節税を目的にしたフリーランスの経費はどこからどこまでなのかを詳しく説明しています。また厄介な税務調査を受けないために、自宅兼事務所の場合の科目別経費の注意点と税務署に睨まれる4つの原因を紹介しています。
フリーランスの経費はどこからどこまで?
基本的に経費は事業中の収入を得る為に必要な費用のことを指します。売り上げを収入と言いますが、その収入から必要経費や特別控除を差し引いたものが所得です。所得に税金がかかってきますので、経費計算をしっかりすることで節税にも繋がってきます。フリーランスの経費はどこからどこまでなのか見ていきましょう。
フリーランスは全てを経費に乗せる事はできません!
経費に全てを出来るわけではありませんが、フリーランスの場合とりあえず全ての領収書を取り置きしておくべきです。一般的にいうと、領収書を仕訳帳に載せる際に経費かどうかを判断するのが普通です。後々税理士などに依頼する時もレシートや領収書は重要になります。
経費とは少なければ少ないほど健全な経営とみなされる
経費にできるのは原則的には事業に対する費用だけです。突き詰めると個々の判断によるところとなってきます。フリーランスの場合は自分の家の仕事が多いので、生活上の費用をどこまで経費で扱うのかが問題となってきます。経費の割合があまりに高いと、税務署に睨まれる原因になります。
地代家賃(オフィスの賃貸料・家賃の一部)
事務所兼用として自宅を使用する場合、家賃の一部分が経費計算できます。また仕事で自動車や自転車を仕事利用する場合、駐車場の料金も対象になります。自宅兼事務所の場合の家賃の一部とは後述の案分計算となります。
水道光熱費
自宅兼事務所の場合は水道光熱費も案分計算となります。ガスに電気と水道代の事業で使用した割合を求め一部を必要経費とします。勘定科目は「水道光熱費」です。
広告宣伝費
サーバーレンタルの費用やドメインの費用など、ホームページの運営費は広告宣伝費になります。また顧客への年賀状や暑中見舞いも含みます。
支払手数料
クラウドソーシングサービスなどの仲介手数料や報酬の銀行振込手数料は支払手数料となり必要経費として認められます。
旅費交通費
情報収集や打ち合わせなどでのタクシーや電車代は交通費となり経費扱いです。事業に関係する旅行などの宿泊代も旅費の中に入ります。
新聞図書費(業務上必要なもの)
事業で情報収集をするために必要な雑誌、書籍などは経費上では新聞図書費になります。メルマガ購読等もこちらに入ります。
通信費(ネット代・携帯・電話代)
事業で使用したインターネット代、電話代、切手代などは経費上では通信費となります。もちろん携帯電話代もですが、事業と個人の使用割合を案分で決めておくようにしましょう。
接待費・交際費
打ち合わせのお茶代もですが、会議をしながらの食事代などの飲食費も経費計上できます。相手先の人数や名前を控えておく必要があります。細かくいえば顧客へのお歳暮やお中元を接待交際費にするのも可能ではあります。
租税公課
個人にかかってくる所得税や住民税などは必要経費の対象外です。対象は自動車税、固定資産税、印紙税などの公的な支払いです。
町内会や組合などの議会費
事業をしていると関わりのでてくる同業者組合や商工会議所など各種組合への費用は諸会費として経費計上が認められます。地域の町内会費なども含みます。
消耗品費
事業で使うFAX用紙などの紙やペンなどは消耗品費の扱いとなります。他には10万円未満のカメラにPC機器、オフィス使用のデスクやチェアも含まれます。ただ金額が10万円以上になるパソコンは固定資産扱いとなり資産となります。この場合は減価償却費として計上します。
外注工費(外注に依頼した仕事)
事業で使うもので自分自身では制作出来ないものがあります。例でいえばロゴのデザインなどを外注で作った時です。この場合のかかった費用は外注工費として必要経費に計上できます。
減価償却費
経費で消耗品費にはならない10万円以上のカメラにPC機器、オフィス使用のデスクやチェアは固定資産扱いとなります。この場合は減価償却を耐用年数によって行います。
フリーランスの経費・家賃・光熱費の割合と注意点
自宅兼事務所としているフリーランスの場合、事業と個人の家事関連費の境界があいまいになりがちです。経費を算出するには先ず合理的な基準を決めなければなりません。決まりはないですが、案分の割合は税務署が納得するようにしましょう。
100%オフィスとして使用している場合は100%
元来100%オフィスとして使用している場合は100%必要経費扱いです。マンションやアパートが賃貸の場合、家賃から按分して経費計上できます。しかし持ち家の住宅ローンの元本は経費対象外です。
自宅兼事務所の場合は時間・頻度・面積で算出する
自宅兼事務所の場合の家事関連費の算出方法です。税務署に納得してもらうため、使用する時間や頻度に面積で算出する方法があります。そうすることで合理的な基準となります。
認められるのは利益を出すための業務遂行上必要である場所
収入を得て利益を出すために行っているのが事業ですので、経費として認められるのは利益を出すための業務遂行上必要である場所となります。
事務所として使っている場所の金額を明瞭に区分する
事務所を借りた場合の家賃などは経費計上できますが、敷金はいずれ返ってくる費用なので資産になります。自宅兼事務所の場合は先の合理的な基準による案分で算出します。
パソコンの金額によって経費の内容が変わってくる?
先ほども述べたように、パソコンの金額によって勘定科目の記載が変わってきます。パソコン本体ですが、これは設備費の名目で必要経費扱いです。ただ注意点がありパソコンの場合、経費の処理が金額で変わります。
10万円以下の場合は消耗品費として認められる
先述したように10万円未満のカメラにPC機器、オフィス使用のデスクやチェアは消耗品費として経費扱いになります。なのでパソコンが10万円以下なら消耗品扱いとなり、該当年の会計年度で経費として落とせます。
10万円以上の場合は資産となるため減価償却費となる
パソコンも10万円以上になると固定資産となります。固定資産は減価償却しなければならないので複数年になります。
※青色申告をしている場合
青色申告には少額減価償却資産制度というものがあります。購入したPCが30万円未満の場合は、一括で当該会計年度に計上することができる仕組みです。
経費で税務署に目を付けられる4つの原因
税務署に目を付けられると厄介な税務調査を受けることになります。経費で節税をするつもりが税金を課税されることになるので気を付けたいところです。
家賃や光熱費の割合がしっかりとしていない
自宅兼事務所の場合は、家賃や光熱費の割合がしっかりとしていないことで調査をけることが多いようです。家事関連費は合理的な基準で案分してしっかり割合を出しましょう。
事業と関連性が低いものが経費として計上されている
食事代などもそうですが、自分の洋服代など事業と関連性が低いものが経費として計上されている場合も税務調査の対象です。
必要経費の根拠資料を一緒に保管していない
領収書やレシートなど必要経費の根拠資料を一緒に保管していないことがあげられます。根拠のないものは自身が使ったとされ調査の対象です。
プライベートと仕事の境界があいまいである
プライベート使用は経費対象外です。事業で使ったのか個人的に使ったのか、プライベートと仕事の境界があいまいである場合も目を付けられる原因となります。
フリーランスの経費のまとめ
事業中の収入を得る為に必要な費用が経費ですが、節税にもなるフリーランスの経費はどこからどこまでなのかを説明してきました。また経費で税務署に目を付けられる4つの原因も紹介しています。これからフリーランスの経費をお考えになる方の参考になれば幸いです。