金を納めなければなりません。1年間の収支を報告し納税する手続きが「確定申告」です。
この時の申告内容に誤りがなく、適正な税金を納めているかどうかをチェックするのが税務調査です。
申告に誤りがあれば是正して改めて税金の算出をしなおす
税務調査の結果、もしも申告内容に誤りがあれば、是正して改めて税金を算出しなおす必要があります。万が一誤りがあった場合、もう一度算出しなおすのは大変な手間がかかります。フリーランスだから税務調査は来ないだろうと高をくくらずに、しっかりと管理しておくのが一番です。
また、フリーランスを始めたばかりで税金のことはよく知らないという理由で、確定申告をしていなかったというケースがあります。たとえ知らなかったとしても、申告していなかった期間の税金は遡って納める必要がある上、申告を怠ったペナルティも課せられてしまいます。無申告や申告漏れには十分気を付けましょう。
追徴課税が課される事もある
申告をしていなかった場合にペナルティがあることは触れましたが、それ以外の場合にも追徴課税が課されることがあります。主な追徴課税を4つ紹介します。
無申告加算税
先にも触れたように、申告をしていなかった場合に課される税金です。意図的に申告しなかったわけではなく、申告が必要だと知らなかった、忘れてしまったといったケースが当てはまります。
なお、税務調査を受ける前に自主的に申告すれば無申告加算税が軽減されるケースや要件を満たせば無申告加算税が課されないケースもあります。気になる方は早めに確認しておきましょう。
延滞税
納付期限までに税金を支払わなかった場合に課せられる税金です。延滞税は、納付期限の翌日から納付するまでの日数に応じて計算されるので、気づいたらなるべく早めに納付した方が賢明です。無申告で納税が遅れた場合にも延滞税を支払う必要があります。
過少申告加算税
申告内容に誤りがあったため、納付する税金が少なすぎた場合や還付される金額が多すぎた場合に課せられる税金です。
なお、税務調査を受ける前に自主的に修正申告をすれば過少申告加算税はかかりません。誤りに気付いたら早めに修正申告をするようにしましょう。
重加算税
いわゆる脱税など、意図的に虚偽の申告をして不正な額を納めた場合や短期間に無申告や虚偽の申告を繰り返した場合に課せられる税金です。
場合によっては、本来の納付金額に対して、これら4つの追徴課税が全て課されて、膨大な金額を支払わなければならなくなるケースもあります。税金は納付期限までに正しく申告し、納付することが大切です。
フリーランスには税務調査が来ないと思う根拠とは?
現状ではフリーランスには税務調査が来ないと思っている方も少なくないようです。その根拠には次の3つが挙げられます。
たった一人で仕事をしているので来ない
たった一人で仕事をしていて規模が小さいから来ないと思っているのではないでしょうか。規模が小さければ申告漏れや誤りも少ないでしょうし、税務調査をしてもあまり意味はないという考えが背景にあるのかもしれません。
年収が1,000万円以下だから来ないと思う
年収が1,000万円以下だから来ないと思っているのではないでしょうか。年収が1,000万円を超えると税務調査の確率は上がるかもしれないが、1,000万円以下だから来ないという根拠にはなりません。
毎年申告が通っているから来るはずがない
毎年申告が通っているから来るはずがないというのが一番の根拠になっているのではないでしょうか。申告が通れば誤りがなく適正な申告だと判断されたのだと思いますよね。正しく申告していれば税務調査は来ないと思うのが自然なことです。
フリーランスに税務調査が来る確率は何%?
実際問題、フリーランスに税務調査が来る確率はどのくらいなのでしょうか。どのような事業主が対象になりやすいのかも合わせてまとめます。
全体の3%の確率で来る(平成28年の調査)
平成28年事務年度における所得税に関する税務調査の件数は、厳正な調査を行う実地調査に加え、電話や文書などによる軽度な接触も含めると647,144件でした。
一方、「国税庁レポート 2017」によると、平成28年分の所得税の確定申告を行った人の数は、2,169万人。これを基に計算すると、税務調査の対象になるのは全体の約3%ということになります。
- 647,144件 / 2,169万人 = 3%
参考:国税庁「平成28事務年度 所得税及び消費税調査等の状況」
参考:国税庁「国税庁レポート 2017」
毎年の申告内容から対象を選定し調査に来る
全体の3%の確率とはいうものの、何年ごとに税務調査の対象になるのかは、会社によってまちまちです。
税務署は、毎年申告される内容を基に各人の所得や税額を把握できます。極端に利益が増えている場合や多額の経費が発生している場合、消費税の還付を受けた場合など、例年に比べて変化があった年には税務調査の対象になりやすいと言えます。
また、起業してから3年が経っていれば税務調査の対象に入ります。年数を遡って調査する場合、3年が基本となるからです。その他、顧問税理士がいない場合も、書類に不備が出やすいので調査が入りやすくなります。
フリーランスはタレコミで来る事もある
税務署は、近年の多様化する収入源、例えば海外への投資、ネット販売やブログ収入など実態が把握しにくい収入についても情報収集に力を入れています。
また、働き方も多様化しフリーランスで働く人が増えた一方で、税金については無頓着のままになってしまうことも多くあります。
このようなケースは無申告になりやすいため、税務署は積極的に情報を集め、調査対象として選定しています。
税務調査の可能性が高い経費率と注意すべき4つのポイント
最後に、確定申告の際に注意すべきポイントについてまとめます。税務調査の可能性が高い経費率とその他4つのポイントを挙げます。
売り上げに対して経費率が極端に高い時は注意が必要
経費率とは、収入に対する経費の割合のことです。経費率は事業内容によって異なります。事業内容からして経費率が高すぎると判断された場合には、税務調査の対象に入りやすくなります。フリーランスの事業内容は様々です。自分の事業内容に応じて経費率の目安を知っておくとよいでしょう。
<業種別に見る経費率の目安>
- 卸売業・・・約90%
- 小売業・・・約80%
- 製造業・・・約70%
- 飲食業、サービス業・・・約50~55%
- その他の事業、専門技術系等・・・約60%
外注に依頼する事が多い場合は税務署に伝える
外注に依頼している場合は経費率が高くなってしまいます。税務署の疑いを避けるために、経費率が高いのは外注費のためであることを申告書にわかりやすく記載しておくとよいでしょう。
必要以上に接待費・交際費を計上しない事も大事
フリーランスで働く人にありがちなのが、個人的な交際費を事業における交際費や接待費として必要以上に計上してしまうことです。個人用と事業用のレシートや領収書、さらには口座もしっかり分けて管理し、個人用の支出を事業用の経費として誤って計上しないように気をつけましょう。
また、計上する際の勘定科目は雑費などの曖昧な科目ではなく、税務署が見てわかりやすいものを使うことが大切です。売上が急増したり、経費が膨らんでしまったりと例年とは違った変化がある場合には、その理由を明記することで税務署の疑いを避けることができます。
地代家賃の割合も重要!使用面積と稼働時間の記載をすべき!
地代家賃とは、事業で使用している店舗や事務所、駐車場にかかる料金のことです。フリーランスで働く人は、自宅を仕事場として使用しているというケースが多いと思います。この場合、自宅の賃料から仕事場に使用しているスペースの分を地代家賃として計上できます。
地代家賃は、自宅全体の面積に占める仕事場の割合から算出します。また、プライベートと仕事場を面積で分けにくい場合には、稼働時間による割合から算出する方法もあります。
プライベートの賃料を事業の経費として計上しているという疑いを避けるために、地代家賃を算出する際に用いた仕事場の使用面積や稼働時間といった根拠を申告書に明記しておくとよいでしょう。
フリーランスと税務調査のまとめ
今回は、フリーランスで働く人が税務署の疑いを避ける4つのポイントを紹介しました。売上や経費は、証拠となる領収書などに基づききちんと帳簿付けし、申告の際には税務署がわかりやすい記載を心がけることが大切です。
そうすれば疑いを避けられるほか、たとえ税務調査が来たとしても、慌てずに対応できます。まずは次回の確定申告から今回紹介したポイントを実践してみてはいかがでしょうか。